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無残!王子駅前「さくら新道」炎上

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JR王子駅前の飛鳥山の麓に戦後すぐの頃に建設された呑み屋横丁「さくら新道」があり、駅前至近距離ながらも昭和の佇まいを残すとともに、毎年梅雨時には紫陽花の花見どころとなり情緒豊かな風景を見せる場所だった。

しかし先日火事で丸焼けになってしまったという一報を聞いて、居ても立ってもいられず現地へ赴いた。王子駅のホームに降りると目の前には確かに無残に焼け落ちた「さくら新道」の姿があった。ホームにまで焦げ臭い匂いが漂ってくる。

王子駅前さくら新道飲食街は戦後の昭和27(1952)年、王子駅前の闇市から始まった「柳小路」がバラックから木造に建て替えた時に、土地が足りないという理由で線路を挟んだ反対側にある現在の柳小路がある場所から、くじ引きで決められた一部の店舗がこの木造長屋に移ってきた。つまり柳小路とは姉妹関係にある。

さくら新道の飲食店街は60年間飛鳥山公園の下で変わらぬ姿で建ち続けていた訳だが、先の東日本大震災の揺れでも持ちこたえたにも関わらず火の不始末でこんな結果になってしまうとは虚しいものである。

2012年1月21日未明、さくら新道の店舗兼住宅の2階に住んでいたスナックのアルバイト従業員が就寝中に付けっぱなしにしていた電気ストーブから寝具に引火した事がきっかけで瞬く間に建物全体に炎が燃え広がり、長屋になった建物の3分の2以上が全焼した。

駅のホームからも焼け焦げた長屋が眺められる。突然の火災の一報を聞きつけて写真を撮りに来ている方々も多数。普通に2階には人が住んでいるので、煙を吸い込んだりして何人かは病院に担ぎ込まれ、おばあちゃんが1人意識不明の重体とのこと。

当然ながら建物脇を走るJR宇都宮・高崎線や湘南新宿ライン、京浜東北線などの鉄道網も5時間もストップするなど大騒ぎになった。東北新幹線への振替輸送までやっていたらしい。これが土曜日の朝だったのでまだしも平日でなかったのが不幸中の幸いと言えよう。

火の手が収まった後の現場にもまだ警察官や消防隊員が留まっていた。念のため近くまで見に行く事にする。

さくら新道飲食店街の長屋で焼け落ちたのは奥側の3分の2にあたる部分である。手前には規制線が張られているので近寄る事もできず、あまつさえ焼け出された家財で道が塞がれているのでとても入れる状況ではなかった。

この冬は1ヶ月以上雨が降らず乾燥した寒い日が続く異常気象で火災が起きやすい環境にあった訳だが、この日は1ヶ月ぶりに天気が崩れて小雨がぱらついていた中にあった。戦後の風情を残していた木造長屋は店の看板を残してほぼ炭と化している。ああ無念。

傍らの飛鳥山公園に登って崖上から建物を眺める。ここまで焼け尽くされると再建は不可能だろう。残念ながら取り壊されるしかない。

飲食街の玄関先には大量に焼け出された家財の数々。まさしく着の身着のままといった感じである。

まだ何人かここで生活している住民が居た訳だがてっきり爺さん婆さんしか居ないものだと思っていた。火元の原因を作った「20代のアルバイト女性」って、そんな若い子がなんでこんな場所に住んでたのかも気になるよな。

戦後の闇市をルーツとするオンボロ呑んだくれ横丁は東京各地に今も沢山残っている。新宿西口のしょんべん横丁(思い出横丁)の火災も記憶に新しいが、再開発で消えてなくなるだけでなく、こういった災難で突然歴史のピリオドが打たれる事もあるのだ。

最後に在りし日の「さくら新道」の姿を載せておこう。「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉は江戸時代のお話だけだと思っていたら大違いである。皆様も火の元には気をつけましょう。電気ストーブ付けたまま寝たらダメだって。

2012年1月21日、この日はまた一つ東京から「昭和」が消えた日である。

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