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横浜根岸界隈を行く (6) 根岸共同墓地への道

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みなとみらい、中華街に元町、女子向けオサレスポットだらけの横浜駅、港町ヨコハマの光がそっち方面にあるというなら、影の部分となるのが根岸界隈と言えるだろう。戦前の競馬場跡や米軍住宅といった、歴史的なランドマークもあり、死に掛け寸前のレトロな商店街もあり、谷戸地の谷底に沈み込む下町風景もあり、DEEP的な見所は盛り沢山である。
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我々が続いて向かったのは山元町商店街の「大平町入口」交差点から再び谷筋を走る路地を上がっていくと現れる「横浜市根岸共同墓地」である。
市の共同墓地と聞くと、なんだか綺麗に整備されたちゃんとしたものを想像するが根岸共同墓地の場合はかなり事情が違う。丘陵地を無理矢理切り開いて無造作に墓が建てられて、まるで怪奇映画のワンシーンのような怪しい風景が広がっているのだ。


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ここも根岸森林公園へ続く道と同じく、人通りも少ない寂しい路地の両脇に放棄されたような古い家屋がちらほら見られる、どこか陰気臭い街並みが続いている。しかし共同墓地へ続く道なんて明るい訳もないか。
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とっくの昔に店じまいしたかのような古い街の時計店。昔はもう少し栄えていたと思われ店舗の跡と思しき建物は多いが、現役の店は皆無でマンションや一軒家が多い住宅地となっている。
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もう一軒、とっくの昔に潰れてしまったと思われる個人商店の残骸が…残っている建物もかなりの古さを感じさせる。築50年以上は行ってるような感じである。
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谷筋の北側に沿って小規模ではあるが寺町が形成されている。山元町商店街に近い側から西有寺、大円寺、東漸寺、円大院。共同墓地はその寺町を過ぎたさらに奥だ。雰囲気は鮫ヶ橋スラムと呼ばれた四谷の若葉町あたりに近い。
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そして街並みも奥へ行けば行く程、不自然に放棄された土地が目立ち始める。横浜と言えば明治以降の急激な都市化で誕生した「乞食谷戸」の話を耳にするが、ここもそうした場所の一つだったのだろうか。
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ボロアパートなどが立ち並ぶ脇道の突き当りの路地。なぜか軽トラの後部ドアだけが取り外されて放置されている。どういう事だこれは。周囲にも家財道具が不法投棄されまくっていて雰囲気のやさぐれっぷりが容赦ない。
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驚く事にその奥にも妖怪屋敷のようなアパートがあった。ただならぬ異様さを感じる。
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しかしよく見てみるとそのアパートは完全に廃墟という訳ではなく、福祉車両である電動カートが停めてあるのを見ると老人が一人で住んでいるようだ。
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共同墓地へ至る道は東漸寺や円大院あたりから一気に狭くなり、道筋もいよいよ迷路のような姿に変わる。この先で本当に道が合っているのかどうか疑わしくなってきた。
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非常にややこしい路地だが、正解は円大院の山門がある側の細道。なかなかご立派な山門である。
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山門の傍らには関東大震災の犠牲者を弔う追悼記念碑が置かれていた。関東大震災についてはどうしても東京・本所の火炎旋風による焼死者の多さが印象強く、横浜にはあまり目が向かないのだが、震源が相模湾沖だったので当然震源に近い神奈川県の方が地震のダメージが大きく、横浜でも多数の犠牲者が出た。
明治以降の都市化で横浜各所に作られた「乞食谷戸」の多くもこの震災によって壊滅・縮小し、昭和期には殆ど消滅している。
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円大院を過ぎて道幅が細くなると周りの谷筋も急激に狭まり、崖上にピッタリへばり付いた貧乏臭いアパートなんぞを見かけると、土地の因縁は何があってもそう簡単には変わるものではないなと考えさせられる。
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いよいよフラットな土地が無くなり周囲が丘陵地に変わりだすと、一部は真新しい分譲住宅にもなっているが、一方で古びたあばら家が谷底から見えてきたりする風景の変化が著しい。
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分譲予定地として更地にされたであろう谷底の土地に一軒だけ古い民家がウチだけは立ち退かんぞとばかりに踏ん張っているのが見えた。
ここまで来ると共同墓地はすぐそこ。陰気臭さの抜けない土地だが、横浜市街地に比較的近い事もあって自家用車持ちのファミリーなんかには分譲住宅の需要があるのだろうか、子連れの若夫婦が不動産業者に連れられて物件見学中の所を目にした。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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