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亀戸「サンケイスーパー」のモッタイナイ商品棚

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大不況だデフレスパイラルだと騒がしい昨今ですが、庶民は財布の紐をピシっと締めて、それに対するマーケット側は安いこそが正義であるとばかりにどんどん安売り競争を過熱させている時代。

東京DEEP案内では、首都圏各所の所謂「貧民街」にも数多く取材に訪れている。都内では足立・葛飾・江戸川という鉄板的存在は外せない訳だが、そうした街に共通している店舗が「ドンキホーテ」であったり「業務スーパー」「ジェーソン」もしくは「オーケーストア」だったりする。

しかしそれらのディスカウントストアのどれを見ても絶対にかなわないと思わせる最強の激安スーパーが江東区亀戸の香取神社近くの住宅地にひっそり存在している。

「サンケイスーパー」である。

以前テレビで「賞味期限切れ食材を捨て値で販売している」という実態が報道されてから、各方面に話題を振りまいている、個人経営の独立系スーパーだ。

サンケイスーパーへの道はよそ者からすると少々分かりづらい。目印となるのが香取神社の参道となっている「香取大門商店会」だ。亀戸駅北口から明治通りを北へ、亀戸四丁目交差点を左折した先に参道の鳥居が見えてくるはずだ。

香取大門商店会はいたって地味で寂れた商店街でしかなく、ちらほらと買い物客がいる他はぽつぽつと店が並んでいるだけである。某ジャニーズタレントの実家の果物屋があり、そこだけはやけに場違いなジャニタレ扇子が店内に飾られていたりしている。

商店街参道の脇道、うっかり通り過ぎてしまいそうな場所にサンケイスーパーへの入口がある。スーパーの敷地自体が袋小路のどん突きに建っているという変わった立地なのだ。

スーパーは生鮮食品が中心の1階と日用品や加工食品が中心の2階に分かれている。1階はごく普通の雰囲気であるが、客層をよく見るといかにも貧民ですと言わんばかりのヨレヨレのジャージ姿の金髪親子や、あとは老人だらけという、独特な傾向が見られる。

2階に登るとドンキホーテを彷彿とさせる狭い通路にぎっしり商品が陳列されている一番奥までやってくると、サンケイスーパー名物「モッタイナイ商品棚」の姿を拝む事ができる。

しかも棚の上に貼られたポップにも「マータイさん(ノーベル平和賞受賞)バンザイ!!」などと書かれていて笑える。

この商品棚に並べられたものは、全て賞味期限切れ食材。よく見ると生鮮食品ではなく数カ月~数年の賞味期限が設定された乾物系やレトルト、調味料やドリンク類などが中心となっている。

これら全てがサンケイスーパー店長直々の「味見」によって食えると判断したもののみ、こうして店頭に並べられているというわけだ。

さらに度肝を抜かされたのが、モッタイナイ商品棚の手前にうず高く積まれた緑色の袋。

どうやら業務用の焼きそばパンの材料などに使われている細切れのソース焼きそばの袋なのだが、一袋2キロ入りで28円という捨て値同然の価格で販売中。もちろん賞味期限切れだが店長のお墨付きなので安心(笑)

たまたま発注ミスで大量に注文してしまった別の業者から買い取ったものらしい。行き場のない人の人生も流れ流れて行き着く先に西成があるように、行き場のない食品が行き着く先にサンケイスーパーがあるのだ。

店長自らの直筆文が添えられている。かなり高齢なのかしてよく見ないと何が書いてあるのかわからない。モッタイナイ精神を守りぬく店長は食糧難に苦しんだ経験のある戦前生まれだ。

モッタイナイ冷凍食品コーナーも存在しており、そっちでは賞味期限切れチキンハンバーグが1個10円で販売されていた。

全国探しても賞味期限切れであることを明示した上で販売しているスーパーは亀戸のサンケイスーパーの他に知る所がないのだが、やはり常に役人に目を付けられているからしてか、敵対心剥き出しで「農林水産省の役人がうるさい事を言いますので。」などと一言書かれているところが笑える。

賞味期限切れでもその旨を明示してあれば食品表示法違反には抵触しないのだそうだ。食えるものを期限切れだからと安易に捨てる潔癖思想に楔を打ち込む超庶民派スーパーは下町・亀戸のど真ん中で今日も貧民の支持のもと堂々営業中なのだ。

<追記>
2016年11月13日、サンケイスーパーは建物の老朽化(築70年)など諸般の事情から閉店。熾烈極まりない亀戸のスーパー激安戦争の末に力尽きたか…

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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