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サラリーマンの聖地「新橋」 (6) 新橋の珍建築

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東京にやってくると面白いのは変な建築物が多い事である。それは東京が首都であるからゆえに日本を代表する建築家が設計する「作品」がそのままビルとして建ってしまったりすることが多いからなのだが、芸術作品は人に見てもらってこそナンボのものである。
珍建築マニアなら訪れるべき新橋周辺の物件情報を少しばかり案内しよう。
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新橋駅を降りて汐留方面に歩くとシオサイトの一画に「旧新橋停車場」を再現した建物が現れる。新橋駅が鉄道発祥の地だと言われているが当初はこの建物の場所に駅が存在していたという。


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旧新橋停車場の建物と、その背後に建つ超高層オフィスビル「汐留シティセンター」と比べると遠近感がさっぱりわからなくなります。
ある意味これも「珍建築」かも知れないがこれはネタの内に入らない。
目標の場所はこの向こうにある。
この先の歩道橋を上がった先に、建築家黒川紀章が手掛けた一大ネタ物件「中銀カプセルタワービル」がそびえているのが見えるはずだ。
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汐留再開発地区から首都高を挟んだ向かいに見える、サイコロの一の目のようなカプセル状の構造物が積み木のように重なった奇妙なビル。
建築家黒川紀章が「メタボリズム」の思想のもとに昭和47(1972)年に建てた住居用マンションである。
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実はこの建物の構造体一つ一つが取り外し可能な設計になっているのだ。
メタボリズムとは人間の身体の細胞が新陳代謝で生まれ変わるように、建物自体も新陳代謝を繰り返すという思想である。
1970年代と言えば大阪万博の近未来的パビリオンに代表されるように、高度経済成長が成熟した後の日本で狭い国土の上で過密化していく生活の変化において次の世代にいかに適した住居を作り上げるか、といった事に黒川紀章をはじめとした建築家は熱を上げた。
来る21世紀にはきっと「ドラえもん」に描かれるような未来都市が出来上がっているのだろうという昭和の世代の子供なら誰もが思いついた事のある妄想世界が現実に出来上がってしまったらこんな風になりました、という典型例である。
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しかし実際に21世紀が来てみるとそう大して生活が劇的に変化した訳でもなく、このカプセルタワービルだけが完成から40年も経過してただ一つ「浮いた存在」のまま時の流れに抗えず老朽化を迎えている。
建物の性質上、住居だけではなく個人用オフィスとしても使われているようだ。家賃は管理費込みで5~6万程度らしい。(但し管理費込みで8万程度になるらしい)「銀座のマンション」でこの価格帯はお値段異常だ(笑)
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老朽化で「中銀カプセルタワービル」の「プ」の上の丸が取れてしまっている(笑)
建物の取り壊し計画も挙がっている中、取り壊しに反対する珍物件愛好家の意見もあり、今も現役。だが当初の黒川の思想に基づいた「新陳代謝」としてカプセルの取替えが可能なはずの建物の構造体は未だに一つも取り替えられる事もなく今に続いている。
「これほど管理会社泣かせの物件はない」との声もあるが…
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建物1階にはカプセルの見本がそのままの状態で置かれている。やはり見れば分かるが極端に狭い。物件としては10㎡ほどの極小物件で、ワンルームの中でもとりわけ狭い部類に入る。しかも電話やテレビなどの家電製品は全て据付けされており、テレビは昔ながらの「チャンネルを回す」タイプ。
メタボリズムの思想は家財道具や家電までには至らなかったようである。
結局現在はそれらの据付け家具を撤廃して普通のワンフロアーにリフォームした洋室も併せて貸し出されているようだ。
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もう一つ、新橋近辺と言えば建築家丹下健三が手掛けた「静岡新聞東京支社ビル」の建物。昭和42(1967)年施工。円柱状のタワーに木の枝のようにビルがへばりついた形になっている。
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黒川紀章の師匠が丹下健三ということもあり、東京において手掛けた物件の数は丹下健三の方が多い。あの有名な東京都庁もそうだし、代々木第一体育館も丹下健三作品だ。
東京の珍建築を探せば必ず名前がぶち当たる「安藤忠雄・丹下健三・黒川紀章」のお三方。ある意味「珍建築の三大巨頭」と言えるべき存在。東京各地にまだまだ沢山存在しているので、暇なら見て回るべし。
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新橋周辺で言うならもう一つ、新橋駅と浜松町駅のほぼ中間に位置する汐留再開発地区の一環である「イタリア街」なる奇妙な一画もあるので是非訪れてみてはいかがだろう。
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一般ピープル的にめぼしいものと言えば場外馬券場「ウインズ汐留」があるだけだが、建物をイタリア風にしてオフィス街を形成しているのが特徴である。それにしてもこれが場外馬券売場かよ。いくら建物を立派にしてもそこに来る客のクオリティが変わらないのがギャンブル施設の宿命だ。
新橋関連リンク
retour&Retour: 黒川紀章作『中銀カプセルタワービル』5万7千円 ?「プロローグ」
新橋フラッシュ

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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