県庁所在地浦和駅前は文教都市なのか (1)

埼玉県と言えば東京のベッドタウン。
京浜東北線や埼京線、東武に西武、埼玉高速鉄道に至るまで、都心直結で30分以内でアクセスできる街が多い。
しかし東京DEEP案内では一貫して埼玉各所のDQN密集地ばかりを訪問していたりして、さすがに埼玉県民に怒られかねない雰囲気なので、それならば県庁所在地の浦和はどうなんだという話になった。
リアル埼玉県民の友人に「埼玉はDQNが多いよね」なんて話をすると「いや、そんな事はない、文教都市浦和がある!」だなどと熱っぽく反論されてしまった。
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そんなわけで、いつもなら大宮に行くか西川口にしか行かない東京DEEP案内取材班はこれまでずっとスルーしてきた浦和の駅前に初めて降り立ったのであった。
京浜東北線・東北本線(宇都宮・高崎線)の二路線が止まる浦和駅。上野からはおよそ20分少々。長らく埼玉県の県庁所在地としての役目を持ってきた街を代表する駅だけあって、駅周辺は大宮のそれとは真逆でやけにこざっぱりとまとめられているのが特徴的だ。



浦和駅前は西口ばかりが発展していたため、近年まで発展に乏しく取り残されていた東口が浦和駅改築工事と合わせて同時に開発が進んでいて、新しくどでかい「浦和パルコ」の建物がデデーンと建っている。文教都市浦和のイメージにふさわしく無駄にオシャレである。実にさいたまらしくない。

東口はパルコ以外にはさほど見るものもない。怪しげな風俗店やパチンコ屋、居酒屋の赤提灯といった、大宮や蕨や西川口にはあったものが、浦和の東口にはさっぱり存在しないのだ。

東口がつまらないので再び西口に戻ると、そこには最近になって浦和がうなぎの街であることをアピールするべく作られた、やなせたかしデザイン「浦和うなこちゃん」の石像がデーンと建っているではないか。

もともと中山道の道中にあった浦和には沼地が多く、うなぎの養殖が盛んだったことから、街道を行き来する旅人にうなぎの蒲焼を提供する店が数多くあったとか。街には現在でもうなぎ料理の店が多いのだ。
しかしリアル元浦和市民の友人に聞いた所「浦和がうなぎの街だなんて全然知らん」と言われてしまった。ベッドタウン埼玉県民は地元に興味もなく、東京しか見ていないのだ。

駅のポスターにまでベタベタ貼られまくる浦和うなこちゃん。
埼玉県は近年らき☆すたで萌えおこしに成功した鷲宮町の例などもあって、今度はゆるキャラで萌えおこしを企んでいるようだ。ある意味そんな健気な埼玉県の存在自体がゆるい。コバトンかわいいよコバトン。
埼玉県のゆるキャラ11体写真網羅/「ゆる玉応援団」結成
ゆるキャラ(R)課 – 埼玉県公式観光サイト ちょこたび埼玉

しかしそんなことよりも浦和が熱いのはサッカーしかない。
Jリーグ発足当時から浦和の街を地盤に活動を続けているサッカーチーム「浦和レッズ」の存在は大きい。駅前には浦和がサッカーの街であることをアピールする横断幕やイルミネーションが所狭しと掲げられている。

冬場ではよくある街路樹に枝に張り巡らされたイルミネーションも浦和に限っては赤一色。

浦和レッズ発足以前から浦和の地元高校では全国高等学校サッカー選手権大会で計12回もの全国制覇を遂げるなど、元からサッカー熱の高い地域であるという素地があったのだ。

現在でもサッカーチームの中ではずば抜けて熱狂的なファンが多く、日韓共催ワールドカップを前に浦和美園駅近くに建てられた巨大サッカー競技場「埼玉スタジアム2002」には多くのサポーターとフーリガンが押し掛ける。
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ところで東口を歩いていてもそうだったが、やはり西口の繁華街にも猥雑さが全くない。それなりに飲食店も居酒屋も多いが、雰囲気が総じて落ち着いている。
大宮と浦和は水と油のようなものとリアル埼玉県民からはよく耳にしてきた訳だが、実際に大宮と浦和の繁華街を歩き比べてみたらその意味がよく分かる。こっちは街が全然DEEPじゃない。

バスの全面広告にも徹底した地元ラブっぷりが伺える「彩果の宝石」がやけに目に付く。地元のトミゼンフーヅが展開する日本初のフルーツゼリー専門店で、地味に埼玉土産の一つなのだが…
単なるベッドタウンとして住む人と根っからの地元民の間では形容しがたい程の温度差があるように思える、埼玉の日常風景。


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