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五反田の怪しい路地裏洋食屋「グリルエフ」で食事しました

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久しぶりに五反田を訪れた。池田山やら御殿山やら高級住宅地の高台が駅の周辺にボコボコあるのに谷底の狭い平地がたった五反しかないという事でその地名が付いた場所だが、狭い谷底に人の欲望が渦巻くように五反田有楽街といった場所がある香ばしい街だ。
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で、今回の目的地は五反田有楽街の入口から逸れた路地裏にひっそりと佇む老舗の洋食店「グリルエフ」である。歓楽街の怪しさに負けない、蔦に塗れた怪しい外観の店の中にどうしても入ってみたかったのだ。終戦間近の昭和25(1950)年開業というからガチな老舗だ。


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グリルエフの店内は2階建てになっているのだが、外観通りのシックでレトロ洋風な内装の1階部分ではなく、我々は2階に通されてしまった。満席だったから、本当にたまたまの話である。だがこの2階が凄い。場末の連れ込み旅館か妖怪屋敷か。いきなり和風な佇まいのアプローチに早くも大興奮。
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2階の階段付近はグラスやビールなどの飲み物を置くスペースとなっていて、ちょっと店の裏側を覗いた気分になる。古い土壁と欄間の意匠、完全な和風建築だ。
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場末の連れ込み旅館のようでもあるが、古い親戚の実家を尋ねたかのような奇妙なデジャヴに襲われる。控えめ過ぎるオレンジ色の照明に照らされる床のじゅうたんは真っ赤である。
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廊下を通り抜けた先に、モロ和風な部屋が2つ続いて用意されていた。部屋に置かれているのが一組の布団…ではなく白い布が敷かれた座卓というあたりがイカス。和洋折衷というか、日本家屋で洋食を食べるというミスマッチで意外な経験を楽しめるのだ。
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で、肝心のメニューは全て手書き。お世辞にも庶民的な店とは言えない。野菜サラダ1000円、海老カニチキンのいずれかが入ると1600円ですか。はあ。だがここで値段にケチを付けるのは野暮な事。思いっきり非日常を楽しもうではないか。
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せっかくなので店のお勧めであるタンシチュー(2500円)を注文した。隣で永井荷風が女を連れて食ってても何の違和感もない空間だぞ。濃厚で真っ黒なデミグラスソースはほろ苦い大人の味。
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そしてメニューには記載されていないハヤシライス(1200円)も注文。有名な裏メニューである。こいつも真っ黒なデミグラスソースがドバーっと掛かっていて濃厚な味わい。ついで出される食器も凄くクラシックな洋食屋って感じです。
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これだけだと少し口さみしいのでカニコロッケ(1400円)ももう一品。揚げ物なのになぜかお上品な味です。下町のコロッケ屋のコロッケと一緒にして欲しくないざます、と自己主張せんばかりの丸々と太ったマダムの巨乳のようなカニコロッケが2個、ゴロンと来る。口の中に入れるとほんのりミルキーでカニの香りが漂う。
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まあそんなこんなでじっくりと老舗の洋食の味を確かめながら黙々と誰もいない2階の座敷で別次元の空間を堪能した訳だが、あまりに古い建物なのかして時折天井にネズミが走り回る音までして凄い。これぞ老舗の風格。是非ともグリルエフに来たらお座敷をお勧めしたい。混んでる時間帯を狙うか大人数で行くと2階に通される確率が高まる。
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腹いっぱいになって会計を済ませて店の扉を開けると、そこには相変わらずの五反田の下品でギラギラとした街並みが広がっていた。さっきまでの空間は何だったのだろうか。グリルエフは五反田駅西側の旅館「海喜館」と並んで、五反田の二大レトロ怪奇スポットとして評したい。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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