東京都/中央区

東京都中央区ってどんなとこ?

概要


首都の玄関・東京駅八重洲口にもまだまだ残る昭和で場末的な呑み屋街の路地

東京都中央区 人口 162,876人(2019年2月現在)

全部で23の特別区を有する東京都の中でも唯一堂々と「中央区」を名乗る区域がある。文字通り首都東京のど真ん中に位置し、東京駅や銀座、日本橋といった超一級オフィス街や百貨店、高級ブランド店が立ち並ぶ繁華街を擁するおハイソな地域で、江戸と呼ばれていた古き時代から東京で最も古い市街地の一画を占めている。

しかしあまりにもド都心過ぎるために、千代田区と並んでオフィスビルだらけになってしまい「住む街」としての機能は相当失われつつある。昼間人口と夜間人口の差も激しく、昼はサラリーマンに飯を食わせる食堂や居酒屋が腐るほどある一方で夜は24時間営業のコンビニや弁当屋、仕事帰りのサラリーマンがたまるような居酒屋くらいしかなく、生活感のあるスーパーや商店街は乏しい。しかし近年は都心回帰の流れに乗じて高層タワーマンションが乱立し、高収入ファミリー層がこぞって流入を始めている。

一方で築地市場のような歴史のある市場も現存し「東京の胃袋」としての存在感を示しているが移転問題のゴタゴタを引きずり豊洲新市場が開場する見通しも立っていない。晴海通りから勝鬨橋を渡った先の勝どき、月島、晴海などの埋立地の街も昔は狭小長屋の連なるド下町全開エリアだったのにいつの間にやら超高層タワーマンションだらけのおセレブタウンに変貌している。また、晴海埠頭公園がある晴海五丁目付近が2020年東京五輪の選手村の建設予定地となっている。

地理・環境


勝どきの勝ち組住民が住まうランドマーク超高層ツインタワマン「ザ・トーキョー・タワーズ」

東京都中央区は皇居の南東側一帯に広がる地域で、千代田区・港区と並ぶ「都心三区」の一つに数えられる。八重洲、銀座、築地、日本橋、月島、勝どきといった地区に分かれているが区の面積もさほど大きくない上に東京湾に面した大部分は近代以降に埋め立てられた人工島である。日本橋や京橋などは江戸時代から続く下町の始祖とも呼べる区域で、今となってはとても下町と呼ぶのも無理があるほど高級おハイソエリア化してしまっているが、この界隈では数百年続く老舗店というものは決して珍しくも何ともない。

こうした東京の中でも特に歴史的に深い地域ということと日本橋や銀座や築地といった超有名エリアを擁する「中央区」という区名をブランドと捉えた新富裕層が続々建てられるタワーマンションに移り住んでおり、一時期はバブル経済で地価が急騰し都心から人口が激減していた90年代には6万人台まで落ち込んでいたが、現在は倍以上の15万人近くにまで増えている。新住民が区民の平均年収を押し上げている影響で、中央区は23区中4位の556万円にまで上昇している。この傾向は今後も続いていくものと思われる。

交通


悪名高い東西線茅場町駅の千葉都民による朝の大混雑。中央区民にはこの満員電車は無縁

誇り高き都心三区の一つ「中央区」の区民にとって鉄道は通勤のための手段ですらないことも何ら珍しくはない。職住近接の環境で徒歩かせいぜい自転車で通える場所に勤めていることが多いからだ。よって朝の東西線などで見られる千葉都民による通勤ラッシュの痛々しい満員電車とは一切無縁であり、それが「勝ち組・中央区民」であることの優越感をこの上ないものとしている。

そして中央区内を走るのはその大半が東京メトロもしくは都営地下鉄である。銀座線、日比谷線、東西線、有楽町線、半蔵門線、都営浅草線、都営大江戸線といった路線が縦横無尽に区内を巡っており、後付け的に出来たJR総武快速線や京葉線が一部その間を縫う形で走っている。

八重洲や日本橋エリアでは観光客や買い物客向けの無料巡回バスなども走っているので徒歩での買回りも楽である。やはり日本の顔としての東京と、東京の顔としての中央区。外国人観光客にも「オ・モ・テ・ナ・シ」の心を大切にしているのである。他の区とは格が違うのだよ。

住民の気質・傾向


中央区セレブマダム御用達の日本橋高島屋。他の百貨店とは格が違うザマスよと言わんばかりの重厚ぶり

銀座や日本橋といった一流タウンが連なる中央区であるが、江戸東京の歴史を遡ればこんな地域だってかつては下町だったわけで、浅草あたりに生息している天然モノの「ちゃきちゃきの江戸っ子」のような人種もこうした地域には普通にいる。とりわけ茅場町の某立ち呑み屋とか人形町の甘酒横丁のどこかの店に入った時は経営者家族揃ってガラの悪い塩対応っぷりにギョッとさせられた経験もあったんですがどこの店かこんな場所で言うと色々問題があるので伏せておきますね。

そんな江戸っ子下町気質の土着民とタワマン住みの新富裕層が入り交じる、といったところが中央区民のイメージではなかろうかと考えられる。水天宮前、浜町に少々、あとは佃、勝どき、晴海といったエリアにポコポコと高層タワーマンションが建設されているが、一般のサラリーマンにはとても手が出せない価格となっている。やはりお医者様とか弁護士様とか官僚様とか中国人様が主な住民でしょうか。つくづく東京は住む場所で人間の質が露骨に選別されていく都市なのであります。

中央区にはこんな街がある

JR山手線沿線


中央区八重洲の地名はオランダ人の名前「ヤン・ヨーステン」が由来だなんて

東京:東京駅八重洲口は中央区に属する。日本人と結婚して江戸に住んでいたオランダ人航海士ヤン・ヨーステンが地名の由来。丸の内側とは違いサラ金の入った雑居ビルやオジサン向けの怪しい店もちらほら混じっている雑多な街並み。東京ではあまりお目にかかれない広さの八重洲地下街もある。
有楽町:戦後はラク町と呼ばれ進駐軍相手に春をひさいだパンパンガールがたむろする街だった黒歴史が映画「肉体の門」で描かれている。銀座に隣接する土地柄だけにおハイソ向けな飲食店も多いがガード下は一転して戦後の闇市モード。丸三横丁だの西銀座JRセンターだのカオスな要素がてんこもり。
神田:駅南側の戦後のドサクサ的ガード下飲食街「今川小路」は北側半分が千代田区鍛冶町で南側半分が中央区日本橋本石町と路地の真ん中に区境が走っている。
新橋:中央区銀座七・八丁目の一部地域は新橋駅が最寄りとなる。超有名珍建築、黒川紀章の代表作「中銀カプセルタワービル」が朽ち果てそうになりながらもそびえている。

地下鉄銀座線沿線


世界に名立たる日本一のブランドタウン「銀座」、いわゆるザギンである。最近は爆買い中国人に媚び過ぎ

銀座:東京が世界に誇るブランドタウンの代表格。世界中の有名ブランドショップが集まる富裕層のお買い物ゾーン。しかし一歩裏手に入れば昭和な佇まいの路地裏飲食店やら「白いばら」なる老舗キャバレー、金春湯や銀座湯といった銭湯までもが生き残っている。昭和遺産的風景を残していた三原橋地下街は解体。
京橋:地下鉄銀座線で最も東京駅に近い。ここから八重洲通りのあたりまで地方銀行の支店がやたらと多い。無料で入れる警察博物館。
日本橋:三越と並ぶ老舗百貨店日本橋高島屋の豪勢な建物に加え近年駅前再開発でコレド日本橋などの商業施設がオープン、一流企業にお勤めのエリートサラリーマン向けのオトナの溜まり場である。
三越前:老舗百貨店三越日本橋店、建物を真上から見ると「円」の形をした日銀本店がそびえ風格漂う街。近年はコレド室町といった新しい商業施設も出来て日本橋同様エリートサラリーマン向けの意識高い系店舗が出揃う。

地下鉄日比谷線沿線


小伝馬町駅前にある「伝馬町処刑場」跡地に立つ大安楽寺。吉田松陰終焉の地

東銀座:元の地名は木挽町。日本の伝統芸能の拠点歌舞伎座があり年中おばちゃん観光客が群がっている。住所は銀座の一部だが大型商業ビルよりも飲食店や小規模なオフィスが多い。あとマンションや町工場や長屋の住宅なんかもちらほらある。
築地:築地本願寺と聖路加国際病院が街のランドマーク。言わずと知れた築地市場は移転計画が中断。観光客が年中殺到するイカニモ的観光スポットだが場外市場のオンボロ具合も見ものである。そんな市場を見下ろす日本を代表する自称クオリティペーパー()朝日新聞東京本社。
八丁堀:風が吹けば電車が止まる京葉線沿線民が日比谷線乗り換えで使う駅。鉄砲洲という古い地名がある湊二丁目界隈には悲惨な地上げ廃墟ゾーンが広がり虫食い状の空き地が点在していた。現在は再開発計画が進み高層マンションが建設中。
茅場町:東京証券取引所がそびえる日本のウォール街。証券会社のオフィスだらけである。四方を川に囲まれた霊岸島こと中央区新川は住民が暮らすマンションやアパートも多数。
人形町:吉原遊郭の起源「元吉原」があった街。大人の隠れ家的飲食店が密集する日本橋勤めのサラリーマンのオアシス。意外にも古びた路地裏風景に狭小長屋が連なる街並みが残る。明治座通いのおばちゃんが闊歩する甘酒横丁。お医者様と重役様御用達の人形町今半の特製すき焼き弁当。
小伝馬町:駅前にある十思公園は伝馬町牢屋敷跡、大安楽寺は処刑場跡。吉田松陰が処刑された場所。

地下鉄有楽町線・半蔵門線・他の沿線


豪華なタワマンがそびえ立つ一方でバラックのような木造長屋が密集する勝どき

銀座一丁目:有楽町線ユーザーが使う銀座の外れの駅。昭和7(1932)年築の超絶ヴィンテージ物アパートメント「奥野ビル」と銭湯「銀座湯」へはこちらが最寄り駅です。
新富町:銀座、築地、八丁堀に囲まれた空白地帯的エリア。中央区役所が最寄り。
月島:観光客が鉄板にぶち撒けたゲロを有難く食べに行くイカニモ観光スポット。もんじゃ焼に2千円払うとか何なの。家康を助けた縁で大阪から連れてこられた漁民の末裔が住む佃島もタワマン乱立地帯に。元は江戸時代の罪人更生施設「石川島人足寄場」。狭小長屋の路地の密集度も魅力的。
勝どき:隣の月島と同じく狭小長屋が密集する埋立地の島。大江戸線開通後はタワマン乱立地帯に変貌。勝鬨橋を渡れば銀座は目前と成金セレブが続々移住。朝は晴海トリトンに向かう通勤リーマン民族大移動。移転問題のゴタゴタで開通しない築地大橋。隣の豊海町は水産埠頭と小笠原行き貨物船「共勝丸」が発着。
水天宮前:半蔵門線が長らく終点だった駅。首都圏一円の妊婦がお参りに来る水天宮でお馴染み。場所が悪いせいか全然有効活用されてない東京シティエアターミナルの横に見えるジャンクションマニア垂涎の箱崎JCT。通称ヤマタノオロチ。
浜町:日本橋エリアの東の外れ。伝統芸能好きなおばちゃん軍団が集まる明治座と日本橋浜町公園。一時期ポケモンGOをプレイしに集まる人混みで埋め尽くされていた。
馬喰町・馬喰横山・東日本橋:東京屈指の馬喰横山繊維問屋街が有名。乗換駅なのにJR総武快速線、都営浅草線、都営新宿線でそれぞれ駅名が違う不親切設計。戦後埋め立てられた浜町川の上に立ち並ぶバラック風味な店舗や家屋は壮観だったが近年はマンション等に建て替えられ姿を消しつつある。

中央区に関係する何かを適当に並べた

都心に住む by SUUMO 2016年 10月号 [雑誌] (バイスーモ)
日本橋本 (えるまがMOOK ミーツ・リージョナル別冊)
八重洲・日本橋・京橋を楽しむ本 2016年 07 月号 [雑誌]: 東京人 増刊
おとなの週末 SPECIAL EDITION 最後の築地 (おとなの週末SPECIAL EDITION)
2020年マンション大崩壊 (文春新書)
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