全長1200メートル、徒歩15分!日本最長の「歩いて渡れる海底トンネル」が川崎港にある件

川崎市川崎区

道路や鉄道などのインフラ整備に限っては超一流の土木大国である我が国日本。この国土には沢山の橋やトンネルが存在するが、それでも「歩いて渡れる海底トンネル」というのはあまり多くはない。代表的なものを挙げれば大阪の安治川トンネル、下関と門司港の間にある関門トンネル人道、そしてこの東京近郊に存在するというのが「川崎港海底トンネル人道」なるもの。

川崎市 川崎港

東京・羽田空港にも程近い「川崎港」…しかし東京や横浜のそれとは違い、観光客もろくに近づかないような工業港である。場所もかなり辺鄙で、川崎駅から市バスに乗って来る事になる。近年は「工場萌え」だとか言って、工場夜景を見物に来る観光客もじわじわ居るみたいですが…

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我々がやってきたのはトンネルの入口にある「ちどり公園」。川崎港海底トンネルは昭和54(1979)年に完成した全長2180メートルのトンネルで、川崎臨海部の人工島である千鳥町と東扇島との間を結んでおり、やはりここへ来るのも市バスか自家用車を使うしか現実的な方法はない。

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…しかしこの日は東扇島で肉の祭典「ちくさんフードフェア」が絶賛開催中に付き川崎駅から出ている市バスが乗車待ちの大行列で、気が短い我々は辛うじての最寄り駅である京急大師線の小島新田駅から4キロ余りの道のりを小一時間掛けてとぼとぼ歩いて「ちどり公園」までやってきたのだ。

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海底トンネルは車道と人道で入口が別になっていて、歩行者や自転車は漏れなく人道の入口があるちどり公園の中に入っていく事になるが、ろくに公園の手入れもされておらず雑草が伸び放題になった中を野良猫達が我が物顔で過ごしていた。

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市街地からも遠く離れた無人地帯の公園だけあって、いつの間にか捨て猫が繁殖してしまい有名な猫スポットと化していたらしい。猫多すぎで地元ボランティアなんかが野良猫達の餌やりや避妊手術を行うなどして世話しているそうだが…

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猫と戯れるのも良いが、今回見に来たのは「歩いて渡れる海底トンネル」だ。さてどこにあるのやら、公園内をうろうろ歩きまわる事にする。

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ちどり公園の端は岸壁になっていて、休日には近所から釣り人が集まって岸壁に釣り竿を垂らしながらのほほんと過ごしている光景が見られる。「釣り禁止」の警告看板があっても、そんな野暮な事は言うなやって感じですね。

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岸壁の対岸に見えるのが東扇島。1994年に首都高湾岸線がこの人工島を通るようになり、現在は首都圏屈指の物流拠点として大型の物流・食品倉庫がひしめく島に変貌している。首都高を除いた一般道でここへ渡る手段は事実上「川崎港海底トンネル」しかない。

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さらに左側に視点を移すと東京湾アクアラインのトンネル部分から海上に顔を出す川崎人工島換気塔、通称「風の塔」も見える。ここいらの道路にやたら海底トンネルが多いのは、近くに羽田空港がある事による高度制限の為だ。川崎港海底トンネルも、橋を建てた場合は3分の1の費用で済んだが、橋を建てると高度制限に引っ掛かる為にトンネルを掘るしか方法が無かった。工期7年、総工費440億円という莫大な時間と金が掛かっている。

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釣り人と野良猫以外には、芝生にベンチを広げて上半身裸で寝ているその筋っぽいおじさんがいる程度で、トンネルを掘られる側には回りたくないので、さっさと海底トンネル人道の入口に向かう。

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…どうやらここから海底トンネルに歩いて潜れるらしい。ちどり公園の「千鳥町換気所」建物の脇にぽつんと入口があり、あまりに地味で目立たないのでうっかり通り過ぎそうになる。

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ああ、確かに書いてますね「海底トンネル歩道入口」って。ちなみにここと安治川、関門トンネル以外には愛知県の衣浦トンネルなんかもありますが、他はどこにあったのだろう。思いつく場所がない。

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そして目の前に誇らしげに置かれていたはずなのに雑草にまみれている「川崎港海底トンネルの建設 土木学会賞受賞記念碑」と書かれた石碑。沈埋工法で作られたトンネル自体、そんなに全国各地にポコポコある訳じゃないですからね。

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