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板橋の軍艦島か?外界から隔絶された昭和の巨大団地!「都営西台アパート」を見る

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板橋区という地域の中でも、東武東上線が走っている大山から成増までの区間とは生活圏を異にしているのが都営三田線沿線の街だ。荒川と新河岸川が流れる低地が戦後工業地帯として発展し、その労働力として集まった新住民が生活する公営住宅が大量に建設された。高島平団地が特に有名であるが、それ以外にも団地が腐るほどあるのがこの地域の特徴だ。

そしてこの特徴はまるで当方の出身地であるナマポ貧民窟・大阪市のそれにも似ている。板橋区はなんだか大阪の下町みたいな雰囲気がするのだ。

高島平団地の手前に位置する都営三田線の西台駅を降りると、高架駅舎となった西台駅の向こう側に重厚な構えの高層団地が複数建っているのが見える。昭和43(1968)年の都営三田線開業と同時期に建設された「都営西台アパート」の5~8号棟(うち5号棟のみ公社西台住宅)である。

都営地下鉄車庫と一体化する巨大団地

都営西台アパートは昭和45(1970)年から入居が始まり、まさに高度経済成長期の働き盛りの核家族が入居するニュータウンそのものといった団地だったがそれも50年近くが経過し住民の多くが高齢化しているという、他の団地の例に漏れずな状況となっているが、この団地最大の特徴が「都営三田線の車庫と一体化している」ということ。

団地東側のスロープを登っていくとこの団地がどのような構造になっているかが判る。都営三田線の車庫があろうことか団地の真下に作られていて、4棟の高層住宅群は車庫の上に作られた人工地盤の上に建てられている。当方の記憶と重ねても都営西台アパートを除いてこのような構造を持つ団地を他に見たことがない。

確かに団地の真下に地下鉄車両がすっぽり収まっている。1~18番線まで振り分けられているうちの16番線までが人工地盤の下に収まる構造になっている。終電後はここに大量の地下鉄車両が並ぶ姿が見られるのだろうが、板橋区の都営団地というお土地柄、夜中は治安悪そうなので見に来るには勇気が要りそうですね。

車庫が立ち並ぶ横の開口部には団地内に乗り入れ可能な車道のついたスロープがある。脇の歩道も団地住民の生活道路になっていて自転車の往来が結構激しい。今から半世紀近くも前にこのような複合的な用途を携えた巨大団地が建てられたということも凄いように思えるが、日本が高度経済成長の好景気に湧いていた時代の産物でもあるのだ。

都営西台アパート内に入ってみることにする

そんな「都営西台アパート」の内部に足を踏み入れようとするも、団地への出入口は限られた箇所にしかない。都営三田線西台駅と同時期に建てられたこともあって、駅改札から団地へ繋がる専用通路がいくつかあるが、団地住民が普段遣いしていたと思われる駅ホームの真下に連なる「メトロード西台商店街」は老朽化のため既に解体工事が進んでいた。

2004年に新設されたという西口改札方向に進むと、「外界」から団地に唯一直結するエレベーターと階段がある。都営三田線車庫の上に建っている特殊事情ゆえに団地の中と外が隔てられていることが肌で実感できるだろう。エレベーター前のベンチには年老いた団地住民がたむろしている。

エレベーター以外に団地内へ入る方法は車庫に面した歩道橋の階段を登っていく他ない。車庫を跨ぐ形になるこの階段だけでも団地の4階分くらいの高さがあるが、足腰の弱った老人や身体障害者、ベビーカーを押して歩く主婦といった利用者を全く考慮していない設計であることが分かる。

歩道橋の階段を登りつつ横目に都営三田線の車庫を見る。古臭い注意書き看板も渋い。「イタヅラをしないで下さい」の「ヅ」もこれまた渋い。しかしこんな場所に都営三田線と直通運転をしている東急目黒線の電車も停まっているのが違和感バリバリ。同じ電車で結ばれている目黒区や世田谷区の街は、この団地の住民から見たら異世界そのものであろう。

そこから望む都営西台アパートの高層団地群は迫力満点。既に多くの団地マニア系サイト各位が取り上げている物件であるが、当方はどなたかが申し上げた「ラピュタ」というよりも「軍艦島」という印象が先に出てきた。

しかも建物外部に面した共用廊下の手すりから大量の洗濯物が干されているのが見えると香港にあった「九龍城砦」のイメージすら湧いてくる。共用部に洗濯物を勝手に干そうが、無断で家庭菜園をやろうが、禁止されているペットを飼おうが、事実上黙認され放題なパラダイス、それが都営住宅スタイル。

団地に通ずるエレベーターに乗り込む。このエレベーターも年代からして明らかに後付け的に設置されたものだろう。驚いたのが内扉の上部にこのような英・中・韓三ヶ国併記の注意書きがあったことだ。しかも都営住宅を有料で旅行者に転貸することを禁止している旨の一文である。この団地では都営住宅の又貸し行為がまかり通っているのか?無法地帯さながらだな。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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