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江戸川橋界隈 (4) 音羽・崖沿いの路地裏

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鳩山会館があることで有名な文京区音羽一帯は、音羽通りの両側に関口台と小日向台の2つの高台に挟まれた音羽谷という谷戸地形に沿って護国寺山門へ至る独特の景色を見せる。

音羽は護国寺の門前町として栄えた古い町だが、そんな音羽通りの裏手に入ると急激な崖地が住宅地の眼前に迫るスリリングな街並みが堪能出来る。



崖下の住宅が途切れた空き地からは、特に高低差がくっきり際立つ崖の全貌を拝む事が出来るのだ。鳩山会館を含めた大邸宅街はおしなべて坂の上に立ち並んでおり、それとは対照的に崖下の住宅街は古びて小さなオンボロ家屋が目立っている。

崖下に沿って並行する道は、鳩山会館の前で塞がれて行き止まりになっている。そこは音羽通り沿いの飲食店の裏口で、物置やガラクタやゴミが散乱していたりといきなりカオスな光景が広がっていたりする。なかなか油断ならない。

鳩山会館の前を通り、音羽通りから再び裏道に入り込むと、今度は直線状に丘の上に伸びる鼠坂がその全貌を現す。坂を登るとそこは小日向台町。上から見ても凄かったが、下から見るとかなり圧巻である。鼠坂の上に住んでいる住民の一部は、小慣れたものかして自転車に乗ったままこの階段を颯爽と駆け降りてくる。

その先は延々と刑務所の塀のようなどす黒いコンクリート壁が音羽ハウスの手前まで続く。音羽通り側にはマンションが建ち並び、見た目にはコンクリートの渓谷といった風景である。

コンクリートの渓谷も、上を見れば住宅が並んでいたりするが、一部は蔦が伸び放題になっている箇所もあってなかなか凄い。昼間でも陽の光が当たらない陰鬱な空間で人通りも多くない。夜の一人歩きはちょっと怖い場所かも知れない。

嫌な空気を察知したのも束の間、どこぞの暴走族が書き残したマーキングがコンクリート壁に大きく残されている。
文京区音羽といったら高級住宅街というイメージばかりが先行するが、埼玉の植民地でDQN仕様の歓楽街である池袋が間近に迫っている事もあって、板橋や北区や埼玉あたりからヤンキーが紛れ込んだりしても何ら不思議のない土地なのだ。

そんな都会のコンクリート渓谷を抜けると眼前にそびえる要塞の様なマンション群が「音羽ハウス」。こう見えても1970年築というのだからかなり年季が入っている。当初からお受験のためにこの地区に引越しをしてくる教育熱心なファミリーを受け入れる高級マンションとして作られた走りのような存在だ。
日本最強の文教地区ならではの鬼気迫るお受験ファミリーの砦である。

音羽通りに戻ると、鳩山会館と同じく有名な国内出版最大手の講談社の本社ビルが建っている。出版社というよりはむしろ都道府県庁舎のような重厚感のある建物だが、出版不況が叫ばれる中で形振り構わないのか知らぬがその建物にはおおよそ似つかわしくないやたらポップな垂れ幕が掲げられている。

講談社を過ぎた辺りで音羽谷は開けて護国寺周辺の住宅地が連なっている。この付近は純然とした住宅地とマンションばかりで、寺の門前町といった風情はどこにも残っていない。

護国寺自体がかなりでかい寺だというのに、ことごとく寺の目の前まで何の変哲もない住宅地しか存在していない。震災か戦災で街が消失したのかよくわからないが。しかしトタン屋根のついた木製バルコニーが古い民家であることを伺わせる。

しかもここぞとばかりの公明党ポスターがずらりと張り巡らされている。崖の上と下とで大違い、先程の音羽ハウスなどとは真逆の住宅街だ。

そして護国寺の目の前の通りにまで場末感全開な飲食店が並んでいて雰囲気が独特なのである。やっぱり文京区はセレブタウンなのか下町なのか、はっきり区別が付かない街が多い。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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