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ヒルズのお隣「麻布十番」 (1) セレブタウンか下町か

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東京DEEP案内で扱っている街ネタについて知人とディスカッションしていた中で指摘された事がある。
「逢阪さん、六本木とか麻布十番とかあのへんも結構ヤバイけど、全然やってないですよね。もしかしてセレブタウンはお嫌いですか?
…いや、そういうわけではないが(笑)
どうしても貧民街にばかり目が行く我が取材班のDEEPアンテナは所謂セレブタウンと言われる地域をあまり掘り下げて探検していない。
いや、セレブタウンだからこそ見られる痛い風景もあるし、六本木とか麻布十番は歴史のある街だから、今のような成り上がりセレブが増える以前からある変なバラック民家もあちこちに残っているし…そういう会話をした後に、一度麻布十番あたりをうろついてみようかという話になった。
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地下鉄南北線麻布十番駅で降りる。南北線は旧営団である東京メトロの路線の中でも8番目に出来た新しい路線で、どの駅も綺麗で地下が深すぎるので駅から降りて地上に上がるまでがとても面倒である。
天下の成り上がりセレブ帝国「六本木ヒルズ」に隣接するという土地の特性から、元はド下町だったはずの麻布十番もいつのまにかセレブタウン扱いされてしまったという歴史がある。
地下鉄駅の構内でも、足立区あたりではまず見かけないであろう、セレブスイーツ(笑)向けのリラクゼーション施設の広告があるなど、早くも別世界ぶりを見せ付ける。


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麻布十番駅を降りると目の前には「麻布十番商店街」。やはりお上品そうな商店街であり、あちこちにお洒落なカフェが目立つ。世界各国の大使館が密集している地域でもあるので、品の良い外国人があちらこちらに居る。
のっけから意味のわからないオブジェが置かれていて、セレブの考える事はよくわからんと頭を抱えながら先へ急ぐ。
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商店街の一角には麻布十番の地名の由来が書かれている。
江戸時代から歴史のある古い住宅街であるが、当時の幕府がこの地区に掛かる古川の改修工事に着手し10の工区に分け、この界隈が丁度10番目の工区に当たった事から十番の地名が付いたと記されている。
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麻布界隈は起伏の激しい地形をしており、低地にあたる麻布十番付近はかつては職人が住みつき下町風情を匂わせる場所だったらしい。台風で大雨のときには麻布十番商店街を中心に毎年のように洪水が起こるなど今でも地形的要因による災害が発生することもある。
鳥居坂下交差点から麻布十番商店街の方向を見れば商店街の付近だけが窪地になっているのが確認できよう。
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確かに麻布十番周辺を歩いていると周囲一帯が丘になっていて、まさに窪地の底にいることを感じさせる。この界隈の町並みは大阪や名古屋など他の都会には見られない都市の特性を一番垣間見せてくれる。
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2000年に地下鉄南北線・都営大江戸線の駅が開通するまでは陸の孤島だったという麻布十番だが、交通の便も変わり、あまつさえ隣接するようにセレブ帝国「六本木ヒルズ」が商店街の谷間を越えた向こうに燦然と立ち尽くすようになってからはいつの間にかセレブタウンの仲間入りをする羽目となった。
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麻布十番の下町臭さを残す貴重な施設だった「麻布十番温泉」は昔ながらの健康ランド型温泉施設。
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1949(昭和24)年の開業以降長年麻布十番におけるオッサンパラダイスで在り続けたものの施設と店主の老朽化により敢え無く2008年3月に廃業。現在跡形もなく壊されている。
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まだ街のあちらこちらに下町らしい風景を残す麻布十番だが、オシャレでセレブでスイーツでトレンディな時代の風はこの地区にも容赦なく吹き続けている。古い民家や商店は次から次へと高級マンションやスイーツ好みの高級カフェなんぞに生まれ変わっている。じっくり観察すればじわじわと街が漂白されていく様を見る事ができよう。
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いまや麻布十番商店街も犬連れセレブが優雅に買い物する空間といったイメージの方が近くなってしまった。東京一極集中の波が押し寄せ、複雑な変化を遂げる都心の下町をもう少し歩き回ってみよう。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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