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東京の台所「築地」 (2) 築地場外市場<前編>

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築地と言えば外せない存在が築地市場の外側一帯に広がる「築地場外市場」だ。
築地市場そのものは、関東大震災が契機で日本橋にあったものが今の場所に移転されて、1935年に再建されてから現在に至っているが、場外市場は日本橋の魚河岸が築地に移転してから自然発生的に成り立ったものである。戦後のドサクサで成長した市場と言う事もあって、中の雰囲気が独特なのだ。

築地本願寺方面から場外市場に歩いてきた時、正面に築地市場の移転に反対するかのごとく「場外市場は、移転しません、私たちは、ずーっと、築地で頑張ります」などと書かれた横断幕が貼られている。
築地市場が老朽化と手狭である事を理由に豊洲に移転するという話は随分前からあったが、現地の土壌汚染の問題や、反対勢力の抵抗、東京都の財政難といった障壁がアレコレ立ち塞がっていて、結局具体的に移転の目処が立っていない。



アーケード状になった場外市場入口の通りには立ち食いとカウンターだけの海鮮丼屋が営業中。だいたい千円ちょっとで食える事から、観光客ではなく市場のオッサンや労働者が集まっていて独特の光景だ。客引きの店員が日本語カタコトの東南アジア系だった。

場外市場周辺では市場関係者が日常的に使っている独特な形状のカートをあちらこちらで目にする。正しくはターレットトラックといい、通称「ターレ」と呼ばれる乗り物だ。市場関係者専用なので面白がって乗ってはいけないぞ。
行った日が築地市場の休みになっている日曜・祝日の場合は場外市場のみが店を開いているが、それ以外の時期に来ると敷地内にターレがひっきりなしに走り抜けるので、素人が近寄ると非常に危ない。

休日は場外市場にある店の多くも、主に古い店舗を中心に休みになっている事が多い。

ちなみに場外市場にある店には、築地市場ではあまり扱っていない乾物類が多い他、佃煮屋などがある。本来は市場にやってくる業者を相手にした店が中心で、近年増加しまくる観光客は端から相手にしていなかったりする。


場外市場は表通りだけに限らず、ビルの中にまで市場が広がっていてとても高密度だ。これらも当然日曜日にはことごとくシャッターを降ろしている。

築地市場周辺は不思議と戦災を免れている。そのためか周辺の建物は凄まじいオンボロ建築でびっくりしてしまう。唐突に市場の敷地に現れた墓地から家々の裏手を眺めることができる。見事な錆色で統一されている。
築地市場が今の場所に移転してくる前、この周辺は築地本願寺の門前に広がる寺町だった。その名残りとして墓場がぽつんと残っていて、一見すると異様である。ちなみに築地市場の敷地は元海軍用地である。

場外市場が元寺町だった名残りを残すものとして、市場に紛れているいくつかの古い寺の存在がある。元は58もの寺がひしめいていたというが、関東大震災で殆どの寺が倒壊し、多くは移転の上で再建する道を辿る中、圓正寺をはじめとする数軒のみが残るに留まっている。
圓正寺は地震で倒壊した寺の再建費用を賄う為に、場外市場が成り立った頃に敷地の一部を店舗として貸し出し、その結果、寺と市場が融合した奇妙な建物として現在まで残り続けている。

圓正寺の脇から市場に入ると、両側にそびえ立つ建物がことごとく戦前建築のレトロ全開状態であることに気付く。三階建ての住居兼店舗であるが、壁の銅板葺きを見ても、いかにも昭和初期に建てられたものであろうといった特徴だ。

銅板葺き三階建てがずらりと続く。見事としか言い様がない築地場外市場に残る昭和の風景。

たまたま市場が休みの日曜日に訪れたのでゆっくりカメラを構える暇があるというものだが、これが平日だったり年末だったらこうはいかない。

銅板葺き三階建ての一階部分。店を囲う開き戸も年季の入り方が違う。
築地市場がもし豊洲に移転したら、場外市場のこれらの建物も無くなるかも知れない。

築地に観光に来ると言えばこの「場外市場」になるわけだが、築地市場が休みの日曜日でも観光客はひっきりなしに訪れる。もはや定番スポットでもあるようだが、やはりどこに行っても一般的な観光地には中国人が多い。

これが平日に来たとすると、場外市場にも鮮魚店が競うように店先に品物を出し合う。その風景は上野のアメ横のそれに似ているが、日本を代表する市場「築地」の名はプライドが高く、質より量で貧民の台所であるアメ横と一緒くたにすると築地の魚屋に烈火の如く怒られるので注意。

しかし近年では外国人観光客も多いし、在日コリアン系のキムチ専門店があったりして、見た所アメ横化が著しいように思える。これで池袋にある中国食品の陽光城あたりがが進出したら完璧「アメ横」なのだが。

そうでなくとも築地場外市場は各所に観光客を当て込んだ店だらけで、築地市場が休みの日曜日にも多くの店先では観光客への客引きが容赦なく行われている。市場らしい本来の風情を楽しもうと思ったら、平日の早朝に来る他ないだろう。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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