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江東区高橋商店街 のらくロード

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そういえば深川界隈の下町を探索する機会が無かったので、何気に見逃してしまっていた。浅草や上野、向島のようなパンチの効いたド下町ではなく、昔っからのチャキチャキの江戸っ子がどっしり腰を据えて堅実かつ地味に生きているような土地という感じがする。
東京DEEP案内的に美味しい土地というとどうしても前者の方になってしまうのだが、いつまでも深川界隈を見てみぬふりをしているのも癪だ。というわけで、門前仲町から清澄通りを北上して両国まで歩いてきた。
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その途中に森下という地域がある。都営新宿線と大江戸線の森下駅があって交通至便な街だが、都営交通に馴染みのない人にとってはそんな地名の街があったっけ?とうっかり通り過ぎてしまう、殆ど無縁の場所だ。


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駅の近くには高橋商店街という、やたら下町全開で寂れた古い商店街がある。ちなみに半蔵門線が走る清澄白河駅からも近い。
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どこにでもありがちなチェーン店などはなく、昔からの古いスーパーや商店がメインで、それほど活気もなく地味な商店街だ。とりたてて特徴もなく、商店街のあちこちに貼られている「のらくろ」のイラストがなければうっかり通り過ぎてしまうところだった。
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のらくろ」という漫画は戦時中に日本で大ヒットした風刺漫画で、戦前世代であれば非常に馴染みが深いであろう。
しかし現代人にとってはリニューアル放送された「のらくろクン」を僅かに知る人がいる程度(むしろ知ってる人が居たらマニアックだ)で巷ではあまり馴染みのない存在。
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この高橋商店街界隈はのらくろの作者・田河水泡が少年時代を過ごしていたというゆかりの地で、商店街挙げてのらくろをマスコットキャラクターに「のらくロード」などと愛称を名付けている。
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商店街も地味だが、のらくろも地味だし、町おこしも地味である。一応、近所の森下文化センター内に「田河水泡·のらくろ館」があるので、漫画を知る人には感慨深い事だろう。ちなみに東京DEEP案内取材班は誰一人として知らなかった。
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商店街の各所に居る「のらくろ」。整体院の前でぐったりしていた。戦前育ちだし、既に老犬です。
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そんなのらくろよりも気になって仕方がないのが、のらくろのイラスト以上に目立つ「アーケード修復要求貫徹」と物々しく書かれた横断幕。傍から見ると昔はアーケードつき商店街だったのか、取り払われて困っているかのようだ。商店街を挙げて、アーケードを修復せよと主張している。
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しかしここまで徹底抗戦している様子を見ると、成田闘争かはたまた渋谷などに現れる中核派のデモなのか、プロ市民臭すら漂ってきて香ばしい。これはむしろ電波物件だ。
どういう経緯で商店街からアーケードが消えて、それでどう困っているか、誰に怒っているのか、アーケードが修復されたら商店街はどう良くなるのか、その辺の事情が部外者としては分からない。しかもアーケードは既に商店街の両側の歩道上に整備されていて、一見どこが問題なのか理解に苦しむ。全蓋式アーケードに修復しろという意味なのか?
この事についてとある事情通から聞いたところ、商店街の一角にある某ビルの所有者がビルの建設に伴って敷地の前のアーケードを取り払った事に対して、アーケードを修復しろ、と怒っているのだそうだ。本当に部外者にはすごく分かりづらい要求貫徹運動です。
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ちょうどこの高橋商店街の位置が、錦糸町や上野やらの大きな繁華街に近く、買い物客の集客力に乏しく苦戦しているという事も商店街の店主達を苛立たせている要因になっているのかも知れない。
「要求貫徹」って文言が凄く左翼的でカッコいいんですが大丈夫なんでしょうか。
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ここで高橋商店街の商店主から一句。
「アーケード はずしぱなしは なかろうぜ」
ひたすら目の前しか見えていなさそうな必死さが伝わってきます。
果たして高橋商店街に無事アーケードが修復される日は来るのでしょうか。アーケードはともかく商店街自体に活気が戻るといいですね。
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地名の高橋というのはどこにでもある人名ではなく近くの小名木川に掛かる橋の名前から来ている。それもたかはしではなく「たかばし」。
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清澄通りに掛かる「高橋」の東隣にはレトロなトラス橋「西深川橋」。
小名木川沿いにも沢山の橋が掛かっているが、深川地域には今もなお至る所に運河が張り巡らされていて、運河と橋の数は東京有数の規模を誇る。
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なぜか西深川橋のたもとには生きた化石シーラカンス像がいる。高橋商店街のアーケード要求貫徹運動も化石みたいにならなければいいんですが…というどうでもいい心配をしながら商店街を後にした。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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