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スイーツタウン「自由が丘」 (4) 自由が丘デパート

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東急自由が丘駅前から渋谷方面の高架沿いに細長く続く駅前ビル商店街「自由が丘デパート」の雰囲気が、周辺の浮ついたスイーツタウンとは全く違っているという話を聞いて、中を探索してみたくなった。

自由が丘は戦前から市街化していた街だった訳だが、この自由が丘デパートの成り立ちは終戦から近い昭和28(1953)年である。デパートとは言っても、三越や丸井のそれとは全然違っていて、店の中心は個人商店の集まり。
創業当時駅周辺に広がっていたバラック建ての闇市を掻き集めて出来上がったという、所謂「戦後のドサクサ」物件の一つなのである。



そういえば隣接する東横線のガード下にもスイーツタウンとは程遠い年季の入った電気屋が残っている。まさかこんな場所で「戦後」の名残りが見られるとは。意外。

細長い鰻の寝床のような自由が丘デパートの内部。1階部分は個人商店が狭い通路にひしめきあっていて一種の独特な雰囲気がある。オバ服屋と魚屋と化粧品屋が互いに向き合っていて、自由が丘にはまず居ないと思っていたべらんめぇ口調のオッサンが威勢良くしゃべりたくっている。まさに「下町」としか言いようがない別世界だ。
地下階にも雑貨やアクセサリー関連を中心に店がひしめいている。

さらに2階に上がると、そこは飲食店がずらりと並ぶ。しかもそれが飾り気のない下町のどこにでもありそうな何の変哲もない定食屋だったりするので驚く。この自由が丘デパートの存在が、街本来の姿を今に伝える生き字引のようになっているのだ。

自由が丘なのに700円台で各種定食が食える「ガスライト」をはじめ飲食店が片側に並ぶ2階部分。このビルにだけは周辺の浮かれスイーツどもが決して近寄ってこない。

そして3階にも飲食店街が続いている。狭い階段だけが唯一のアプローチ。
ちなみにこの自由が丘デパート、日本で初めて「デパート」という名称を使った商業施設であると言われている。時代を越えて街とのギャップが激しすぎる建物だ。

3階部分は2階と違ってビルの中心に廊下があり少し薄暗い。半分くらいは店が閉まっていて、スナック・バーが目立つ。古い商業ビルではあるが、こまめに掃除のおじさんが巡回している。自由が丘らしくない光景が駅前のこんな場所で広がっていた。

3階で唯一存在感を示す飲食店が「餃子センター」(笑)
その古臭い看板からしても年季の入った老舗の中華料理屋のようだが、改装して一応は「自由が丘らしく」綺麗な外観になっている。

自由が丘デパート自体も、さすがに老朽化の激しい建物となっているので、10年ほど前に一度改修工事をやったということを聞いた。

自由が丘デパートは4階まであるが、そこには「自由が丘ランゲージスクール」という外国語学校があるのみだった。専門とするのが英語とフランス語というところがいかにもセレブタウンの自由が丘らしい。

一旦、自由が丘デパートの外に出てみると、向かいのビルにも古い看板のままの焼肉屋があるなどして、駅前の「戦後のドサクサ」で生まれた自由が丘デパートの存在と辻褄が合う構成だ。

自由が丘デパートからさらに東横線の高架沿いを進むと、まだまだ鰻の寝床のような駅前商店街が続いているのだ。

自由が丘デパートに隣接する「ひかり街」は、やはり同様に戦後のドサクサで生まれた個人商店の合同商業施設。外観だけは綺麗にまとまって周囲の空気に合わせてはいるが、内部はやはりスイーツ臭とは程遠い光景が広がっているのだ。
自由が丘駅周辺は空襲に遭っており、駅周辺が被災して空き地になった所に自然発生的に成り立った「闇市」が今の自由が丘デパートとひかり街の原型だった…意外な歴史の一面がここに隠れていた。

…というわけで、スイーツタウンだからと侮っていては面白い街の個性や歴史を見失ってしまう事になりかねないと認識した自由が丘界隈探索であった。次回訪問時にはもう少し詳しくお伝え出来れば幸いである。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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