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「横浜ドリームランド」を覚えていますか?横浜・戸塚の外れに夢の残骸を探しに行きました (全2ページ)

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日本国内にある「巨大遊園地の廃墟」の衝撃的な写真がネット上でえらい話題になっていたのを目にした。それは奈良県奈良市にある「奈良ドリームランド」の廃墟で、同遊園地は昭和36(1961)年に開業、ディズニーランドが出来る以前から存在していた国内有数のテーマパークでもあった。そしてその弟分として東日本において開発された巨大遊園地が「横浜ドリームランド」である。

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そもそもこのドリームランド、日本ドリーム観光の社長であり「昭和の興行師」の異名を持った創業者・松尾國三が本場アメリカのディズニーランドを訪問して感激し、ウォルト・ディズニーに何度も直談判して日本への誘致を図ろうとしたのが誕生のきっかけになったという。

松尾の熱意に押される形でディズニー側はディズニーランドとは無関係の独自のテーマパークを日本に作るという目的を前提として経営ノウハウや技術支援を無償で行ったが、そんなディズニー側の意向を半ば無視した形で、完成した奈良ドリームランドはディズニーランドを完全に模倣した造りになっていた。

結果それがウォルト・ディズニーの怒りを買い、これが後々ディズニーランドの日本誘致の足枷となったというのだ。まあ、当時の経営者の感覚で言えば中国の石景山遊楽園みたいなノリでやっちゃったんですかねえ。中国を笑えませんねえ…

横浜市戸塚区 俣野町

奈良ドリームランド開業から3年後の昭和39(1964)年8月に、横浜市戸塚区俣野町という横浜の外れの外れにある広大な土地を開発して華々しく開業したものの2002年に閉園した「横浜ドリームランド」の跡地がどうなっているのか、見に行く事にした。

戸塚駅や大船駅といった交通の要衝からは遠く離れた場所にあり、戸塚駅からバスに乗り継いでさらに片道25分程掛かる不便極まりない土地。もはや横浜のチベットですね。

横浜市戸塚区 俣野町

テーマパークの過当競争の末、不便な土地にあった事も災いして、横浜ドリームランドは度重なる規模縮小を経て2002年2月17日に閉園。現在この場所は「ドリームハイツ」という浮かれた名前の大型団地が立ち並ぶ一帯になっていて、交差点の名前にもバッチリ残っている。

横浜市戸塚区 俣野町

ドリームハイツ交差点から坂を登った先に、だだっ広いバスロータリーと大型団地群、俣野公園、それに横浜薬科大学のキャンパスが揃っている。かつてこの土地が全て「横浜ドリームランド」だったという過去は、この風景を見てもにわかには気付き難い。

横浜市戸塚区 俣野町

このロータリーに隣接して建っている「ドリームビル」…横浜銀行戸塚南支店などが入居している。今更ドリームもへったくれもない古ぼけたビルであるが、この裏の駐輪場辺りに昔「モノレールの駅があり、ドリームランドと大船駅との間を走っていた」という、想像も付かない過去があった。

横浜市戸塚区 俣野町

横浜ドリームランド開園後の昭和41(1966)年5月に日本ドリーム観光によって鳴り物入りで誕生したモノレール「ドリームランド線」は交通不毛地帯だった当地へのアクセス経路として大船駅と当地を片道8分で結んでいた。

しかし翌年には車体の重量オーバーという「致命的な設計ミス」が発覚し、モノレールの橋脚にヒビが入る等危険な兆候が現れた為に運輸省(当時)の勧告により運行休止。結局そのまま再開する事なく僅か1年4ヶ月の短い一生を終えた。

横浜市戸塚区 俣野町

その後現在まで当地への移動手段は路線バスに限られる事となり、渋滞の難所として有名な国道1号原宿交差点を通らなければならない事から、交通便の悪さを敬遠して、これが横浜ドリームランドの経営に致命的な要素として残ったのである。

モノレールの駅舎や橋脚は横浜ドリームランド閉園後の2003年あたりまではボロボロのまま放置されていたそうだが、その後解体され跡形も無くなっている。

横浜市戸塚区 俣野町

団地の西側一帯に広がる俣野公園もやはり横浜ドリームランドの一部だった。野球場や市営墓地などが整備されている。

横浜市戸塚区 俣野町

俣野公園に隣接する南西側の土地に鎮座する「春日神社」。正月三が日には多くの初詣客で賑わっているが、この神社もまた横浜ドリームランドの成り立ちに大きく関わっている。

横浜市戸塚区 俣野町

神社の入口に掲げられた看板に神社の由緒が書かれているが、この春日神社は、横浜ドリームランドの開設に当たって、奈良ドリームランドがある奈良の春日大社の分霊を勧請して建てられたものであるという事が分かる。非常にわかりやすい経緯である。

横浜市戸塚区 俣野町

こんな交通不便な横浜のチベット団地ゾーンなんぞに古都奈良を思わせる朱塗りのでかい山門を抱える春日神社の境内風景が不釣合いな程にご立派な件。当初はドリームランドの所有だったが、神社だけが分離され「相州春日神社」として独立し、ドリームランド閉鎖後も健在で今に至る、との事。

横浜市戸塚区 俣野町

さらにこの春日神社、プチ春日大社的な境内風景に留まらず、奈良から「鹿」まで持ち出して飼育している神鹿園までも存在するのだから驚きである。

横浜市戸塚区 俣野町

確かに檻の中に沢山の鹿がいる訳ですが、この鹿達も先祖を辿れば奈良の春日大社にいる鹿と同じ血統を引いているんですよ。やはり奈良と同じく彼らも神の使いである。クソ寒い天気のせいかこぞって狭い日なたに密集している。

横浜市戸塚区 俣野町

そして奈良同様「鹿せんべい」まで販売されているというこのプチ奈良公園状態。よもやこんな場所にある風景とは思えなかった訳ですが、これも奈良ドリームランド時代の名残りだと思うとなかなか感慨深いものがある。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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