横浜根岸界隈を行く (2) 高台の上のアメリカ

観光都市とベッドタウン都市の両方の顔を持つ横浜においてそのどちらにも当てはまらない空白地帯を探し訪ねてきた我々取材班にとって「根岸」の街は魅力的である。横浜駅からJR根岸線でわずか10分程度、駅前から石油タンク貨物車がずらりと並び、まるで光の当たらないくすんだ駅前風景、そして目の前にある高台の上には高級住宅街に加えて米軍住宅があるという両極端な街並み…
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JR根岸駅の正面から高台が見える。これからこの高台に向けて歩いて行く事にする。目の前に高台の上にそびえるマンションや一軒家が見えるとは言え、歩いて登るのは結構大変だ。


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山側の住宅地に入るとすぐに根岸森林公園への道標が現れる。旧根岸競馬場跡と米軍住宅が隣り合う公園だ。道標の示す先に「東坂登り口」がある。
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駅前を東西に走る主要道路を跨いで住宅地に入るとすぐに高台と麓を分断する断崖絶壁にぶつかる。この極端な地形を形作る崖線は「マンダリンブラフ」と呼ばれ有名な本牧に通じて、そのまま山下町方面まで続いているのだ。
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いきなり極端な崖が現れるのは横浜では別に珍しい風景ではない。港町ヨコハマは崖のまちヨコハマでもある。戦後はベッドタウン都市となった横浜市の各所にこうした崖っぷちに無理矢理家やマンションを建てて、窮屈そうに住んでいる市民の姿がある。
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高台の上に通じる東坂を登る。断崖絶壁に沿った九十九折の階段坂。この上も住宅地なので行き交う人の姿は多い。なんと崖の反対側にマンションが建っている。
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東坂の途中まで上がると崖に隣り合っていたマンションはいつの間にか眼下に沈んでしまっていた。マンションの駐車場は崖の上から橋が渡されて、屋上から車を出し入れするようになっている。変な作りをしているなあ。
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九十九折の坂の途中に家を建てている所もある。玄関まで車が入れられません。さすがに高台の上に来ると、家もどこかお上品な感じに変わる。
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ちなみに東坂は誰が選んだか「ヨコハマ美坂50選」だそうだ。しかし皮肉な事にマンションが視界を妨げている。これさえなければ眺望がよかったろうに。
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東坂を登り切った所は「根岸台」となり、明らかに下界とは異なるご立派な高級マンションやら豪邸が並ぶセレブゾーンに変わる。根岸駅方面から伸びる車道(不動坂)と合流する。
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ヘアピンカーブの途中に不動坂上という市バスの停留所がある。自家用車がなければ市バスが唯一有効な交通手段だ。マダムざますよ、と言わんばかりのオバサン軍団が大勢バス停の前で待ちぼうけている。
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そこからさらに階段坂を登っていく。この上には根岸森林公園や米軍住宅などがある。
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坂を上がった左手にかなり年季の入った住宅街が残っていた。広々とした一戸建ての家屋が5つ程並んでいる。米軍向けの分譲住宅らしく「マッカーサーハウス」の表記が見られる。
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その住宅街の一画が幼児英語教室になっているらしく看板が掲げられていた。高台の上は、どうやらアメリカだったらしい。

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