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【まともな川崎】東横線元住吉「モトスミ・ブレーメン通り」を観察する

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近年工場跡地が再開発されタワマン乱立ゾーンに変貌してしまった川崎市中原区の「武蔵小杉」。東急東横線とJR南武線が交わる街にJR横須賀線ホームも新設され、都内主要部の大部分を乗換なしで行ける事になった地の利の良さも相まって、川崎のくせに地価もうなぎのぼり、しまいには「ムサコマダム」と称する勘違いセレブ層も現れだして、豊洲と並ぶタワマン街ならではの殺伐ぶりを某まちBBSのスレで「武蔵小杉をムサコと略すな」「昔からの住民は小杉と略しているのに」などと延々と言い争う不毛なやりとりを見るにつけ思い知らされる。

一方で、そのような武蔵小杉のゴタゴタを横目に、隣町の変貌ぶりなどどこ吹く風とばかりに普段通りの日常風景が繰り広げられている街が、武蔵小杉の一つ先にある「元住吉」、通称「モトスミ」である。各停しか止まらないローカルな駅ではあるが、東急東横線に加え東急目黒線も並走しており二路線使用可能なのは武蔵小杉の一つ手前の新丸子と共通している。

この元住吉という街、駅が各停しか止まらない割には駅前がかなり開けていて、駅の出入口を出た両側に発展度合の高い商店街が二つ連なっている。一方は駅の東側に伸びる「モトスミ・オズ通り」。こちらは飲食店・居酒屋・パチンコ屋などが多めでややオッサン臭漂う商店街だが、元工業地帯の武蔵小杉と一体化している新丸子ほど労働者臭がキツイ訳でもない。

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ドイツかぶれの商店街「モトスミ・ブレーメン通り」の富士そばがアレな件

どちらかと言うと駅の西側にまっすぐ伸びるもう片方の「モトスミ・ブレーメン通り」の方が街のメインストリートとしての機能を果たしており、元住吉と言えばこのブレーメン通りを抜きには語れない、それほどの商店街でもある。いつ訪れても活気があり、しかも同じ川崎でも臨海部の川崎区や幸区の街とは異なりガラの悪さを感じる事はない。さすが首都圏屈指のアッパースイーツ路線である東急東横線沿線ならではの違いか。

元々は「元住吉西口商店街」というのが正式名称だったが、昭和63(1988)年にドイツのブレーメン市にあるロイドパサージュ商店街と提携して今の名称になっている。同じ東横線沿線の自由が丘におフランスかぶれの「マリ・クレール通り」があるように、ここも便乗してドイツかぶれになったのだろうか。ブレーメンと聞けばやはりグリム童話の「ブレーメンの音楽隊」ということで、駅前にはこのようなわかりやすい動物達のオブジェも建っている。

さらには商店街の入口にある、これまた「ブレーメンの音楽隊」の動物オブジェが壁全面に掲げられたこちらのおドイツかぶれなビルの一階に入っている富士そばが少し変わっている件について。

元住吉民なら恐らくみんな知っている、富士そば元住吉店限定「ブレーメンそば」なる珍妙な一品が存在している。何の事はない、そばにソーセージとフライドポテトが載っている、ネタとしか思えないトッピングである。

ブレーメンそばを肴に冷えたビールを一杯。ビールまでもがご丁寧にレーベンブロイになっていてどこまでもドイツ仕様だ。またネタに走ってしまいましたが、周りの客は誰一人としてブレーメンそばを食ってません。まあそんなもんでしょう。なお、トッピングのソーセージとフライドポテトはそれぞれ単品でオーダーできる。

まともな川崎のまともな商店街

そんなブレーメン通りを歩くと、駅前からおおよそ500メートルの範囲であらゆる業種の生活に根ざした商店が密集しており買い物客の姿で賑わっている。スーパーはマルエツの他に大野屋やえばらや、生鮮市場ダイイチといったローカル臭キツめのものまで豊富にある。個人的には完全に武蔵小杉よりも住みやすい街だとこの時点で判断が決まっている。ははは、何がグランツリーじゃ。

それでいて、南武線沿線や川崎臨海部特有のガラの悪さとは一線を画した、東横線ならではのアッパー感が漂っているのも元住吉の特徴。「まともな川崎」と形容できる数少ない街の一つである。商店街を歩いている家族連れやお年寄りも、東横線沿線住民らしくどこかしら小綺麗で品がある。

外食店もまた、判で押したようなチェーン店ばかりに侵食されきっている訳でもなく、意識の高いマダムがたむろするようなカフェ風のレストランもあれば、ドカチンや学生の溜まり場になって「モヤモヤさまぁ~ず2」に紹介された事を玄関口で大々的にアピールしているこちらの「1・2 さんきち」のようなベタな街の洋食屋もあり受け皿が広い。

こちらの洋食屋、ポケストップに指定されている事をアピールしている割にはポケモンなのか何なのか不明な生物が描かれていたり、揚げ物ミックス定食を「アゲノミクス」と称して売っていたり、何かと狙っている感じがするのも寒い。しかし地元民に愛されている感が半端ない。よく見りゃ「おかげさまで38年目突入」と書かれているではないか。結構な老舗店だ。

モトスミでもちらほら垣間見える川崎的野暮ったさ

しかし一方ではボロ汚い激安ドリンク自販機なんかもあったりして、あまつさえ硬貨投入口には「パチンコ玉のように連続して(硬貨を)入れないで下さい」と注意書きの張り紙が貼られていたりする点が川崎ならではの野暮ったい下町臭さを漂わせている。全くもって昔からガラの良い住宅街ではない事だけは確かだろう。

そんな激安自販機が置いてある建物には元住吉界隈でも屈指の野暮ったさと怪しさを放つ独特の喫茶店が営業している。カフェレストラン「レオナ」である。何がどう怪しいかこの場で説明しろと言われても、ここに載せている数点の写真だけでは今ひとつ「何か」が伝わらない気がして、是非現地で見て欲しいのだが…

店の表に張り出されているメニュー表の数々が妙に電波チックだったり、二階の店内に直結する専用のエスカレーターがあったり、色々な意味で個性的。あまりに気になったので飯を食いに入ったのだが、ここの話だけでもネタ一本書けそうなので別の機会に詳しくお伝えしたい。

そんなレオナの名物が、ブレーメン通りに面したビルの二階に仕掛けられているこちらの「からくり時計」。商店街のコンセプト通りに楽器を手にした動物の音楽隊が一時間に一度姿を現す仕組みになっている。元住吉民であれば誰もが知る喫茶店の誰もが知るからくり時計のはずだが…それを含めてどうも磁場がおかしい。

ブレーメン通りに連なる建物の中には、ドイツ風どころか日本の戦後の闇市風味の古ぼけた住宅兼店舗の建物も一部ではあるが見られる。住宅開発が激しい東横線沿線の街としては、このタイプの建物が残っているのは珍しくも思える。同じ川崎でも臨海部に行くといくらでもあるんですがね…

建物中央に伸びる通路に目を向けると、その先には「韓国村」と称するネーミングそのまんまな韓国料理店の玄関口がちらりと見える。ちょっとした池上町・おおひん地区的テイストを匂わせる一画。元住吉界隈ではレアでガチなリトルコリアン空間である。

最近、神奈川方面に多すぎませんか?怪しいフルーツ売りのお兄さん

そんなこんなでモトスミ・ブレーメン通りを見物していた最中、のっけから現れた怪しいフルーツ売りのお兄さんの姿が目に飛び込んだ。通行人に誰かれ構わず声を掛けては野菜や果物を売る、一部では「やりがい搾取」などと非難されるダイナミックなんとかといった謎の移動販売業者である。

毎回毎回、キョドった感じの若い兄さんが「あの…あの…○○の八百屋なんですけど…」と話しかけてくるのがお決まりのパターンで、これも随分昔から見かける商売だが、最近は神奈川方面の街で頻繁に目にする。もっとお金になってタメにもなる仕事、探せばあるだろうに…


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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