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【自称・京王線の自由が丘】調布市仙川町にある「安藤忠雄ストリート」の怪【コンクリ打ちっぱなし】

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調布市仙川町、京王線仙川駅の南側一帯がシャレオツ化しているという話題を前回お送りしたが、今回もその話題に引き続いた街ネタということになる。仙川駅の東側を南北に走る「松原通り」についてだ。

国道20号甲州街道仙川三差路交差点のすぐ西側にあるT字路から南へ伸びる松原通りは都道114号線武蔵野狛江線の一部区間を成している。武蔵野市の吉祥寺駅前を通る吉祥寺通りまでこの都道が伸びていて、ゆくゆくは吉祥寺と狛江の間を通る幹線道路として整備される予定の道路だが、仙川付近では道路の整備状況が遅れていて、松原通りの先はスーパー銭湯「仙川湯けむりの里」付近で寸止めになっている。

この都道114号自体も甲州街道の南側と北側とでは道路が取り付いている場所が違う。松原通り入口となる甲州街道のT字路のすぐ北側には「ガレージセールIN仙川」という見た目にもややこしそうな佇まいの店があり、ここはアンティークショップらしいんですが、つまり都道114号沿いに甲州街道を南から北へ跨ぐ場合は一旦甲州街道に左折で入って約200メートル離れた仙川駅入口交差点で右折しなければならない。

都道114号の一部となる「松原通り」、先にも触れたように仙川駅のすぐ東側を南北に走っている。この道路が整備されたのは2000年代に入ってからのことだが、ここではとある理由で道沿いの両サイドになんとも奇妙な風景が見られる。

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安藤忠雄コンクリ打ちっぱなし建築が連なる「仙川安藤ストリート」とは

仙川の松原通りをざっと眺めると、何やらコンクリート打ちっぱなしの奇妙な建築物がそこらじゅうに建っているのが見られる。建築関係に明るい人間ならばひと目見てこれが安藤忠雄デザインの建築物であることは容易に分かるだろう。ここが調布市仙川町の裏名所「仙川安藤ストリート」と呼ばれる場所である。

建築家 安藤忠雄

安藤忠雄と言えば日本建築界の権威とも言える地位にある人物で、出身地である大阪市内に建てた有名建築物「住吉の長屋」をはじめ数々のコンクリート打ちっぱなし珍建築の生みの親として知られる。東京都内でも渋谷駅副都心線地下駅舎や東急大井町線上野毛駅の駅舎の設計などを手がけている。2016年に一旦招致に失敗した東京五輪の招致委員会の理事長でもあり、2020年に開催が決まった東京五輪ではコンペ審査委員長にも選ばれている。

「仙川安藤ストリート」と呼ばれる仙川の松原通り道沿い。ここにもやはりコンクリート打ちっぱなし建築物がそこかしこに建っているわけでして、こうしたどんよりとした灰色の空模様の日には灰色の建築物と相まって何とも言えない陰鬱なモノクロの風景を作り出すのである。

調布市せんがわ劇場(2007年築)、東京アートミュージアム(2004年築)の二棟が連なる一画。安藤ストリートという名目にあやかって舞台芸術の拠点として設けられた劇場や美術館なんぞがいかにもな佇まいで置かれている。

しかし仙川にこんな珍妙なストリートがあること自体広く知られているわけでもなく、調布駅前の天神通り商店街がゲゲゲの鬼太郎ストリートだと自己主張しているのとは違って、ここ仙川松原通りが安藤忠雄ストリートだとは全くもって自己主張していない。それ以前にここ、仙川駅前の商店街の目と鼻の先なのに、全く人通りも賑わいもない。

そんな薄ら寒い空気すら漂う仙川安藤ストリートで数少ない、生活感をにわかに感じさせる一角が「シティハウス仙川」(2004年築)というマンションの一階部分で営業している飲食店の数々。何やら有機野菜にこだわったサンドイッチとスープの店だとか本場ヨーロッパ仕込みのシャレオツカフェだの、ここは表参道かよとツッコミたくなる意識高いめな店が揃っていますね。

そんな意識高いめなサンドイッチ屋「Kofuku Sengawa」のバインミーとスープカレーのセット。ドリンク付きで990円。2016年7月に出来たばかりの店である。客層は30~40代女性単独もしくは同年代の夫婦が中心。

当初は空き店舗だらけでガラガラだった仙川安藤ストリートの商店テナント群

しかし同じ「シティテラス仙川」の店舗テナント群を2009年のストリートビューで見ると、びっくりするくらい空きテナントだらけになっているのが分かる。これは仙川のシャレオツ化が浸透する前と後とでは入居状況に差が出たという見方で宜しいだろうか。

そしてこちらも数ある安藤建築の中で特に縦長の狭小極薄建築っぷりが際立っている「仙川デルタスタジオ」(2007年築)は店舗テナントビルに使われている。写真スタジオと歯科医院が入居。

こちらの建物南側は建築物として完全に飾りの役目しか果たしていなさそうな高いコンクリート壁が建物本体より30メートルほどせり出しており、より一層の珍妙さを放っている。

視線を引いて「仙川デルタスタジオ」の全景を見ると余計に違和感が目立ってくる。なんなんだこの建物は?刑務所か何かか?案の定、前衛的過ぎる安藤建築の数々は当の仙川住民にとっては賛否両論のようだ。

この「仙川デルタスタジオ」も2009年当時のストリートビューでは全くテナントが入っていない様子が分かる。安藤ストリートは当時の仙川の街にはあまりに前衛的過ぎて、街に溶け込むまで相当時間を要したのだろう。今でも溶け込んでいるのかどうかと言われると微妙そうですがね。

甲州街道に最も近い場所に建つ9階建てマンション「シティハウス仙川ステーションコート」は2012年築と数ある安藤建築の中で最も新しい建築物になる。こちらも安定のコンクリート打ちっぱなし建築。中古物件が2LDK、専有面積55㎡で4880万円で出ている。駅前かつ超有名デザイナー建築ということもあって相当お高いんですが、やっぱり「安藤忠雄」というだけで自慢になるんでしょうか。

一方、安藤ストリートの最南端にそびえる「仙川アヴェニュー北プラザ・南パティオ」(1988年)。二棟一対になった、同じくコンクリート打ちっぱなし建築。ここも見たところ店舗兼マンションである。この二棟は安藤忠雄ではなく中地正隆(丹下健三事務所に所属していた)という人物が設計していて、建築年代も安藤忠雄建築よりもずっと前からある。

なぜこの場所が安藤忠雄ストリートになったのか

なぜ仙川の松原通りが安藤忠雄建築物だらけの安藤ストリートになってしまったのか、という点については当方がグダグダ語るよりも経緯について詳しく書かれたこちらの記事を参考にすれば手っ取り早い。

この安藤忠雄建築が建っている土地とそこに新しく敷設された松原通りの車道は全て一人の地主のもので、この地主が持っていた土地が斜めに通る都道のせいで細長い三角地にされてしまい、普通だと使い道もなく売りようもない土地をどうするか悩んだ結果、安藤忠雄の設計で奇抜な街並みを作ろうと試みた、ということらしい。この通り、Googleマップに安藤忠雄建築を色分けするとなかなか面白いことになっている。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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