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【埼京線の穴場】板橋・北区民のオアシス・浮間公園がある街「浮間舟渡」をあなたは知っているか

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埼玉県の大宮と東京の池袋・新宿、さらに渋谷や大崎方面を繋ぐ「JR埼京線」も昭和60(1985)年の開業から既に30年以上が経過し、沿線の街の人口も急増して特に武蔵浦和駅あたりなどタワマン乱立地帯になっているわけですが、一方で各停電車しか止まらないのと、荒川の手前にあって埼玉県ではないのに、沿線住民にはすっかり埼玉県の一部だと思われている不遇の街がある。

それが「浮間舟渡」という沿線イチ超絶マイナーな街の存在だ。北区浮間と板橋区舟渡の区境付近に駅があるためこのような合成駅名となっているのだが、日本語力の若干劣る埼京線沿線住民にとってはその「うきまふなど」という読み方すら正しく認識されないほどにマイナーな存在に落ちぶれている。

そもそも埼京線ユーザーでもこの駅で降りたことが一度もない人間ばかりだというのに、他所の地域から来るきっかけなど皆無である。赤羽から僅か二つ先、新宿からも片道18分もあれば来れる場所だが、快速・通勤快速には全スルーされる。終電も早く早朝深夜帯の電車の本数がすこぶる減る埼京線沿線では、やはり不人気の街だ。

駅を降りると目の前が浮間公園。元は荒川の本流だった

浮間舟渡駅前のロータリーから道路を挟んだすぐ隣に見えるのが「浮間公園」という、この街のシンボル的存在とも言える都市公園である。公園の真ん中に「浮間ヶ池」があり、その畔に風車が回るオランダ風味な公園。言うまでもなく北区民と板橋区民のオアシス、埼京線開通前の昭和42(1967)年から存在している。春は桜の名所でもあり、ちょうど今の時期の休日は花見客で混むことであろう。

この浮間ヶ池も、かつては荒川の本流だった川跡がそのまま池に変わったものである。この池の真ん中に北区と板橋区の境目が走っている。そんな浮間ヶ池で釣り糸を垂らしては暇そうに思い思いの時間を過ごしている土着のオジサン達。どうやら外来種のブルーギルやブラックバスがここでも釣れるらしい。

衝撃的事実!北区浮間はその昔埼玉県だった!

1920年代までは北区浮間は荒川の左岸にあり当時の埼玉県北足立郡横曽根村(現在の川口市南西部)に属していたものが、荒川放水路開削工事の後、荒川の右岸側に変わったことで横曽根村から分離、東京府北豊島郡岩淵町(当時)に編入されている。舟渡四丁目の戸田葬祭場のあたりも埼玉だったが、浮間もかつては埼玉だったのだ。また浮間の地名も荒川左岸の大きく蛇行した土地にあったところから浮島のように見えたことが由来になっている。

元々から北区浮間・板橋区舟渡一帯は荒川放水路と新河岸川の間に挟まれた中洲地帯となっていて古くから工業地帯が広がっていた。特に国道17号西側の舟渡四丁目は戸田葬祭場や印刷工場、鉄鋼関係の重工業地帯が広がるNIMBY極まりない土地で、そもそもこの一帯は住宅地として適していない。それでも戦後の住宅需要で都営住宅や工員向けのアパートが続々建てられ、埼京線開通後は小綺麗な賃貸マンションもどんどん増えて宅地化が進んでいる。

孤高の浮間舟渡駅前タワーマンション「アイ・タワー」

極めつけには駅前にこんなタワーマンションまで建ってしまったのが現在の浮間舟渡という街である。地上30階地下1階建て、2002年竣工の「アイ・タワー」という、まさに浮間舟渡が誇る孤高のランドマークタワーだ。しかもなんと驚くなかれ、板橋区内で最も高い建築物でもある。

こちらのタワマン、築15年ほどが経っているが中古では4000万円台というのが相場らしくギリギリサラリーマンの収入でも手が届くレベルなのが東京の端っこ浮間舟渡クオリティの物件でしょうか。低層階にはちょろっと商業テナントも入っているみたいですが駅周辺を含めて買い物するところには乏しい印象がある。

駅前の飲食店はチェーン店中心だが日高屋がない。やはりここは埼玉ではなかった

せいぜい駅前には埼京線の高架下にあるマルエツくらいしか普段遣いできるスーパーがない。少し離れて北赤羽寄りに激安スーパーでお馴染みのカズンとオーケーストアがある。自家用車があれば特に不便はないだろうが、車はなくとも自転車くらいは欲しい感じがする。タワマンだけやたら目立っているが他は都営住宅も多かったりするので、住民の層は他の北区・板橋区の平均的なそれと大して変わらないだろう。

一方、駅前ロータリーにある「ひやく亭」なる弁当屋チェーン、焼きそばや各種揚げ物類が100円均一で売られていていかにも板橋的なノリの激安路線で営業中。ドヤ街山谷(台東区清川)にも店舗があるガチっぷり。

他にも食い物屋は餃子の王将にバーミヤン、マックにモスとチープなチェーン店が一通り揃っているが、どこの駅前でもたいがい見かけるはずの「日高屋」がどこにも見当たらないのがやはりこの場所が埼玉県ではないことの証である。

そんな浮間舟渡駅前では日高屋が無い代わりに現地人がやっているようなチープそうな中華料理屋が何軒か営業している。チェーン店以外の食い物屋を探すのが難しいこの街では貴重な存在かも知れない。

我々も小腹が減りだしたので、そんな中華料理屋の一つである「味亭」にピットインすることにした。いかにも現地人がやってます的な店構え。北区・板橋区にはありがちな設定である。

お昼時を少し外した時間帯だったので店内はまかない飯を食って休憩している店員しかいなかった。店の入口のガラス戸や店内の壁にベタベタ貼られた写真付きメニューがまた現地人っぽいセンスをしている。

昼飯に選んだのは酢豚定食である。結構な量の白飯にサラダと卵スープ、杏仁豆腐まで付いて700円というお安さが東京の端っこ浮間舟渡らしい良心的価格。特別旨いかと言われればそこまでではないが、家の近くにあればたまに来るよね、的なローカル臭漂う店であった。

北区・板橋区ならどこでもそうだが、やはり埼京線沿線も家賃相場が控えめということもあってか外国人世帯が多いらしい。アスファルトの歩道上にある歩きタバコ禁止の警告文もわざわざ英語、中国語、韓国語の四カ国語表記である。

駅の南側には下水処理場、その上には公園が

これまで見てきたのは全て駅の北側の光景であったが、逆に駅の南側に出るとどういうものがあるというと「浮間水再生センター」という下水処理施設と、その上に整備された「北区浮間子どもスポーツ広場」という児童公園である。浮間公園だけではなくこちらも公園か。やたらと公園だけは豊富にある街なのだ。

浮間公園も北区民と板橋区民のオアシスだったが、あっちは釣り客や高齢者が多かったのに比べて、こちらは若い子育て世代の地元民が多くいる。公園の入口にスロープがあり車の出入りがなく駅前からほぼ直結で出入りできるため、子供への安全性が高いことが人気の理由らしい。子供が大勢遊んでいたり、そばの高架を行き交う新幹線や埼京線車両を眺められる。

なぜか北乃きいが「浮間舟渡」というタイトルの曲を出している件

浮間舟渡

そんなドマイナー感半端ない街「浮間舟渡」ですが、なぜか女優で歌手の北乃きいがこの街のことを唄った「浮間舟渡」という曲を出している件。皆様、埼京線に乗ると「赤羽の次が戸田」だという認識はそろそろ改めてもらいましょう。埼京線ユーザーの心の隙間にある街、それが浮間舟渡なのです。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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