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開放感抜群、しかし誰が使うんだ?!小湊鉄道飯給駅前にある「世界一大きなトイレ」

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房総半島の長南町にある「アリランラーメン」食べたさにわざわざ千葉の山の中までやってきた我々取材班だが、この房総半島を走る小湊鉄道というローカル線の駅前に珍妙なトイレが出来たと話題になっていた事を思い出した。それが割と近くにあったのでついでに見に行く事にした。トイレだのアリランだの臭いがしそうなものが好きなのは相変わらずですね。我ながら。

市原市 飯給駅のトイレ

その気になるトイレがあるのは小湊鉄道飯給駅。この字で「いたぶ」と読むんだそうで難読地名です。一応市原市になるのだが、市の中心部で小湊鉄道の始発駅がある五井駅からは30キロ近く離れていて電車で片道50分かかる。車で行った場合でもトイレの前に車を停めるスペースがある。駅舎の手前に問題のトイレがあるが、まず最初に駅舎の方を見に行きましょうね。

市原市 飯給駅のトイレ

だいたいこの小湊鉄道自体ローカル過ぎて千葉県民でも東京寄りに住んでる人間はあんまり知らなさそうな存在。房総半島を縦断して安房小湊まで線路を伸ばすつもりの社名だったが実現せず、内房線五井駅からひたすら内陸部を走って上総中野駅が終点。そこで房総半島の反対側から伸びているいすみ鉄道に乗り継ぎができる。いすみ鉄道の方は社会人対象に運転士を募集したり色々変わった事をやっているんですが、小湊鉄道はいたって地味ですな。

市原市 飯給駅のトイレ

んで、肝心の飯給駅の駅舎はというとあの青い掘っ立て小屋がそれ。さすがローカル線クオリティ。我々の他に人は誰一人いません。寂しいのう。ちなみに1日の乗降人数はわずか6人だ。

市原市 飯給駅のトイレ

トタン張り掘っ立て小屋の駅舎に掲げられた駅名標。これが無ければ「飯給」が「いたぶ」と読む事自体解りようもなかったであろう。

市原市 飯給駅のトイレ

飯給の地名の由来は古代日本の大友皇子に由来する大変古いものだそうで、壬申の乱に敗れた大友皇子の一行がこの地に逃げ延びた際に村人に助けてもらって飯を給わった事から来ているらしい。飯(い)を給(たも)う、が転訛して「いたぶ」だろうか。やっぱ読めねえよ。

市原市 飯給駅のトイレ

そんな由来と歴史のある飯給駅前にはのっけから稲穂を湛える田園地帯が広がっていて日本の原風景を今に留めているのである。春先には桜や菜の花が咲き乱れ、写真を撮りに多くの観光客がやってくるそうだ。でも駅前にはほんと何もなくて笑っちゃいますけどね。

市原市 飯給駅のトイレ

ちなみに現在使われなくなった飯給駅の旧トイレは入口に板が打ち付けてあって中に入る事も出来ない。駅舎同様、おおよそ駅のスペックに見合ったトタン張りの掘っ立て小屋だ。

市原市 飯給駅のトイレ

案の定旧トイレの内部はかなり粗末な仕様となっておりました。戦後のドサクサ系バラック飲み屋街の共同便所並みのクオリティである。個室は封鎖されて見れないけど、やっぱりボットン便所だったのかしらね。

市原市 飯給駅のトイレ

全く人もおらずひっそりとした駅のホームから向かいの原っぱを見ると、自作の案山子が沢山出迎えてくれるのだ。数が10体くらいいて妙に目を引く。しかしそれで寂しさが紛れるという事はない。

市原市 飯給駅のトイレ

脱力感と寂寥感に苛まれて早くも括約筋が緩んでまいりました。それでは問題のトイレを見に行こう。

市原市 飯給駅のトイレ

飯給駅前に設置された「世界一大きなトイレ」は2012年4月に出来たばかりのものだ。過疎化に悩む市原市内陸部の観光の起爆剤として本気で考えちゃったらしい。県の補助金1000万円を投じて「世界的建築家」の藤本壮介氏にトイレの製作を依頼して作ったという本格ぶり。なおトイレの入口は日中常時開け放たれている。

市原市 飯給駅のトイレ

しかしこの肝心の「世界一大きなトイレ」、実は女子トイレなんですよね…女だけズルくないかそれは。しっかり中に入らなければ取材にならんので入ったけど、念の為当取材班には女性スタッフもいるので変な疑いは掛けないで下さいね。

市原市 飯給駅のトイレ

男女障害者共用のトイレも別個で設置されているので男性諸氏はこちらでどうぞ。なにこの不公平感。ちなみに中は普通だった。

市原市 飯給駅のトイレ

恐る恐るトイレの中に足を踏み入れる。杉丸太で囲われた内部は「草原」をイメージした開放感溢れる作りになっており200平米の面積を持つ。トイレ使用中はこの200平米が完全なプライベート空間になる。それは贅沢な事。漫画「おぼっちゃまくん」の御坊家のトイレを彷彿とさせるレイアウトである。

市原市 飯給駅のトイレ

そんな草原のど真ん中にガラス張りで洋式便器が置かれているというシュールな光景…それは開放感抜群でさぞかし排泄行為が捗りそうな予感。やけにフレグランス臭が強いのが気になるが、それ以上に深刻なのが「暑過ぎる」という事だ。真夏にやってきたので余計そうなのだが、ドアを締め切ると余裕で熱中病で死ねる仕様。もうちょっと考えなかったのかよそのへん。

市原市 飯給駅のトイレ

トイレ使用中の図。一応カーテンで周囲一周目隠しできる設計になっとるのね。開けたまんまでも使えそうだけど後ろの民家から微妙に見えそうだし、人目が気にならないと言えば嘘になるかもね。そういえば設置当初は周囲にプランターが多数配置されていてお花畑状態だったのだが、ただの雑草伸びっぱなしの草っぱらでしか無くなっている。もはや維持管理が面倒になったのかしら。

市原市 飯給駅のトイレ

なお、このトイレが完成した当時「世界一大きなトイレ」として市原市当局が本場のイギリス・ギネス社に登録申請を行っているのだが、ギネス社からは「興味を惹かれず、審査に値しない」とあっさり却下されてしまったというお間抜けなエピソードがある。このネタトイレの為に1000万円の血税が使われている訳で市原市民の間でも非難が上がっているという話もある。

もう悲しすぎて泣けるのだが、千葉の里山で豪快に排便したい方は是非小湊鉄道に乗って飯給駅に足を運んでみてはどうだろうか。電車は1時間おきにしか来ないけどね。



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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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