“京王線の自由が丘”を標榜する街?!調布市「仙川」に何が起きているのか

調布市

数ある私鉄沿線の中でブランド化に成功している東急東横線、田園都市線、小田急線などの各沿線にはそのブランドへの憧れだけで住みたがる頭のおめでたい小金持ちがいるものだが、そんな状況で後塵を拝するのが京王線という存在。常々「野暮ったい」「地味だ」という声が聞こえてきそうだが、実はそんな京王線沿線にもそのイメージを覆すような街がある。

それが京王線で新宿から快速電車で15分で行ける調布市の「仙川」という街である。ここは同じ調布市内でも街の中心となる調布駅からも遠く最も都心寄りの位置にあり、世田谷区の給田、上祖師谷がすぐ東側に隣り合っている。市内では調布駅周辺の次に栄えている街である。

仙川は近年駅南側の再開発が進み、街並みが急激にシャレオツ化している中で「京王線の自由が丘」を標榜する街となっている、という話を耳にした。はぁ…自由が丘ですか…早速現地にやってくると、確かに他の調布市内の駅前よりは垢抜けてる感じはするよな。同じ駅前再開発で綺麗になったはずの国領駅前はパチンコ屋ばっかりで酷かったが…

仙川駅南側にシャレオツ意識高い系ショップ&珈琲専門店が集結

駅南側からまっすぐ伸びる通り沿いが再開発エリアのシャレオツ商店街である。これまで仙川駅前はここから一本西側に並行する「ハーモニータウンせんがわ」が中心的な商店街だったが、古くからの狭い路地に連なり窮屈な印象があった。そこから通り一本跨ぐだけで随分雰囲気が違う。

あらあら、何やら意識の高そうなガラス張りデザインの「猿田彦珈琲」ですよ。恵比寿に本店を置いていて渋谷、表参道に店舗があるようなシブヤ系シャレオツ珈琲屋がなぜか仙川にも出店。ブルーボトルを意識したような和製サードウェーブコーヒー専門店、といったところか?創業者の出身地が仙川なので、ここに店を出したそうですね。

そんな猿田彦珈琲のすぐ隣には元祖意識高い系御用達「スターバックスコーヒー」の店舗もあり、さらに近年首都圏で出店攻勢が激しい「星乃珈琲店」まで進出。今まさに仙川シャレオツゾーンでは意識高い系珈琲店戦争が繰り広げられている。

あと猿田彦珈琲の向かいには首都圏で金太郎飴的に店舗を多数展開する輸入食品店「カルディコーヒーファーム」の店舗に加えて系列の珈琲店「カフェカルディーノ」が出店。ヨーロッパかよと思わせるテラス席まで完備してシャレオツ感を演出。ここまで行くと珈琲店供給過剰状態ではないのか。

駅側にあるこちらの3階建てシャレオツテナントビルの中にも意識高い系御用達家具店「KEYUCA」が入店していて何とも痒くなりそうな街並みが広がっている仙川駅の南側。このように街が急な変貌ぶりを見せているのはここ数年内のことである。このビルが建つ土地も数年前まではチェーン系のドラッグストアや居酒屋、ケンタッキーなんかが入っていたような垢抜けないテナントビルだった。

当然、街がシャレオツになると平民には縁のなさそうなカフェ飯屋が増えてランチで千円以上使うのが当たり前の世界になるわけでして、仙川にはこの手の飲食店も増えだしている。ますます、先日見た国領駅前との格差の激しさを感じずにはいられない。

最近は仙川のシャレオツ化が注目され始め、近隣のセレブタウン成城(割と近い)から小金持ちマダムが訪れたり、周辺のマンションも「仙川駅徒歩圏」をアピールしだしたり、駅東側の松原通りは安藤忠雄建築が連なるシャレオツストリートと化しており、徐々に街のブランド化が始まっている。「住みたい街」の穴場として急成長中なのである。

5つのスーパーと巨大ホームセンターが仙川住民の自慢

極めつけには高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」も鎮座している仙川駅南側のシャレオツ事情。ここは元からあったらしいんですが建て替えで2016年4月にリニューアルオープン、一層綺麗な店舗に生まれ変わっている。仙川には他にも西友、丸正食品、京王ストア、いなげやと合わせて5店舗もの食品スーパーが駅周辺に点在している。

クイーンズ伊勢丹の真向かいは割と広いめの児童公園も整備されており仙川住みの若い子持ち夫婦の溜まり場となっている。京王線の自由が丘を標榜しているのなら、そのうち「ホイップるん」のようなご当地キャラが出てきたりスイーツ祭りでもやるんじゃないでしょうかね。

クイーンズ伊勢丹から少し先のところにはホームセンター「島忠ホームズ」が大型駐車場を抱えた店舗を出店しており住民の利便性をますます高めている。ここまで見てみると、仙川の発展ぶりが如何なるものかを思い知るのだが、この島忠の真ん前を横切る都道118号の絶望的な狭さはイケてない。世田谷一家殺害事件現場のある祖師谷公園、隣の千歳烏山駅方面に抜ける榎交差点までの道路状況は非常に酷い。

そもそも仙川駅周辺がここまで垢抜けだしたのもごく最近の話で、昔は地味で下町ぶった街だったとも聞く。しかし仙川には音楽系で有名な桐朋学園、お嬢様学校で有名な白百合女子大学といった2つの学校があり、地方から上京してきて自分の箱入り娘をオホホザーマスな人種に育て上げたい教育ママの熱視線を浴びる街でもあった。

さらにセレブタウン成城から割と近いことも、仙川のシャレオツ方面への急変貌に一役買っているのではないかと個人的には見ている。成城は小田急線沿線なので全然生活圏は異なるが、車を使えば仙川までは僅か10分の距離だ。

でもね、仙川の街をもっとよく見てみるとこんなものが…

そりゃスイーツタウンの先輩格にあたる「自由が丘」あたりは東急のイメージ戦略もあって結構昔からシャレオツ化が進んだこともあって、街のブランド作りは強固なものとなっているわけですが、こちら「仙川」に関してはまだまだ「発展途上」である。なので、ちょいちょいと野暮ったいものが目に入るんです。

クイーンズ伊勢丹南隣のコインパーキングの隣を見ると、何やらプロ市民臭どぎつい一角がございましてよ。「辺野古の海とジュゴンを守ろう」「高江の自然と暮しを守ろう」「市民が主役」と書かれた憲法9条教の皆様がこしらえた幟が続々と…まあ、調布市ってどちらかと言えばこっちのイメージだったんですがね。

他の香ばしい地域でも滅多にお目にかかれない社民党オリジナル「福島みずほカレンダー」が置いてあるあたりがガチ過ぎて笑ってしまいました。日本共産党のポスターも一緒に貼られてますけど「超党 お人がら応援」と手書きで書いているあたり、共産ではなく社民支持者の団塊サヨク的な方々なのでしょう。

そんな香ばしい政治的主張の数々の出処はこちらのデイサービスセンターでございましょうか。定年退職後のライフワークなのでしょうか、こういう所の方々が暇さえあれば沖縄に行って米軍に嫌がらせしているんでしょうな。

左巻きばかりでなく公明党・創価学会の熱心な支持者の方々も多いのがこちら仙川という土地でございます。島忠ホームズ仙川店前のお宅では聖教新聞も無料配布している太っ腹サービスぶり。「お一人様一部でお願いします」と断り書きしていますが。

仙川駅近くのスーパー銭湯「仙川湯けむりの里」駐車場前にあるお宅にも聖教新聞が大量に置かれている。「元気の出る新聞です!」と新聞を突っ込んだバスケットも青、黄色、赤の三色に塗りたくる、この分厚い信仰心よ。

取材中に仙川駅構内で人身事故発生

「京王線の自由が丘」を標榜する街、調布市仙川の見所を一通り探索してから駅に戻ると、何やら沢山の消防車が駅前のロータリーを占拠しており雰囲気が尋常ではない。何事かと思ったら「仙川駅構内で人身事故発生」との情報が。なんじゃそりゃ!

仙川駅は快速、区間急行、各停のみの停車で他の優等列車は高速でホームを素通りしている。掘割の中を通る半地下式ホームになっていて昼間でも薄暗く、京王線沿線の中では鉄道自殺による人身事故が比較的多い駅となっている。平日昼間でしたが人身事故発生で駅前に大量の難民が待ちぼうけ。成城学園前駅行きの路線バスやタクシー乗り場には長い行列が出来ていた。


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