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東京の台所「築地」 (1) 築地本願寺

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これまで東京各所を歩いてきた訳だが、意外な事に築地にはあまり訪れていなかった事に気づいた。
いまや築地市場は東京の代表的な観光地で、土曜日ともなるとどこからともなく中国語で書かれた観光バスが次々やってくるような街だ。どこにも言える事だがあんまり観光地化されすぎると微妙な雰囲気になりかねない。そんな懸念もあって、今まで何となく築地界隈を見過ごしてきたような気がする。
しかしそんな偏見ばかりで放置し過ぎるのもよろしくないので、先日日比谷線の築地駅を降りて周辺をブラブラする事にした。

築地駅から市場寄りの出口を上がると、目の前に見える独特な建築物「本願寺築地別院」の前である。とても日本の寺に見えない建物だが、その名の通り浄土真宗本願寺派、京都西本願寺の別院でもある。
一般的には「築地本願寺」の方が通りが良い。



築地本願寺の建物は、1934年に当時の東京帝国大学工学部教授だった建築家の伊東忠太による設計により、古代インドの天竺様式で作られたもの。伊東は建築界で初めて文化勲章を受章した人物であり、宗教建築を中心に日本各地に多くの建物を残している。

正面入口の荘厳さもさることながら、これまでに数々の有名人の死にこの築地本願寺が葬送の場に使われた。その中でも1998年5月にあったXJAPANのhideの葬儀は大きくマスコミ報道され、日本中から凄まじい数のファンが押し寄せて、中には境内で後追い自殺する熱狂的ファンまでいた事はよく知られている。

築地本願寺の本堂に参拝する為、正面の階段を登る。
古代インド様式の建築はとても戦前に建てられたとは思えない斬新さを見せる。

本堂の中は自由に参拝可能になっている。正面の巨大な扉を開けると、ようやく仏教寺院らしくお香の濃密な香りが漂ってくる。
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伊東忠太の設計で作られた築地本願寺の本堂は、やはり普通の仏教寺院とは違った和洋折衷風味の仕様になっていた。映画館のように並ぶ座椅子に、その背後には巨大なパイプオルガン。もしも正面の御本尊である阿弥陀如来がキリスト像になればキリスト教会に早変わりしても何の違和感もない。

しかし、誰でも気軽に内部に入れると言う事は、ホームレスの格好の休憩場所になるという事でもある。あちこちにホームレスのオッサンがどっぷりと爆睡しまくっている姿を拝む事ができる。

建物の各所は大理石が敷き詰められた床や柱に階段の手すりが凄まじく高級感を生み出している。築地本願寺も建築学的視点である意味「珍寺」と言える存在かも知れない。

階段の手すりに置かれた牛やライオン、馬といった動物の彫像は伊東忠太個人の「妖怪趣味」と言われる特徴の一つ。

こうして建物のあちこちに動物や妖怪を「棲ませている」んだそうだ。とはいえ完全に遊びでやっているのではなく、仏教説話を取り入れたもので、色々な動物を置いている事で「物事は全体を見渡すことが重要」という意味を持たせているのだという。

本堂正面入口にも羽根を生やしたライオンが「見張り番」のように座っている。
ちなみに伊東忠太の建築には築地本願寺の他にも靖国神社遊就館、湯島聖堂、明治神宮、京都の平安神宮などがある。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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