文京区後楽園 (2) 文京シビックセンター

一大アミューズメントタウンとも言える後楽園「東京ドームシティ」に隣接する巨大建築物。やけに気になって仕方が無いので行ってみることにした。
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その建物の正体は「文京シビックセンター」。文京区庁舎をはじめ大小様々な貸しホールなども完備する複合施設だ。バブル期も終焉に向かいつつある1995年に完成。高さ142メートル、地上28階建てというどえらい立派な建物。
大阪でお役所が建てた無駄建築の数々を見てきた私にとっては思わずアンテナが反応してしまう。聞く所によると、ここの25階が無料の展望室になっているというのだ。これは行くしかないやろ。


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中に入ると、まるで大阪市バブルの塔「WTCコスモタワー」を彷彿とさせるエントランスが現れ、思わず溜息が出る。これで建設に掛かった総工費は建物単体で389億円、プロジェクト全体では816億円というのだから凄い。
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人口20万未満という文京区の規模には見合わないあまりに豪華すぎる建物だと言わざるを得ない。どこをどう考えたらこんな予算編成が通るのか不思議でしょうがない。
1995年あたりに完成した公共建築物の多くがバブルの影を引きずるように無駄に豪華なのは東京も大阪もそう変わらない。
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呼ぶ人に呼ばせると「文京御殿」とも言われる超豪華庁舎、25階の展望台までは高速エレベーターで一瞬。そこでは東京都心の絶景を存分に楽しむ事ができる。
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展望台のある25階フロアは、建物から大きく前にせり出した半円形の部分から窓ガラス越しにほぼ真下の景色を拝める。高所恐怖症属性ありの人は要注意。
「見ろ!人がゴミのようだ」w
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展望台からは都内各所が手に取るように眺める事ができる。その眺めのよさと無料ということから三脚を担いで陣取るマナーの悪いカメラマンが増殖し、現在は三脚による写真撮影は禁止となっている。
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西新宿の都庁展望台も無料だが、あちらはテンションの高い韓国人や中国人の観光客が多く(そもそも新大久保にも近いからだが)写真撮るニダアルヨと常に騒々しいので、落ち着いて過ごしたい場合はこっちの方が良いだろう。
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撮影時に望遠レンズを使えば、このように新宿副都心の全貌をも掴む事が出来よう。東京のスケールのでかさを実感せずにはいられない。
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で、唐突に地上に戻ってきた訳であるが、文京シビックセンター脇の春日町交差点にはもう一軒、文京区民センターという建物がある。名称だけ聞くと「文京シビックセンター」と聞き間違えてもおかしくない紛らわしさだが、こちらは似て非なるズタボロ建築。昭和42(1967)年に建てられた。
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文京区役所の分庁舎として位置づけられているようだが、上階は都営文京真砂アパート、さらに1階部分は文京区設真砂市場という、随分年季の入りまくった公設市場が今でも営業を続けているのだ。
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都営三田線春日駅の真上にあり、役所と住宅と市場が一つにまとまった、いかにもな「高度経済成長期」的建物であるが、見ての通り相当くたびれている。市場の入口には住人と思しきオヤジが暇そうに座っている。
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真砂市場の中にある店舗は寂れ方が激しいものの、食料品を中心に一通り品揃えがあって今でも生活者に即した作りになっている。
同じ役所の建てた「文京シビックセンター」と「文京区民センター」。春日町交差点に向き合うこの2つの建物の間には30年の時代の変化があるわけだが、公共の利益というものを定義する人間の違いでここまで変わってしまうものなのかとしみじみ思うのだ。

東京都文京区
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