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吉原遊郭と歴史と共にしてきた「吉原土手」の馬肉料理店と天麩羅屋

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吉原…そこは江戸時代に始まり売防法施行の昭和33(1958)年まで340年に渡って続いていた日本最大級の遊郭、そして今も現役の色街として全国区でその名を轟かせている、そんな場所である。現在の住所は「台東区千束四丁目」。最寄りは地下鉄日比谷線三ノ輪駅である。

台東区 三ノ輪

ドヤ街山谷のど真ん中を貫く「いろは会商店街」の南端部に面する土手通り。吉原遊郭の入口となる吉原大門交差点もこの通り沿いにある。最近町おこしで設置された「あしたのジョー」の矢吹丈が目印。実際この地に訪れてみると、そこは東京最強のドヤ街「山谷」に隣接した場所だという事に気付くだろう。

台東区 三ノ輪

土手通りの不動産屋もドヤ街山谷らしく「生活保護受給者」向け。遊郭とドヤ街、全く性質の異なる街ではあっても一方は女の苦界、もう一方は男の苦界という共通点がある。それは大阪で西成釜ヶ崎と飛田新地、名古屋で笹島ドヤ街と中村遊郭が隣接しているようなもので、忌み地とされていたものはどの都市においても同じ場所に集められる事になる定めなのだ。

台東区 三ノ輪

土手通りという名前が示すように、その昔「山谷堀」という川があった事からこの通りを「吉原土手」とも呼ぶ。しかし川はとっくに埋め立てられて「ドテのクスリヤ」などと薬局の看板などに吉原土手の面影を残すのみとなっているのだ。ちなみにこの土手通りを三ノ輪方面に行けば「投込寺」で知られる浄閑寺。死んだ吉原遊女を祀る新吉原総霊塔が今も佇む。

台東区 三ノ輪

土手通りには今でも吉原遊郭の栄華の匂いを残す重厚な戦前の木造建築が際立つ天麩羅屋「土手の伊勢屋」と桜鍋「中江」の建物が2軒並んでいる。吉原土手の名所として、浅草観光にやってくる観光客もわざわざここまで足を伸ばして食べに来るような場所となっている。

台東区 三ノ輪

土手の伊勢屋は明治22(1889)年創業、中江は明治38(1905)年創業で、共に100年以上の歴史を誇る。建物は関東大震災で全壊した後に建てられたもので、既に築80年以上。それでも店の外観から放たれる風格は、近所の山谷の安っぽいドヤの建物とは異なる。

台東区 三ノ輪

特に「土手の伊勢屋」はテレビで何度も紹介されているような有名店となっているので、休日の昼間にふらりと訪れても「本日は売り切れました」の看板の前で撃沈させられてしまう事が多い。昼間は11時半から14時までだが、13時半の時点で売り切れたりする。休日にはこの通り店の前に行列用の椅子がズラーリ。

どうやら2015年11月以降店舗改装の為に長期休業しているらしい。今では浅草のROX・3Gに「下町天丼秋光」という系列店もオープンしている。儲かってまんなあ。

台東区 三ノ輪

かつて吉原遊郭周辺には桜鍋(馬肉鍋)を出す店(蹴飛ばし屋)が20軒程あったそうで、遊客達が吉原でここぞと遊ぶ前に精を付ける為に、もしくは吉原帰りの晩飯にと桜鍋を食べる習慣があった。桜鍋の「中江」も有名で老舗の店だが、吉原土手で現役で商売しているのはここと「あつみや」の二軒のみ。

台東区 三ノ輪

さらに土手通り沿いには東京でも割と珍しい「馬肉専門店」まである。吉原土手「馬肉の千葉屋」である。吉原周辺はもとより都内各所の料理店に馬肉を卸している老舗。

台東区 三ノ輪

千葉屋で売られているのは馬肉各種にハンバーグなどの加工品、それに加えて「馬の油」。家庭の万能薬だと言われて市販品が出回っているが特に火傷に効く代物。肉屋で売ってるというだけで何だか効きそうな気がするが、スペースを余らせているのか何故か下の段にはカレールーが一緒に売られている。

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なぜ吉原土手と言えば馬肉なのかというと、昔、吉原に遊びに来た百姓が銭を使い果たして、自分が乗ってきた馬を近所の商人に売り捌いて遊び代を工面していたので、そんな商人達が馬を持て余していて困っていた。それならいっその事食べてしまえ、で始まった食文化なのである。

台東区 三ノ輪

創業110年、下町浅草の蹴飛ばし屋として東京で最も老舗である「桜なべ中江」のホームページによると、元々桜鍋は下町のファーストフードで気軽に入って食べるものとされていた。現在は高級食材になってしまっているので、馬肉を食うというだけでも結構な贅沢である。

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それでも年に一度は食べに来てしまう吉原土手の桜鍋がこちらになります。鍋底がやけに浅いのは、サッと煮てサッと食べられるように、店の伝統として続いているものである。煮過ぎて固くならないうちに食べるのが良い。

台東区 三ノ輪

桜鍋に限らず、馬刺しや握り寿司など生肉類も豊富。ロース2貫で780円から。贅沢だ…ちなみに岡本太郎画伯もかつての常連で、三代目店主の時代に頼んで考案した「タロタロユッケ」というユッケ風馬刺しもあるのでお試しを。飲み食いすれば1人5000~8000円位にはなるが、たまの贅沢には価値のある店である。

桜なべ中江

営業時間 [火-金]17:00-22:00 [土日祝]11:30-21:00 月曜定休
東京都台東区日本堤1-9-2

東京都台東区日本堤1-9-2


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。

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