品川駅高輪口 (1) 閉鎖された「京品ホテル」

東京の南の玄関口「品川駅」は一旦駅を降りてしまうと途端に生活感のない風景が広がる一風変わったターミナル駅であるが、芝浦屠場などのある東側とは打って変わって、西側の高輪口に出ると巨大な高級ホテルが立ち並ぶ、ハイソな空気が張り詰めている。
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駅正面にデデーンと立ちはだかるのはホテルパシフィック東京。他にもグランドプリンスホテル高輪、品川プリンスホテルなど、大型ホテルがよりどりみどりの状態。


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駅前は繁華街の風情はなくひたすらホテルとオフィスビルしかない状況だ。
JR東海が建設を進めようとしているリニア中央新幹線の東京側の始発駅はここ品川に建設される予定になっているそうだが、何気に土地ががらーんとしているから建設が楽なんだろう、おそらく。
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高級ホテルばかりが並ぶ品川駅高輪口でただ一軒、なんだか様子のおかしいホテルの存在がある。ちょうど駅前の横断歩道を渡った先の「京品ホテル」である。昭和5年に建てられた4階建てのレトロ建築だ。
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このホテルを経営する京品実業が資金繰りの悪化で抱える債務を処理するために、ホテルを担保に債権を売却し廃業することを決め、従業員を解雇する事態となったのだが、それに従業員側の一部が反発して労働組合を結成。
ホテルの建物が立ち入り禁止になった現在でも毎週のように元従業員を含む労働者団体が抗議のデモ活動を行っているという異常な光景が見られる場所だ。
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しかも京品ホテルの債権を買い取ったのは、経営破綻したあのリーマンブラザーズの子会社ときたもんだ。不況の影響によって事態は単なる経営者対労働者の問題に留まらない様相を呈している。
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品川駅高輪口の真正面にある立地のよさもあり、ホテルの1階にあった飲食店は常に繁盛していたようだ。居酒屋不足気味でサラリーマンには少し寂しい高輪口にありながら京品ホテルはオアシスのような存在だったに違いない。実にもったいない。
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2008年10月末に廃業後も労働団体の支援を受けた一部の従業員が「自主営業」を続け最後まで抵抗していたそうだ。年を越して翌2009年1月25日に機動隊も出動して元従業員らが強制排除されるに至る。
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京品ホテルというと創業1871年という半端ない歴史を誇るホテルだったが、経営陣の不始末で突然従業員の生活を失わせる最悪な終わり方で歴史にピリオドを打った訳だ。
従業員の人生設計が狂ったのはご愁傷様なのだが、日本人というものは何故会社という組織の存在にいつまで幻想を持ち続けているのだろうかと。
会社とは所詮株主と経営者の所有物でしかなく、従業員に対しては非情な存在である。会社に人生を預けるという考え方そのものが古いのだ。結局自分の身を守るのは自分自身しか居ない。
こういう話になるとどこからかバカサヨプロ市民がしゃしゃり出て論点をすげ替えてイデオロギーの宣伝活動の場にしちゃうせいで、当の従業員も惑わされっぱなしで何もいいことなかろうに。
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そんな京品ホテルの隣にちょこんと小さな神社が建っている。高山神社だ。
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かつてはこの神社の正面から海岸が見えたそうだが現在ではホテルの建物に挟まれてその存在自体を見過ごされそうな位置にある。
参考記事
従業員を解雇し廃業した 京品ホテル経営陣の思惑 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
京品ホテル存続、自主事業継続闘争「ハゲタカは死んだ よみがえれ京品ホテル」 企業は誰のものか、あらためて問い直そう-JanJanニュース

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