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【田園都市線とは何なのか】金妻タウンと持て囃された田園都市線の街「青葉台」は本当に高級住宅街なのか?

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エベネザー・ハワード『田園都市論』に基づく郊外型高級住宅街を作るべく高度経済成長期以降に東京急行電鉄の主導で開発された「東急田園都市線」沿線のニュータウンの数々。その中でも「横浜市青葉区」は平均年収765万円、区民の4人に1人は年収1000万円以上の高所得者層で、80年代に放送されたTBSドラマの影響で「金妻タウン」と持て囃されバブリーな風に流されてやってきたプチセレブ層が集まった街ばかりが連なる。

青葉区には、たまプラーザと並んで区内で著名な高級住宅街として扱われる「青葉台」という街がある。青葉台駅は田園都市線の数ある駅の中では利用者も多く、乗換駅でない駅としては最大の乗降客数(11万427人、2014年度)を誇り、駅前の発展度も高い。たまプラーザ駅ほど派手ではないにせよ、やっぱり東急的シャレオツ感の漂う空間だ。

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たまプラだけでなく青葉台も東急グループが駅前を占領

この青葉台駅とその周辺もまた東急王国のシマであり、のっけから駅構内に「青葉台東急スクエア」という自社系列のシャレオツショッピングモールが連なる光景が見られる。渋谷と青葉台を行き来する田園都市線ユーザーにとっては渋谷に出ても東急だらけ、青葉台に帰っても東急だらけと、生活圏まるごと東急グループにガッチリ押さえられている感すらある。そりゃそうだ、田園都市線の街は東急グループが人工的に作り上げた街なのだ。

青葉台駅の駅舎と一体化しているNorth-1およびSouth-2棟を出ると道路を挟んだ向かいにはSouth-1棟、South-1別館棟が立て続けに建ち並ぶ。同じ「東急スクエア」を名乗る商業施設は青葉台以外にも武蔵小杉、田園調布、八王子、そして金沢の香林坊にもある。

しかしこの青葉台、たまプラーザから5つも先の駅で、急行電車に乗ると渋谷まで約28分前後。日本の鉄道路線で最悪クラスの混雑を見せる通勤時間帯には準急しか走ってないのでさらに時間が掛かる。地元住民は「各停に乗れば空いてる」と言うが、各停では渋谷に出るまで40分程度を要する。しかも田園都市線は「お客様混雑」が理由で遅延が頻繁に起こる。そのくせ街自体がブランド化しているので土地の値段はやけに高い。

セレブタウンかと思いきや駅前にはでかい団地が並んでいる

青葉台東急スクエアのオシャンティーなビルが立ち並ぶ南口とは一転、路線バス乗り場が集結する北口のロータリーを見ると、やけに年季の入った三棟の高層団地が連なる光景が現れる。昭和41(1966)年開業の田園都市線青葉台駅に隣接する「UR青葉台市街地住宅」で、田園都市線開業の翌年、昭和42(1967)年竣工。多摩田園都市の創成期からこの地に鎮座し、既に誕生から50年目を迎える古株的団地である。

当初は「青葉台プラーザビル」という名称もあったらしい三棟の団地、下層階が商店テナントとなっていて、これは現在「青葉台東急スクエア」の一部、North-2、North-3、North-4という扱いである。駅前にでかいURの団地なんて足立区の竹ノ塚駅前と全く一緒なのですが、通行人の身なりが竹ノ塚と青葉台では全く違いますね…

そんな駅前高層団地の間の階段を上がっていくとその先に「田園青葉台住宅」という、やはり同年代に整備された古い中層棟が立ち並ぶ団地がある。ここが竹ノ塚ならウンコ座りしているジャージ姿のヤンキーの一人でも居そうなものだが、青葉台にはそんな民族はいませんでした。

しかしよくよく見ると、そんな団地の下の商店テナントには千円カットの「QBハウス」なんかが入っていたりして、思っていたよりも庶民的な店がこの街には多いことに気がついたのである。果たして青葉台は「金妻タウン」と持て囃されてから30年過ぎて、今でも本当に高級住宅街なのか?という疑問が湧いてきたのだ。

「青葉台」は買い被られ過ぎていないか?全然庶民的なチェーン店ばかりの駅前商店街

やはり他の東急沿線の街と同じように、青葉台もまた「東急マジック」のせいで買い被られ過ぎてやしないのか、そんな疑問は駅前の南北に伸びる商店街を見れば見るほど、膨らんでいく一方なのである。この通り、郊外のベッドタウンにはありがちなチェーン系のつまらない居酒屋が多い一画もあれば…

北口ロータリーの真ん前なんかは「早い旨い安い」系のファーストフード店舗で占拠されている始末。もはや川崎とか鶴見のドカチンド底辺な駅前と何が違うの的なラインナップである。松屋もありますしね。

さらには埼玉生まれのドカチン系ガッツリ中華チェーン「日高屋」もちゃっかり出店しているし、松屋フーズのとんかつ部門で最近勢力急拡大中の「松乃家」の店舗まである。フォークにナイフのシャレオツな店にはてんで興味もなく、田園都市線での過酷な通勤生活の合間に手早く食べたいサラリーマンの切実な需要を満たしている。

さらに駅の北側へ進むとほか弁業界のプレナスが展開する「やよい軒」もあればDQN系な店構えが印象的な「らあめん花月嵐」といった金太郎飴的チェーン店で埋め尽くされている青葉台駅前。三浦展的表現で言うところの「ファスト風土化」というやつですかね。少なくともこんなお下品なチェーン店が立ち並ぶ商店街があるような街を「高級住宅街」とは呼ばないと思いますが皆様如何でしょうか。

らあめん花月嵐の斜向いにある洋服の青山は何故か百均ショップ「ダイソー」と一体化している珍妙な店構え。大看板の表記も「DAISO AOYAMA」と一見特殊である。百均と紳士服屋が同じ建物の一階と二階で商売することの何がメリットなのか良くわかりません。たまたまですか?

そのすぐ右隣にはなんと洋服リサイクル「MODE OFF」の店舗まであるというチープっぷり。ここまで見ればもう分かるが青葉台の駅前は全く高級住宅街のそれではない。

ケチなしみったれ御用達のチケット屋と金銭感覚が麻痺した頭の悪い小金持ち御用達のブランド品売買を兼業するご覧のようなお店も青葉台駅前の商店街にはございます。もはや川崎や埼玉と何が違うのか見分けがつかん。

ビンボー人の食生活には有難い板橋区大山生まれのディスカウントストア「Big-A」も青葉台にはある。年収1000万オーバーの青葉区住民は少なくともこんな商店街で買い物しないように思えるんですが、富裕層は一体この街のどこに居るんでしょうか。やっぱり駅前の東急スクエアくらいですかね。

青葉台にはパチンコ・パチスロが四軒もある!

そしてこれも富裕層はあまり立ち寄ることもないであろうDQN親父の溜まり場となりがちな街のパチンコ屋、青葉台には「青葉台会館」「KAIKAN」「THE DAIEI」「パチスロフラミンゴ」と駅前に4つものパチンコ・パチスロ店舗がひしめいている。ただでさえオッサンの娯楽が少ないように見える田園都市線ではここが貴重なプレイスポットなのであろうか。

こちら青葉台でダイエーと言えばこのパチンコ屋のことを指すようです。やはりガチな高級住宅街にはパチンコ屋なんぞ建ちませんので、青葉台が高級住宅街だというのは「金曜日の妻たちへ」を現役で見ていた世代の昔話か単なる幻想に過ぎないものだと考える他ありません。

じゃあ、結局高級住宅街ってのは青葉台のどこを指しているのか?

駅前商店街があまりにチープな店やパチンコ屋ばかりで目が点になってしまった青葉台ですが、一応ながら明治屋ストアーや成城石井が立て続けに並ぶおハイソ風味ゾーンも駅の西側には存在している。どうも駅の西側をこのまま行ったところにある「松風台」あたりが富裕層が暮らす住宅地だというんですがね…

駅から15分ほど歩いた「松風台」の一画を見物する。そこにはまるでコピー・アンド・ペーストで貼り付けたかのような金太郎飴的戸建住宅に揃って外車が並んでいるような味気のない新興住宅地が広がっていた。なるほど、これが青葉台的に言うところの「高級住宅街」なのか…

しかしこのコピペ的戸建住宅こそが「田園都市線沿線のプチセレブ」を象徴する光景であると言えるのではないだろうか。アッパーミドルの団塊世代が戦後社会のど真ん中を生き抜き、少し背伸びすれば届く郊外型「金妻ライフ」を謳歌してきた。今ではその子孫も含めて、この土地を最高の住環境と信じて暮らし続けているのだろう。当方からはそういう風に見えましたね。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。
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