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【閉館】大広間では老人カラオケ&社交ダンス!東横線綱島駅前「綱島温泉東京園」

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海外旅行がメジャーとなった現代、今時温泉旅行など昭和の遺物かと見る向きも一部ではあるが、横綱級の熱海温泉ですら廃墟だらけのホテルの残骸が立ち並んでいる現実、ましてや鉄道網が整って居なかった戦前期に活況を呈していたという東京近郊の「綱島温泉」という土地の存在は、そこが東京の奥座敷と呼ばれた大温泉地であったという歴史などとっくに忘れ去られ、東横線沿線のベッドタウンの一つという認識でしか無くなっている。東横線の綱島駅も元々は「綱島温泉駅」と称されていたのだ。

綱島温泉 東京園

綱島駅を降りてすぐの所にある「綱島温泉東京園」に行ってきた。綱島が東京都心からあまりに近すぎて存在自体忘れ去ってしまっていたが、いつか行こうと思っていた場所だ。東京園は昭和21(1946)年開業というかなりの老舗になる温泉施設なのだが、昔からの佇まいのままリニューアルもせず、レトロっぷりが際立つ。

現在この東京園一軒だけがかつての街の面影を残す唯一の温泉施設となってしまっている。普段は地元の老人常連客が中心でさながら「老人憩いの湯」と化している場所だが、連休時に来ると、老人だけではなく家族連れの客もかなり多い。

綱島温泉 東京園

玄関を開けてすぐ右手の窓口で入場料を支払い中へ。窓口の傍らには謎めいたお土産販売コーナーがある。場末の温泉施設にはありがちな展開、老人の好みそうな漬物類や干し芋、にしんの昆布巻きとかドライフルーツまで…一体誰が買っていくのかよく分からんのだが、それどころか誰が着てたか分からない忘れ物市のような状態の古着類も販売されている。

綱島温泉 東京園

そしてマッサージチェアの隣にはテレビの健康食品通販番組が好きそうな老人が有り難がりそうなパワーストーンらしき石が堂々と置かれている。そこには「霊験あらたかなる東京園の富士山」と書かれた張り紙。

ソーダライトの効能、頭能運(原文ママ)にも良く、理性的な思考・行動を取る助けをします。だって。ほんまかいな。綱島温泉ヘビーユーザーの老人達はもしかしてボケ防止に毎回触ってるのかしら。

綱島温泉 東京園

玄関口から浴室に向かうまでの間に座敷席が並べられており風呂上がりにここでのんびり過ごす事もできる。昼間は入場料が900円も取られるのだが、1時間半以内に退場すると400円が返還され、実質500円で利用できるという変なシステムがある。午後4時以降だと「銭湯料金」になり神奈川県規定の450円で終日利用が可能。

綱島温泉 東京園

綱島温泉東京園の浴室は男女別、設備的にも銭湯のそれと変わりない。湯は純天然ラジウム配合のぬるっとした黒湯。今時のスーパー銭湯とは違って浴室内に石鹸やボディーソープ、シャンプーの類は置かれていないので、事前に持参するか窓口で買う事になる。色付きタイルが色ごとに線状に配置されたデザインが昭和丸出しで良い。

綱島温泉 東京園

そして注目して頂きたいのが男女更衣室と大広間入口に挟まれてある食堂コーナーだ。よくあるセルフサービスとなっているのだが、やはり利用客は多い。風呂上がりのビールもお父さん達にとってはお楽しみですからね。ちなみに座敷席を使う時も飲料・食品類は持ち込みOKとなっていて、ここで必ず買う必要はない。気前がいいね。

綱島温泉 東京園

この食堂コーナー、場末の温泉施設のそれと考えて侮る無かれ。丼物から焼きそばからラーメン、うどん、そばからカレーからおでんから、一通り庶民的メニューが揃えられている。しかも一品200円から450円という良心的安値で。一般的なスーパー銭湯に付属する食堂と比べても半額程度の価格帯。お金儲けを考えてるようにはとても思えない。

今時お洒落ぶったお上りさんに街ごと侵食されてしまった東横線沿線でこんなリーズナブルな温泉施設、他に知らんぞ。

綱島温泉 東京園

値段が安いのを良い事に欲張ってラーメンと牛丼を2つも注文してしまった貧乏性の取材班。ラーメンはまあいいのだが牛丼はこの通り…レトルトだとわかってはいるものの、この盛り付け方は酷い…調理中におもいっきり「チーン」って言ってましたからね。これで450円。綱島温泉東京園のレストランでは最高額メニューになります。

綱島温泉 東京園

ショボい牛丼とラーメンをお盆に載せて隣の大広間へ。昔の温泉施設らしく無駄に広く取られた円形のスペースには畳の上に長い折り畳みテーブルが並列で配置されており、窓際に座布団が積まれている。端っこの席を陣取って、食事しながら風呂上がりの時間を過ごすのだが、大広間には舞台とカラオケマシンがあり、その前で平均年齢的にどう見ても年金世代としか思えない客が集まっている。

綱島温泉 東京園

大広間のカラオケコーナーを独占しているのは常日頃から綱島温泉に足繁く通っているとみられる御老人の方々ばかりである。その様子を見ていると、唐突に座敷で腰を曲げてじっと座っていた老婆が、自分の順番になるとすっくと立ち上がり、スタスタと舞台のカラオケマシンに駆け寄って歌い始めたのだ。

彼女を奮い立たせるエネルギーの源とは何なのか考え出したら、もう目の前のショボい牛丼などどうでも良くなってしまった。下手にインチキ健康器具やサプリに高い金を払ってる老人よりもよっぽど健康的ではありませんこと?

綱島温泉 東京園

そして老婆のアツい歌声に合わせて老人カップルが唐突に舞台の上に立ち、ド演歌のリズムに乗って社交ダンスを踊り始めたではないか。大広間は高齢者達が発する謎の熱気に包まれていた。案外高齢化社会でも、こんな方々ばかりなら世の中何とか回っていけるかも知れない。

綱島温泉 東京園

挙句の果てには額縁に飾られた絵までセンスがズレっぱなし。「ひ孫とおしゃべり」。長寿を願ってやまない綱島温泉ヘビーユーザーの心境を反映しての絵柄のチョイスか?綱島温泉の大広間でカラオケしまくってる爺さん婆さんなら、この絵の人みたくきっと長生き出来そうな気がする。

現在「綱島温泉東京園」は相鉄・東急直結地下駅舎工事のため無期限休業中。施設は大広間などが一部解体される見込み。なお再開時期は未定。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。
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