東京はあまりに広大である。そしてどこの街も人で溢れかえっている。
首都一極集中現象も相まって東京の街の変化も凄まじいスピードで進んでいるのだが、その一方でやはり「時を失った場所」が存在している。
大阪に「西成」があるように、東京には「山谷」がある。
日本最大の日雇い労働者の街、西成・釜ヶ崎に次ぐ規模の、日本第二のドヤ街が山谷と呼ばれる地区だ。
しかし東京に住む者でも「山谷」がどこにあるのか知らない事が多い。
それは釜ヶ崎同様、山谷が人々の暮らしの歴史から退けられ闇に葬り去られた場所であることを物語る。
「山谷」は東京都台東区日本堤・清川・橋場・東浅草・荒川区南千住に跨り、泪橋交差点あたりを中心とした半径500メートル程度のエリアを指す。
最寄り駅は「南千住」。
JR常磐線・地下鉄日比谷線・つくばエクスプレスでお越しになれます。
駅から山谷地区へは線路を跨ぐ歩道橋を渡らなければならない。
まるで山谷を遮るかのように横切る広大な線路。
「泪橋を渡ってごらん 交番には暴力団が座っている」
南千住駅のガード下。我々を迎え入れるかの如くコンクリート壁に刻まれた落書き。
入ってはならぬ場所に足を踏み入れたかのような感覚。
それにしても「小塚原刑場」の存在といい、この界隈のダークさ加減は半端ではない。
南千住駅から徒歩5分くらいで「泪橋交差点」に辿り着く事ができる。
山谷の中心らしき「泪橋交差点」だが、その物悲しい地名とは裏腹に街は西成釜ヶ崎ほどの悲壮感は漂わせていない。普通に綺麗なマンションも建っているし、拍子抜けするくらいだ。その代わり活気のなさが目立つ。
泪橋の地名の由来について荒川区教育委員会がご親切に看板を掲げている。
地名の由来も小塚原刑場と絡みがあるようだ。刑場の露と消える罪人か、またそれを見送る知人の流す涙だったとかなんとか。リアルだ...
そんな場所だからか知らんがコインパーキングの相場もやたら安い。特に夜間料金が超破格。南千住の駅前でもこの値段だ。
近年はドヤ街が外国人バックパッカー向けに改良されて客層がまるっきり変わったドヤが目立つようになった。それは大阪も東京も変わらないようだが、この広告にある簡易宿泊所は浅草にあるものだった。
山谷も一応、浅草から徒歩30分くらいで行けない事もないが、最寄りの駅から近くない場所にあるため、ここまで外国人観光客がやってくることは稀である。
そして西成同様、ホルモン系料理を扱う大衆食堂を多く見かける。しかも安いし。
ただ共通しているのは、本当に営業しているのかどうか怪しい雰囲気の店ばかりな所だ。西成のような場所だとある意味活気に満ちているのだが、山谷には同様の活気は全くと言っていいほど無い。
一歩路地に入ると、そこは山谷のドヤ街。独特な雰囲気だが西成ほどの威圧感は感じられない。ビルインタイプよりも木造家屋型や3階建て程度の低層マンションタイプのドヤが非常に多いのが特徴的。
だいたいの宿泊費相場は2200円前後のようだ。実は東京都が労働者向けに支出している住宅補助の一日あたりの額が2200円だそうで。西成のドヤは1500円前後の所が多く、大阪より東京の方が1.5倍高い事になる。
一泊2200円でもよく考えれば月々66000円である。いくら東京でも、月々この値段を出せば余裕でワンルームアパートに入居出来るはずだが。
山谷のドヤは安い場所でも1500円くらいは取られる。
石原都知事が言っていたような一泊200円のドヤなどどこに存在するんでしょうね...
泪橋交差点から東側に行くと徐々に労働者の姿が目立つようになる。昼間っから居酒屋で酒を煽りながら労働者仲間同士が談笑する姿、その傍らで路上で寝転がるオッサンの姿は西成のそれと全く同じだ。
だが、完全によそ者を受け入れない空気が漂う西成とは違い、普通の住人が日常の買い物や通勤に通り掛かる姿を見かける事も意外に多い。
むしろ昼間だけなら平穏な空気さえ漂う山谷の街並み。
私は東京の人間ではないので昔のこの街の姿を知る事もないのだが、山谷の街が活気を失ったのが、労働者が高齢化した結果であるならば、それもまた時代の流れなのかも知れないと考えた。
西成とは違い観光拠点にもならない山谷。非常に寂しい。
参考リンク
山谷界隈
ふるさとの会
「200円の宿」発言で波紋 東京・山谷のいま




「泪橋を渡ってごらん 交番には暴力団が座っている」
この落書き、知りませんでした。味がありますね。
893と警察は表裏一体とは昔からよく聞く話ですが。。。