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【かつて埼玉だった東京】板橋なのに戸田?板橋区舟渡四丁目の「戸田葬祭場」を見に行った

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概ね荒川一つ隔てて対峙する東京都と埼玉県、兎角住む街によって露骨に格付けされてしまう首都圏の住宅事情であるが、新座市にある練馬区の飛び地のように埼玉の中の「東京都」だけ土地の値段が高くなるなど、のっぴきならない東京と埼玉の格差を見るたび、両都県境の風景を見るとゾワゾワしたものを感じてしまう。今回訪れた場所もそんな東京と埼玉の境目にある土地だ。

東京都板橋区と埼玉県戸田市の境目にあたる荒川…水害から街を守るべく整備されたスーパー堤防が延々と連なり、その先には東北・上越・北陸新幹線と並走する埼京線の鉄橋、そして国道17号戸田橋が遠目に見える。場所は板橋区舟渡四丁目あたり。埼京線浮間舟渡駅から西へ約1.5キロ、都営三田線西台駅から北へ1キロ離れた地点だ。

真正面には荒川放水路を挟んだ対岸の戸田市街地を望むことができる。1964年東京五輪の競技会場として整備された戸田漕艇場やギャンブラー親父御用達の戸田競艇場といったものがすぐ川向かいにある。正直、東京と埼玉とでは歴然とした差があるという見方も、板橋と戸田ではそれほど違いがあるようには思えない。

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板橋区舟渡四丁目にある「戸田葬祭場」

そんなゾワゾワした都県境のザ・リバーサイドな土地にあるのは「戸田葬祭場」という民間の葬祭場である。東京23区内に9ヶ所あるうちの斎場の一つで大正15(1926)年に創立されかれこれ90年もの歴史を誇っている、筋金入りの名門斎場である。

戸田葬祭場に隣接して立地する「舟渡斎場」も板橋区の指定する葬式会場である。ちょうど二組の葬儀が行われている真っ最中のようだ。通常は葬式会場と焼き場が離れていることが多いので霊柩車でお見送り、というパターンが思いつくものだが、ここはすぐ隣が焼き場なので、直接ご遺体を運んでいった方が早そうにも思えるが一応儀式として霊柩車に載せる手筈になっているらしい。

荒川土手からも見える戸田葬祭場オリジナルサービスの広告の数々。戸田葬祭場研究開発部が開発した遺骨100%の人工石「遺石」が気になりますが、葬式業界では結構なパイオニア的存在なんでしょうかここ…

そんな戸田葬祭場、何も人間様の葬式ばかりやっているわけではない。敷地内には「ペット火葬板橋」というペット専用斎場も併設され、ペットを飼育されている皆様の可愛い愛犬・愛猫の最期の別れにも使うことができるのだ。

ところで近年では都心の墓地が高すぎるからと縁もゆかりもない埼玉の奥地まで親族の遺骨を持っていって安い墓地を買って埋葬する事例が増えていると聞く。お金がないから家賃が安い埼玉に住みたがる人間の話は分かるが、死んだ人間まで埼玉送りにするのかよ。

戸田葬祭場のある土地は確かに昔は埼玉県だった

昔のTBSのクイズ番組「クイズダービー」で驚異的な解答率で有名だった漫画家のはらたいら、夭折した女優の本田美奈子といった有名人もここで荼毘に付されたというこちら戸田葬祭場、板橋区なのに「戸田」という川向こうの地名を名乗っているには訳がある。創立当初この土地は「埼玉県北足立郡戸田町」に属していたからだ。

この付近の航空写真を見れば、現在この葬祭場のすぐ北側を流れる「荒川放水路」とは別に、南側一帯を大きく蛇行した川の跡のようなものが残っていることに気付くはずだ。ここが本来元々荒川が流れていた本流で、昭和初期に荒川放水路が完成するとこの土地は当時の戸田町の本体とは切り離され飛び地状態となった。

そして戦後の昭和25(1950)年に、戸田町大字上戸田に属していた戸田葬祭場を含めた一帯の土地が板橋区舟渡三丁目(当時)の一部に編入されて現在に至る。現在は舟渡四丁目となっている当地は人家が皆無で、葬祭場の南側には日本金属板橋工場や新日鉄住金の製鉄所といったガチな重工業地帯が広がっている他、板橋区ならではの製本工場なんかもちらほらある。

ここから少し上流側には都営新河岸アパートという香ばしい昭和な団地群があったり、逆に下流側に行くと戸田橋と浮間舟渡駅があるわけですが、浮間舟渡名物の浮間公園だってかつては荒川の本流だった川跡の一部が池になったものだ。

さらに荒川土手沿いには板橋区が運営する「板橋区立リサイクルプラザ」なる公共施設もあり、ここでは区内で収集された缶びん類を資源化する設備などが置かれている。人家もない川沿いの土地ということで、あらゆるNIMBYな要素がふんだんに盛り込まれている一帯であることがわかる。

戸田葬祭場の前の荒川土手で目にしたカラス。ここも昔は重油焚きで高い煙突が置かれていたが現在では都市ガスによる火葬を行っていていかにもな煙突も撤去され、ほぼ臭気は発生しなくなっているはずだが、やはり焼き場というだけでカラスがほのかな匂いにつられておびき寄せられるのだろうかね。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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