川崎北部民・新旧百合ヶ丘対決 (2) オールドニュータウン

昭和35年開業、ニュータウン計画の走りとして多摩丘陵に開発された「百合ヶ丘駅」周辺に来ている。
街が造成されてから半世紀が経過した間に、ただの山でしかなかった土地にはさまざまな人間の暮らしや人生そのものをひっくるめて、いろんな垢が染み付いている。
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ニュータウンの座は名実ともに隣の新百合ヶ丘に持っていかれ、快速急行も止まらない地味なローカル駅でありながらも味のある「オールドニュータウン」で在り続ける。それが百合ヶ丘クオリティ。


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今度は駅から離れ、徐々に上り坂となる道沿いに進んでいく。今では「サンラフレ百合丘」と呼ばれる新興マンション街だが、かつて街の造成とともに作られた公団百合丘第一団地に沿って「百合丘中央商店会」が続く。ここでもこれまた古臭い商店群が並ぶ風景が拝める。
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百合ヶ丘民御用達の「サンワスーパー」を中心にやたら古い店が目立つ界隈。「万果園」という謎の店舗を発見する。調べた所フルーツパーラー兼喫茶店とあるが「定食」の旗も出ている。またある噂ではマンガ喫茶でもあるという。時間の都合で入店できなかったんですがご存知の方タレコミください。
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向かいのふとん屋「ひので屋」の店舗もすっかりオールド百合ヶ丘スタイル。暖簾の下を見るまでは何の店かわからなかった。この百合ヶ丘ほどもっともニュータウンらしくない街は我々でも他に知らない。
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しかもこの「ひので屋」の建物奥がまるで火事にでも遭ったかのようにボロボロに荒れ果てているのが気になった。ベランダに雨避けに置いていたようなトタン屋根らしき構造物が崩壊しているのが見える。
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「サンワスーパー」のライバル店である「サンフレッシュ」の店先。今時こんなベタな手書きのPOPを見ることも少なくなったような気がする。圧倒的に小さなスーパーだが存在感では隣に負けてはいない。しかもやたら安いし。
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さらに進むと「サンラフレ百合丘」の高層団地群が現れる。団地は造成初期と比べてすっかりリニューアルされてしまっているため、DEEPさのかけらもない。ただ老人がやたら目立つ。
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団地群を過ぎても相変わらず微妙な古臭い街並みが残るオールド百合ヶ丘ゾーン。ピースボートのポスターもあるが、その隣にはまたしても謎めいた「ベンジャミン・クレーム講演会」のチラシが張られている。出所のよくわからない街頭ポスターやキリスト看板等に常々アンテナを張り巡らせている東京DEEP案内取材班だが、ここ最近の注目度急上昇物件だ。
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まさか貧民街とは無縁そうな川崎北部で共産党事務所を見かけるなんて意外である。高齢者がやたら多いのが気になったが、それもオールド百合ヶ丘であるがゆえの宿命なのだろうか。坂道さえなければ完全に川崎区の下町を歩いているのと変わらんぞ。
しかしそんな古びた光景も「弘法の松交差点」あたりを分水嶺にオールド百合ヶ丘から新百合ヶ丘ゾーンへと姿を変える。
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ふと住宅街の脇に妙な形に伸びる階段を見つける。吸い込まれるように階段に足を踏み入れた。
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建物5階分くらいの高低差を感じるくらいの長い長い階段は相当昔に造成されたものなのか、階段のコンクリートは古びて黒ずんでいるし、真ん中に立つ街灯もやたら古臭い。
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下を見るとなかなかの絶景である。あまり東京の都心でここまでダイナミックな階段を見る事は少ない。
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階段を上り詰めると百合ヶ丘民の憩いの場「弘法の松公園」に辿り着く。その名の通りこの公園の敷地には昔、弘法大師が植えたと言われる松があったそうだが火災のため伐採されたそうだ。今となっては何の変哲もない公園だが「仮面ライダー」と怪人ネコヤモリが戦った場所として一部の特撮ヒーロー物ロケ地マニアには知られている(→詳細
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弘法の松公園から見える多摩丘陵の街並み。昔は山しかなかったのにすっかり宅地開発で削られてしまい民家しか見えなくなっている。これから向かう新百合ヶ丘界隈もごっそり山を削って作り上げられた新興住宅地だ。

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