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23区の最果て・練馬区大泉学園町 (5) 新座市栄五丁目

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東京の外れ、練馬区大泉学園町と複雑に境を接する埼玉県新座市栄四丁目には「四条名店街」という寂しい場末の商店街が残っていたが、実は新座市栄にはもう一つ商店街がある。

それが栄五丁目にあるというので、引き続き碁盤目状に整備された住宅地を都県境に沿って進んでいく事にする。商店街を外れると特にツッコミどころもなさそうな普通の住宅街だが、どこで都県境を跨ぐか分からないので、その手のマニアにとっては意味もなく興奮してしまう土地でもある。



栄四丁目の商店街から南西方向に歩いて行くと再び都県境が現れた。境界線は碁盤目状の街路を完全に無視して昔からある地主の農地だった頃のものが忠実に残されているようだ。この辺ではわざわざここから東京だ埼玉だと標識に出す事もなく、辛うじて都県境を示すものは路上の舗装の違いだけだ。

練馬区側の大泉公園を跨いで西側へ。どうやら栄五丁目の商店街がこの向こうにあるという。

大泉公園の前にあった「大泉風致地区案内図」の立て看板は経年劣化で錆びたあまり図や文字が掠れてまともに読む事も出来ない。風致地区では宅地造成から増改築、樹木の伐採や土石類の採取に至るまで都知事の認可がないとダメですよ、くらいは読めた。

東京都側ではルールが比較的厳格な為に綺麗な一軒家ばかりが目立つが埼玉県側は一転してくたびれたボロアパートが多い、これも歪な都県境がもたらした不可思議な現象なのだ。
この付近では隣り合う家と家の間に都県境が走る事は珍しくも何ともない。お隣同士で練馬区と新座市に跨り住居表示が違うケース。

「都民マンション」という名前なので思わず笑ってしまったのだが、これは都民農園の「都民」の名残りかも知れん。ちょっと意外なのがこのマンションの表札には住所が新座市と練馬区の2つが記載されている事だ。まさかマンションの敷地内を都県境が跨っているのか?!

東京と埼玉に跨る一軒のマンション…それは県境マニア垂涎のレア物件だ。もし部屋の中に都県境があったら病気で倒れたりして救急車を呼ぶ前に東京か埼玉か確認してから管轄の消防署を呼ぶ事になるのだろうか。そして110番や119番はどっち側に繋がるのかも気になる。

都県境を再び跨いで新座市栄五丁目に入る。左手には何やら店舗兼住宅らしき長屋風のビルがあるが軒並みシャッター通りで商売上がったりと言わんばかりの状態だ。

どうやら栄五丁目の商店街というのはこの辺の事を指すらしい。自販機だらけの酒屋さんが角に建っている。三河屋酒店というサザエさんに出てきそうな名前の酒屋がある南北の通りが商店街のメインストリートのようだ。

栄四丁目の四条名店街もたいがい寂れていたが、ここの場合はもはや「昔ここは商店街でした」レベルの街並みに変わっている。必ずしも寂れた原因が高齢化や過疎化という訳ではないと思うが…

相当の年季を見せるそろばん教室の看板。かつてはこの辺の路地も子供だらけだったんだろうなと妄想するしかない。今どき幼稚園の頃からパソコンを触らせる世の中なのにそろばん教室に通う子供ってあんまり見かけないんですが。ある意味これも昭和の遺産か。

隣には魚屋の店舗跡。「つきじ魚がし」と書かれたテント屋根もそのままにシャッターには「貸店舗」の張り紙が。ああ無情なり。

そこからさらに北側には商店街らしく個人商店がずらりと並んだ長屋が辛うじて残っていた。一応ながらに喫茶店や豆腐屋、それにカラオケスナック、向かい側にはお好み焼き屋まである。

しかし少し歩いてみると商店街は唐突に途切れて普通の住宅街に戻ってしまう。この付近の商業施設はもっぱら大泉学園通り沿いにシフトしているようで、商売をやるには厳しいようだ。

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ちなみにこの栄五丁目商店街付近の都県境が激しく入り組んでいる。この辺の都県境の複雑さは家一軒単位で東京か埼玉のどっちなんだというレベルである。練馬区西大泉町の飛び地問題と一緒で大地主が首を縦に振ればこういう問題ってすぐ片付くとよそ者の我々が見ればそう思うのだが、当の住民は不便を感じないのだろうか。

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