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日本橋界隈 (1) 人形町・元吉原・甘酒横丁

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東京最大の遊郭「吉原」の歴史を調べていたら、現在知られている吉原が「新吉原」で、かつては「元吉原」と呼ばれている場所があり、それが現在の日本橋人形町にあった事、そしてそこは一体どんな所なのか、全然知らなかった。
これではいかんという事で、東京DEEP案内取材班は急遽、日本橋人形町へ赴いた。

地下鉄日比谷線人形町駅を降りると、そこは表向きには完全なオフィス街となっている。駅前から「大門通り」と名のついたプレートが掛かっているのは、ここにかつての遊郭「元吉原」があったことの名残りである。
江戸時代初期にこの地に作られた吉原遊郭は、江戸開府から間もない時期に急速に市街化しつつあった街に増えだした遊女屋の陳情で元和3(1617)年に初めて設置を許可されたが、後の明暦3(1657)年の「明暦の大火」で遊郭が焼失したことが契機になり現在の浅草寺裏の場所に移転したとされる。



表通りはいかにもなオフィス街だが、一歩路地に入るとまだまだ下町臭さが随所に残っているのが人形町の特徴である。
さすがに元赤線でも移転から350年が経過しているわけだから、面影を探そうにも無理がある。

酒屋の横手の裏道を入ると居酒屋やラーメン屋の赤提灯がぶら下がっていて、いかにも下町テイスト。日本橋という一級な地名はついても、十把一絡げにオフィス街だと括る事のできない多彩さを秘めている。

元吉原があったのは駅がある人形町交差点の東側一帯の部分で、その中央を大門通りが貫いている。この界隈をふらふら歩いてみると、殊の外レトロさを漂わせる民家や商店の建物が多い事に気づく。

赤線建築を彷彿とさせるようなデザインの建物が、と思いきや歯科医院だったりと抜け目がない人形町界隈の建築。

歯科医院の隣にある寿司屋の建物もしっかりとした作りだが、屋上に建てられたバルコニーが無理矢理感を放っている。元吉原があった時代には江戸の外れだったと言われる界隈がいまや過密都市のど真ん中である。

人形町界隈は明治初期になってから近くに水天宮が移転してきたことをきっかけに、戦前から栄えてきた商店街であったという。築地の魚河岸も関東大震災前まではこの地にあり、300年以上の歴史があった。

商店街としてはいささか寂れてしまいオフィス街の性質が強いのは否めないが、かつての江戸の賑わいはこの地を中心にしていたのだろう。

元吉原の痕跡らしきものがあればとやってきた訳だが、あんまり無さそうなので、ひとまず甘酒横丁方面に向かう事にした。

人形町駅から大門通り沿いに甘酒横丁の手前まで来ると赤い外壁が特徴的なすき焼きの「人形町今半」が現れる。
高級和牛を扱う店として「今半」と名のつくすき焼き専門店が東京には四業者あり、全て別会社となっているが、元は明治28年に本所吾妻橋に創業した「今半本店」がルーツとなっている。

人形町今半の建物からほどなく「甘酒横丁」に差し掛かる。その名前だけはどこかで聞いていたがあまりにも存在が地味でどこにあるのか(興味がなかったし)知らなかった。こんな所にあったのか。

甘酒横丁は通りの入口に尾張屋という甘酒屋があった事からその名がついた、人形町から浜町の明治座にかけて続く通りで、和菓子屋や豆腐屋、三味線職人がいるなど非常に老舗が多い。水天宮や明治座に訪れる客が中心で、道を歩いている人を見ても中年以上しかいない。

甘酒横丁には亀井堂という老舗の和菓子屋がある。横丁とは言えビルの一角に埋れていて風情もあったものではないが、それでも創業130年の老舗である。もともとは神戸元町の亀井堂総本店より暖簾分けで開業した店という。

人形焼と瓦せんべいが主力商品だという亀井堂だが、店の表には何やら変なものが売られている。
「天下り許しませんべい」などと書かれていて思わず吹き出した。

亀井堂がこしらえている政治風刺瓦せんべいは歴代首相や内閣要人の似顔絵の焼印が押されたもの。政権交代の度に焼印の型が忙しく作り替えられている模様。こんだけ政府のトップが代わりまくる国も珍しいわな。
…というわけで、地味ながらも色々見応えがある人形町界隈でした。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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