総武線に乗って津田沼の銭湯遺産「鷺沼温泉」へひとっ風呂

東京DEEP案内取材班へ届いたタレコミ情報により「昭和初期に建てられ80年間そのまま使われている超絶レトロ銭湯」がここ津田沼にあるという話を聞きつけて、かれこれ津田沼の街を小一時間歩き続けた挙句、国道14号千葉街道の「鷺沼一丁目」交差点まで辿り着いた。
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そういえば津田沼という地名を聞いて「沼なんてねえじゃん」という疑問が沸いてきたのでどんな土地か調べたのだが、津田沼というのはこの地区にあった3つの村の地名のケツから取った合成地名だということらしい。
ラムサール条約で保護されているという有名な干潟を持つ「谷津」、それに今居る「鷺沼」、それにもう一つ「久々田」という村があったようだが現在地名としては消滅してしまっている。
1889年に津田沼村が成立した当時から1世紀以上使われているので、そもそも合成地名だったことすら気づかないレベルだ。いまどきなら大宮と浦和と与野がなぜか平仮名の「さいたま」になるようなセンスのない合併ばかりだが(笑)


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先ほどの津田沼名物「ヤギのビリー」が居た謎の空き地には廃車が捨てられておりかなり怪しげな佇まいを見せている。奥のトラックは大部分を蔦に覆われて緑化が進んでいる。
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ここから道路を挟んだすぐ東側に、今回の目的地である「鷺沼温泉」の煙突が見えている。銭湯マニア垂涎の地とも言われるレトロ銭湯の中は一体どうなっているのだろう。
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一応駐車場も車3台分停められるスペースがあるのでドライブがてら寄る事も可能ではある。しかし駅から離れると凄まじく田舎臭い風景が広がっていて素敵すぎる。
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ここが紛れもなく鷺沼温泉であることを示す赤いのぼり。
「温まるよ~ 家族でおいでよ!」
どうやらこの鷺沼温泉、千葉県第一号のラジウム温泉と自称しているものの「ラジウム」の文字が消されている。最近の検査でラジウム含有量が表示を許される基準を満たしていなかったからだそうだ。そもそも放射性物質のラジウムやらラドンがどう身体にいいのかよくわからんが。
しかも旭市の九十九里浜沿いにある矢指ヶ浦温泉が千葉県第一号のようなので紛らわしい。それにしても千葉県で温泉というイメージはあんまりないわけだが。
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かなり大雑把な土地なので間違えて車を停めようと敷地の奥へ入っていく客もいるらしく、このような注意看板が立てかけられている。
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駐車場から少し離れた所にこっそりと鷺沼温泉の入り口がある。
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少し電波チックな手作りの看板が特徴的。隣はまた雰囲気のレトロな魚屋がある。車で来た際はこの魚屋と隣り合った鷺沼温泉の看板を目印にすればよい。
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で、肝心の温泉の建物はどこにあるかというと結構入り組んだ奥の方にある。右隣はアパートになっていて目前にベランダが迫る。ある意味物凄く秘境の温泉って感じがします(笑)
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ようやく鷺沼温泉の建物が見える。料金は千葉県の公定銭湯価格である420円。
昭和4年創業である。昭和レトロというかもはや戦前のそれそのものという銭湯は全国探してもここだけではないかと。
実は元のオーナーが一度廃業を決めたそうだが、知人である在日韓国人のおばちゃんが店を受け継ぐことになって、今も潰れずに残っている。表で見かけた妙に味わい深い看板のセンスといい、どこかしらウトロ地区の看板を連想してしまった訳だが、さもありなん。
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何気に銭湯の入り口脇には韓国料理・焼肉と書かれた看板まで置かれていて、なるほどと思わされる訳なのだが、焼肉屋はどこにもやっていなかった。
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…で、アポなしで行ったので今回は内部の写真はありません。。。
突撃レポートは文章だけで勘弁してくださいw
入り口には鍵のつかない普通の棚が下駄箱として使われている。中に入ると韓流ドラマをぶっ続けで見るアジュンマが番台に座っているのでお金を払って中に入ろう。
脱衣場にはロッカーなんてものはなく、脱衣かごを取ってそこに衣類を脱ぎ散らかして床に置いておく。そのため貴重品は持っていくべきではない。
壁には常連客の風呂桶と風呂道具が一面にびっしり、側面にも常連客のタオルがびっしり。
中はオーソドックスに洗い場と浴槽しかない。
左右と中央に20組程のカランが置かれており入口横からケロリンの桶と椅子を自分で運んで空いている場所を確保する。
身体を洗ったら左右どちらかの浴槽に漬かる訳だがこれがヤバイくらいに熱湯なので要注意。男湯の場合は右側の浴槽が45℃、左側の浴槽は49℃であり、草津よろしく湯もみ用の板が備え付けられているものの左側に浸かる人はまずいない。
天然温泉は関東特有の黒湯の一種だが、蒲田や綱島にあるような濃密な黒湯ではない。ともかく熱すぎて長風呂できない。とても玄人向けの温泉でした。

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