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暗渠の渋谷川と東横線ガード下のカオス (1)

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渋谷駅前は副都心線開業以来大きく変貌を続けている。2012年中には東急東横線が副都心線直通となって、恐らくは飯能発元町中華街行きといった訳の分からない電車が走る事になるのだろう。これまで渋谷駅始発で座って横浜方面に帰っていた東横線ユーザーも、駅から盛り場が遠ざかるわ始発で座れないわで渋い表情になってしまいそうだ。

ところで気になるのが、副都心線直通でお払い箱になってしまう元の東横線ホームの周りだ。東横線は昭和2(1927)年の開業以来の古い駅舎をそのまま使っていて、そこから続く高架線も昔のまま残っているのだ。このガード下の風景がかなり独特なので、無くなる前に見ておこうと思った訳だ。



渋谷駅前から東横線ガード下に向かう為に歩道橋を跨いでいく。道路案内標識の大看板の裏には夥しい数のステッカーと落書き。なんとも渋谷らしい光景だが、どうやらヒップホップ文化の一大拠点らしく、街の隙間という隙間がたちどころに彼らの表現で埋め尽くされていく。

歩道橋から回りこんでガード下までやってきた。西側から山手線、東横線と2つの鉄道路線の高架線が続いている。山手線側のガード下には古い居酒屋の店舗が入居している。

ガード下の「やまがた」は店名通り山形県の郷土料理をつまみに一杯やれる居酒屋。「学生コンパ・宴会」の看板といい一体いつの時代から店を開けているのだろう。駅北側の「のんべい横丁」に負けず劣らずの風情である。

首都高と玉川通りを挟んで孤立している場所で、渋谷らしい華々しさは微塵もない。駅から目と鼻の先にあるはずなのだが、かなりうらびれた雰囲気がする。

続いて現れる東横線ガード下との隙間から南側に抜ける階段がある。この辺から壁の至る所に「ヒップホップ文化」らしい落書きの数々が見られる。宮下公園以上に人通りもなく見捨てられたような空間がこの先に続いている。

東横線ガード下は駅と一体化している東急百貨店東横店の搬入口で、商品を運ぶトラックが頻繁に出入りしているのだが、そんな所もお構いなしに落書きしまくるヒップホップな人達。凄い。

壁や柱には隙間なく彼らの表現が刻み込まれている。ペンやスプレーで書かれたタギング、謎のイラスト…これだけやられてしまうと東急百貨店側もすっかり諦めているようで消そうともしない。

傍目には全く理解出来ない落書きなのだが、見る者から見ればこれは「グラフィティ」と呼ばれる行為で表現者個人のアイデンティティを示すものだ。

さらに壁や柱に留まらず使われていないプレハブ小屋にまでこれでもかとタギングされてしまっている。使い物になりませんなこりゃ。

これらはヒップホップ文化な方々の表現行為の一環でしかなく、彼らには器物損壊という概念すらないようだ。むしろ電車の車両にまで落書きしまくるんだからこのくらい屁でもないのだろう。

ガード下の壁にもタギングがびっしり。改装前の宮下公園では落書き対策に前もって合法的なグラフィティを施すといった試みが行われていたらしいが、そもそも「合法的」を前提にするとそれはヒップホップ文化ではなくなってしまう訳だ。

そんな東横線渋谷駅ホームも2012年中の副都心線直通後に解体工事が行われて、撤去されてしまう予定だ。暗渠化された渋谷川の上に建つ東急百貨店東横店も、駅舎の解体に合わせて建て替え計画があるそうで、この落書きだらけの風景も見納めになる事だろう。

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