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新宿二丁目に眠る遊郭の残滓・投げ込み寺「成覚寺」

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今やもっぱらゲイタウンとしか認識されなくなった「新宿二丁目」。だが新宿が宿場町だった江戸時代に遡るとこの一帯は新宿遊郭と呼ばれる色街で、その名残りは現在も新宿二丁目北側、靖国通り沿いの成覚寺という寺にある。
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新宿二丁目の仲通りから靖国通りに出ると、すぐに成覚寺の入口が見えてくる。ここが新宿遊郭の投げ込み寺だった場所で、供養塔などがあり今も生々しい痕跡が残る。


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成覚寺はビル街に囲まれてぽつんと残る一軒の寺。境内もそれほど大きくもなく、気付かなければ通り過ぎてしまいそうな佇まいをしている。
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本堂手前左側にかなり古びた墓石が置かれていてすぐに気が付くであろう。これが新宿遊郭における死んだ飯盛女(遊女)を弔う「子供合埋碑」である。
「子供」と聞いてそのまんま子供の意味かというともちろんそういう訳ではなく、この時代には遊女の事を遊郭に身売りされた子という意味あいでそう呼んでいたのだ。
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傍らには新宿区教育委員会による案内看板がしっかり置かれていた。
石碑が建てられたのは幕末も近い万延元(1860)年。明和9(1772)年に新宿遊郭が再興してから大正12(1923)年までの間に死んだ遊女は約2200人、それらがこの成覚寺に投げ込まれるように捨てられた。
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規模で言うと三ノ輪の投げ込み寺・浄閑寺の新吉原総霊塔に葬られている2万人以上には遠く及ばないが、新宿にもそのような忌まわしい歴史があったのだ。
そもそも新宿遊郭が出来るきっかけとなったのは内藤新宿開設前の元禄年代にまで遡る。
他の街道とは違い江戸日本橋から四里離れた高井戸宿しかなかった甲州街道に、新しい宿場町(これが新宿の地名の由来)を置いて欲しいとの請願があった。
旅人の少ない甲州街道にわざわざ新しい宿場町を置く必要性を持たせる為に、請願者の浅草商人達は莫大な上納金を幕府に収めてまでも端からこの土地を観光・行楽の拠点として整備するつもりだったという。画して内藤新宿は誕生し、表向き宿場町として、しかし実際は色街として大いに栄えた訳だ。
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もう一つ、狭い境内の傍らに古い地蔵が建っている。隣の案内看板に書かれていたが、これは「旭地蔵」という。
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地蔵の足元の台座には意味深な男女の戒名が刻まれていた。合計18名。その中でも男女が対になったものが7組ある。
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案内看板によると「これらの人々は寛政12(1800)年から文化10(1814)年の間に宿場内で不慮の死を遂げた人達で、そのうち七組の男女はなさぬ中を悲しんで心中した遊女と客達であると思われる。」とある。
曽根崎心中みたいな事件が当時はあちこちであったのか。なんというか、すごく生々しいです。。。
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傍らには慰霊塔として置かれた旭地蔵の寄進者一覧の名簿と思しき石版があるがかすれていて殆ど読めない。
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成覚寺の外に出ると、その隣も正受院という寺だった。ここも太宗寺と同じく境内入口側に奪衣婆像が置かれている。頭に綿を被った正受院の奪衣婆像は「綿のおばば」と呼ばれ咳止めの願掛けに民衆の信仰を集めたと言われるが、恐らくここも新宿遊郭の関係者に厚く信仰されていたのだろう。
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で、正受院のそのまた隣のオフィスビルは、仮想通貨「円天」にからんだ詐欺事件で有名な健康食品会社「エル・アンド・ジー」の元本社ビルだ。
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有名な芸能人を多数広告塔に仕立て上げておばちゃん軍団を金づるにしまくった会社であったが…「コスモガール」と称したタレントの卵含む若い美女を周りにはべらせて自分の夢を語っていた波会長(逮捕当時75歳)はある意味凄い老人だよねと感心もするが…
現在でもこのビルの屋上には社名ロゴが取り払われたまま真っ白な看板が建っている。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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