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コンクリートの長城・「防災団地」白鬚東アパート (2)

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隅田川の「万里の長城」とも呼ばれる全長1.2キロメートルの巨大団地群、白鬚東アパートの様子を拝みにやってきた。

今度は団地西側に広がる防災公園を見る事とする。壁で阻まれた団地にある5つのゲートを通らなければ団地の東西を行き来出来ないのだ。



団地西側の防災公園も、東白鬚公園という名称がある。かなり高密度に植樹されていて鬱蒼とした雰囲気がする。公園というよりは単に森と化しているだけかのようだ。

しかもこの「森」に植えられた木々も、ちゃんと延焼しにくい種類の常緑広葉樹ばかりを選んで植えているのである。森じゃなくて「防災樹」なんですね。いやはや徹底しまくってます。

防災公園の中央には巨大な火消しの纏を模ったモニュメントまで飾られている。この団地は一体どこまで「防災」一筋に情熱を費やしているのだろうか。凄まじい。
隅田川河畔と言うと関東大震災に加えて戦災による被害が激しかったという歴史的経緯がある。もう二度と街を焼かれたくない、という地域住民の思いがこの団地を作ったのだとすると辻褄の合う話だが、実際に団地を作るとなった時に賛否が分かれたりしなかったのだろうか。

団地西側は一面が防災公園となっているわけだが、隅田川河畔に「隅田川神社」があり、神社の参道にあたる部分だけが桜並木になっている。墨堤通り側から見ると6号棟と7号棟の間に鳥居と「隅田川神社参道」と書かれた石碑があり、神社へは団地の間を抜けてこの道を通って来る事になる。

防災公園として開発されきった白鬚団地西側の中でも風情を唯一残しているのが隅田川神社である。隅田川の総鎮守であり、源頼朝が開いたという言い伝えもある由緒ある神社なのだが、この神社自体も再開発計画で1975(昭和50)年で100メートル南側の現在地に移転している。

社殿のすぐ後方には首都高向島線と隅田川。隅田川神社は浮島神社とも水神社とも呼ばれている。防災団地のゲートの一つが「水神門」なのもこの神社に由来している。桜の開花時期や例大祭があるとき以外は訪れる人も少なくひっそりとしている。

防災公園を抜けた北側は水神大橋の前の道路を挟む形で小高いデッキで結ばれている。そこから団地全景を広く眺める事が出来る。結構歩いてきたがこの北側にもまだまだ団地が続いているのだ。

水神大橋の正面に控える防災団地の方はというと、やはり幅広道路の隙間を埋めるように鉄のアコーディオンカーテンが設置されている。よく見るとその両側の建物2棟は住居棟ではない。防災備蓄庫になっているのだ。全く抜かりのない防災仕様である。

2棟の防災備蓄庫の間を片側2車線道路が走る。割と最近な1989年に架けられた水神大橋の向こうは南千住の汐入地区。大規模マンション街としてすっかり再開発されきっている。

防災団地北側に出ると、5つあるゲートの最北端にあったのは「鐘淵門」だ。このゲートだけ他の4つのゲートとは少し形状が異なっている。

鐘淵門の間に広がる団地の吹き抜け部分。13階建てのコンクリート壁が眼前の周囲四方を支配する。

鐘淵門を潜り終えると、そこに現れたのは4階建ての高さでそのまま一組になった頑丈な鉄扉だ。あまりにでかすぎて遠近感すら掴めなくなってしまうくらいだ。

しかしこれだけ巨大な団地なのに階下の商店群は軒並み寂れまくっているのは何故だろう。白鬚団地の住人は普段どこで買い物しているのか気になった訳だが…
ちなみにこの土地にはかつて「鐘淵紡績」の紡績工場があった。1962年に工場の創業を停止、1969年に工場閉鎖後、跡地の一部が白鬚団地となったのである。
その鐘淵紡績と言えば、現在は化粧品で馴染み深い「カネボウ」である(現在はクラシエホールディングス株式会社。化粧品部門はカネボウ化粧品として分離・営業譲渡されている)。カネボウの「カネ」は鐘ヶ淵の「鐘」なのだ。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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