坂と階段の下町・品川区上大崎一丁目 (1)

目黒駅と白金台駅の間、目黒通り沿いを歩くと北側一帯にひたすら森が広がっている場所がある。国立科学博物館附属自然教育園という施設で、明治時代には軍の火薬庫としても使われていた土地だが、現在では都心に珍しく広大な自然が残る場所として知られる。
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皇居、明治神宮、代々木公園、赤坂御用地、新宿御苑と、東京にはやたら自然が残されている場所があって意外に感じるが、自然教育園一帯もそういう場所だ。この土地も大正時代には皇室の白金御料地として使われていた事もあって、東京に残る自然と皇室の関係は深いようだ。


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自然教育園の前の目黒通りには春真っ盛りと言わんばかりに芝桜の絨毯が一面に敷き詰められていた。
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そんな自然教育園から目黒通りを挟んだ向かい、白金台と品川区上大崎の境目付近をうろついてみることにする。
目の前には寺の「山門」と思しき鉄パイプで組まれたアーチが見える。そこには妙円寺という寺がある。
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この妙円寺を含めて白金や目黒一帯には山手七福神がそれぞれ祀られている寺が点在しているらしい。妙円寺には福禄寿と寿老人がいるという。東京の街中を巡っているとこうした「七福神めぐり」というのをよく見かける。
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「山門」を潜ると車一台が行き来できるスロープを伝って、坂の下の境内に入る事になる。一面コンクリート敷きで、あんまりお寺らしさがないし、参拝者らしき人の姿もない。
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妙円寺本堂。寺自体は特筆すべきものはなさそうだが、すぐ背後には坂の上の目黒通りに沿って建つマンションが迫っている。
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肝心の七福神が鎮座しているお堂の門は…閉ざされていた。七福神めぐりに勤しむ参拝者が多いのかただの不心得者が多いのか知らぬがお堂の至る所に千社札がベタベタ貼られまくっていた。
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境内奥に入るとお稲荷さんも祀られていた。
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お稲荷さんの前には小さな池。すぐ背後にはコンクリート壁が迫っている。なんだか不思議な空間だ。
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この妙円寺の近くから品川区上大崎方面の住宅地に降りる道が続いているのだが、急激な下り坂となっていて、しかもそれが細い路地だったりするのでたまらない街並みが広がっている。
左に行くか右に行くか…このビジュアルを見ると、やっぱりそそられるのはやっぱり右の道だろう。しかしY字路の真ん前の家が素晴らしく三角形で笑える。窮屈過ぎないか?
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自転車の通行も憚られそうな狭い下り坂。人間心理をうまく突いた、つい通ってみたくなるような独特の形をしている。
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そんな坂道を下ると、低地ならではのアパート密集系路地に突入する。この辺で白金台らしい高級感は皆無だ。というか、既に坂の手前からは住所が品川区上大崎に変わっている。
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坂の下の住宅地の一画には猫の額ほどの空き地に鮮やかな緑の絨毯が広がっていた。表側からでは決して見えない東京山の手の下町風景。

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