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東京のリトルヤンゴンと呼ばれる「高田馬場」がどれだけミャンマーだらけなのか見に行った

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日本の首都であり極東アジア最大の国際都市でもある東京には様々な国籍の外国人が暮らしているが、そんな外国人コミュニティが気になる当サイトでもこれまで三河島や西新井のコリアタウンに始まり中華街化する西川口やらクルド人難民自治区ワラビスタンと化す蕨、パキスタン人がやたらと多い八潮まで、それなりに手広く取材を掛けてきた訳であるが、今度の外国人タウンネタはミャンマー人が集まる新宿区の「高田馬場」である。

高田馬場と言えば早稲田大学や東京富士大学といった大学キャンパス及び各種専門学校が集まり古くから学生街として栄えてきた街としては対外的に知られる訳だが、一方では負け組臭半端ない後進鉄道路線であり客層の悪さでは定評のある西武新宿線の事実上のターミナル駅でもあり、2016年9月に起きた西武高田馬場駅構内での催涙ガス異臭騒動は逮捕された自称アイドルの36歳女のキャラのキョーレツさと言い皆様の記憶に残っている事件だ。

同じ学生街と呼べる街は例えば世田谷の下北沢だとかにもあるが、シモキタのアッパーでウェーイな感じとはまるで真逆なのが高田馬場。貧乏臭い「学生ローン」の看板が駅前一帯を占拠し、道行く教授風のオジサンやなんだか余裕のなさげな貧乏学生が疲れた表情で足早に往来する、やさぐれた学生街である。

高田馬場に集まるミャンマー人とやけに多いミャンマー国旗カラーリング看板の謎

そんな高田馬場名物の学生ローンの老舗「カレッヂ」の看板の色、黄色と緑と赤がそのまんま国旗の色になっている東南アジアの国、ミャンマーの人々が実はこの高田馬場に国内屈指のコミュニティを形成していて、高田馬場は東京のリトルヤンゴンと呼ばれているらしい。なぜ高田馬場がミャンマー人の街となっているのか。それはやはり学生ローンカレッヂの看板の色遣いに「故郷」を感じるからだろうか。ちなみに信濃町カラーリングだと緑が青に変わりますけども。ええ。

この不動産屋の英語表記の看板も狙ってかたまたまか知らんがミャンマー国旗カラーリング仕様である。やはり新大久保の隣町という事もあってガイジンフレンドリーな不動産屋も多い。新宿区の外国人比率は7世帯に1世帯の高密度。堂々のガイジンタウン日本一である。(参考:新宿区の人口:新宿区

中井から高田馬場にミャンマー人コミュニティが移った

実のところ高田馬場にミャンマー人が集まる以前、1990年代には西武新宿線中井駅周辺にミャンマー人コミュニティが発生し、10年あまりの間、中井がリトルヤンゴンと呼ばれていた時期があった。(→参考記事

ミャンマー人僧侶が運営するアパートの一室を使ったミャンマー寺院を頼りにした人々が集まったこじんまりしたものでしか無かったが、2000年代になると交通便の良い高田馬場駅にコミュニティが移転、現在では高田馬場駅周辺にミャンマー料理店が20店舗以上も点在し、ミャンマー人が経営するアジア食品店なんかも多数存在している。

一方の中井は、そのミャンマー寺院があったという妙正寺川沿いのアパートや周辺を見ても、さっぱり何の痕跡も見当たらなかった。

高田馬場駅から東京富士大学方面に抜ける、アカデミック感ゼロの歓楽街的ストリート「さかえ通り」に入る。なんとも下品な看板が連なる居酒屋と夜のお店ばかりが目立つアレでスーパーフリーな早稲田の学生も御用達っぽい商店街なのですが…

そんな飲食店街に混じって「ミャンマー料理店」の看板を掲げる居酒屋が何の気無しにごくフツーにあるというのが高田馬場という街なのです。

同じさかえ通りにあるミャンマー語併記の看板が置かれたハラルフードショップ「ローズファミリーストア」。看板の色遣いといい案の定経営者はミャンマー人らしいが、この店舗、隣の新大久保イスラム横丁(百人町文化通り)の雑居ビル内にも店舗を構えている。ある意味新大久保の多国籍タウン圏内なんですねこの街は。

それも一軒だけぽつんという訳ではなく何軒もミャンマー国旗を掲げる食い物屋が存在するというこの密度の高さよ。ローズファミリーストアと同じビル内にあるミャンマー料理店ですねこれは。

この通り、ミャンマーとタイ両方の国旗を並べるアジア料理店もある。しかしこれまで馴染みの薄かったミャンマーという国。高田馬場という土地を知らなければ、ミャンマー料理というものを知る事も無かったというのが正直な感想といった所であろう。

2013年2月にタモリ倶楽部で「探訪!高田馬場・ミャンマータウン」の題名で放送されて、知名度がやや増した程度である。

高田馬場のミャンマー料理店を何軒かハシゴしてみる

高田馬場に20軒以上あるミャンマー料理店のうち何軒かをハシゴしてみる事にする。タイ料理やベトナム料理は別に珍しくも何とも無くなったが、やはりミャンマー料理と聞いてもあまりイメージ出来る要素が少ない。それなら高田馬場に行ってミャンマー料理を実際に食うしかない。

ミャンマー料理店の最古参「ミンガラバー」

まずは高田馬場どころか日本国内に存在するミャンマー料理店の中では最古参組と言っても良い「ミンガラバー」(ミャンマー語の「こんにちは」に類する挨拶言葉)である。1997年に最初の店舗がオープンし、2014年には二店舗目となる駅前店をオープンさせている。(外観写真は駅前店)

日本におけるミャンマー料理店の始祖に近い存在とも言えるミンガラバーでは王道らしくミャンマーの国民的料理「ラペットゥ」なるお茶っ葉のサラダと「モヒンガー」なる麺料理を頂く。なまずでダシを取ったスープにライスヌードルが入る、ミャンマーでは日常的に朝食として食べられている屋台料理だ。タイ料理とは違って辛くないのが特徴的。店内の雰囲気も料理も総じて無難な感じで、ミャンマー人よりも日本人客の方が多い。初心者向けである。

ミンガラバー

営業時間 [月-日]11:30-23:30 不定休
東京都新宿区高田馬場2-14-8

東京都新宿区高田馬場2-14-8

ミンガラバー 駅前店

営業時間 [月-日]11:30-14:30 17:30-23:30 年中無休
東京都新宿区高田馬場2-18-6

東京都新宿区高田馬場2-18-6

 店内に何故かカラオケがある「オリエンタルキッチン マリカ」

こちらも高田馬場駅前のビミョーな雑居ビルの上に店を構えている「オリエンタルキッチン マリカ」というミャンマー料理店。ここの店主はミャンマー北部の少数民族であるカチン族の御夫妻という事もあって、ミャンマーの中のカチン料理を扱う希少な店舗となっている。何故か店内にカラオケコーナーがあるという謎仕様。ミャンマーでもカラオケって流行ってるのだろうか。

ここで食ったものは「ダンパウ」(ダンパッウとも)というミャンマーではポピュラーなビリヤニの一種。写真では確認しづらいがスパイスで煮込んだチキンとカレーやシチューに似たルーが乗っかるのが特徴。他の二つは確かサッターチョットゥとかいう鹿肉ジャーキーの和物サラダとトーフジョーというヒヨコ豆で作った揚げ豆腐だったと思われ。土日は深夜営業しているので終電を逃した時には使える。

オリエンタルキッチン マリカ

営業時間 [火-金]11:30-15:00 17:30-00:00 [土日] 17:00-04:30 月曜定休
東京都新宿区高田馬場1-25-29

東京都新宿区高田馬場1-25-29

駅前一等地の怪しい黒ビルにある日本唯一のシャン料理店「ノングインレイ」

それから高田馬場駅利用者にはお馴染みの駅前一等地の怪しい真っ黒ビル「タックイレブン高田馬場ビル」の一階にもミャンマー料理店が入っている。「ノングインレイ」という店舗だが、ここもミャンマー東部の少数民族であるシャン族の料理が食える日本唯一の店だという事でミャンマー通の間では名が知れている。

シャン族は「タイ・ヤイ族」とも呼ばれ、昆虫食の本場であるタイの国境に近いミャンマー東部という土地柄もあって、ノングインレイでもびっしりと背筋の凍りそうな昆虫系メニューも置いている。一番人気らしい「竹蟲」は既にゲテモノ奇食マニアの間では有名過ぎるが、他にもコオロギの素揚げだのカエルの揚げ物だのも食えるのが特徴。

…って、サブカルかぶれのアホの一つ覚えみたいにゲテモノに手を出す訳がないのである。ランチメニューで食える「ナマズカレー」がやけに旨い。他にも「シャンそば」も白飯に副菜にデザートも付く炭水化物オン炭水化物な豪華っぷりなのに750円で食える。学生街という事もあって何を食っても千円で釣りが来るコスパの良さも素晴らしい。

ノングインレイ

営業時間 [月-日]11:30-23:30 年中無休
東京都新宿区高田馬場2-19-7

東京都新宿区高田馬場2-19-7

高田馬場にはまだまだ知られざる「日本のミャンマー」が存在する

という訳でざっくりと東京のリトルヤンゴン、日本のリトルミャンマーと言っても過言ではない街「高田馬場」のミャンマーっぷりをお伝えしてきたが、まだまだ知らないミャンマー料理店も多いしその奥深い世界を知るのならば何度も通うしかない訳でこの辺で締めときます。

ミャンマーと言えば最近まで軍事独裁政権で、2011年以降に民主化を果たし、長い期間軟禁状態にあったアウン・サン・スー・チー氏が政治の表舞台に復帰するなど劇的な変化を遂げている国だ。日本企業のミャンマー進出も加速している一方でミャンマー人観光客や留学生も増加傾向にあり、高田馬場のミャンマータウンも今後は更なる発展が予想される。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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