戦後日本の中枢を裏で支える街・高級料亭とTBSとコリアタウンの「赤坂」を歩く(2010年)

港区

<3ページ目を読む

日本の中心・永田町の隣に広がる大歓楽街「赤坂」。政治の表舞台が永田町なら、こちら赤坂は裏舞台である。政治家・政商・ヤクザ…人の皮を被った強欲なモンスターが跋扈する裏の顔。日本の近代史の中でも数々の知られざるドラマが繰り広げられていた。

赤坂見附交差点の前にやってくると、広大な車道、整然と並ぶオフィスビル、丘陵の上には高級ホテルが立ち並び、目の前には首都高が突き抜ける。日本の首都たる威厳を保つ街並みにため息が出る。

赤坂見附交差点から外堀通りに沿って南側を見ると、左には千代田区永田町、右には港区赤坂の歓楽街。ビジネスマンのオンとオフが見事に両サイドに別れたかのような光景を見せていて面白い。

赤坂がコリアタウンであるという事ばかり強調すると偏見になりかねないので、一応平日昼間の赤坂界隈の光景も見ておこうと思った。外堀通り沿いには超高層オフィスビルが乱立し、韓国系だけに限らず外資系企業が数多く入居している。

昼ともなればそこらじゅうのオフィスビルから夥しい数のサラリーマンが民族大移動を始める赤坂の風景。日本語だけではなく英語やフランス語、よく分からない国の言葉まで混ざっていてインターナショナル。

ヤッカン通りなどと言われていたエスプラナード赤坂通りなども昼間はスーツ姿のサラリーマンだらけ。完全にオフィス街の日常風景だ。

昼の赤坂では飲食店がこぞってランチタイムの客の奪い合いになる。店の密度もハンパないので競争も自然と激化する。

高級料亭やレストランの多いさすがの赤坂界隈でも500円のワンコインランチが普通に出回っているので侮れない。しかしたいがい韓国料理という罠。

それなら中華料理はどうだと思い名華園という中華料理屋を見てみると思いっきりハングルで書かれている韓国式中華料理だったりして面食らう。これが赤坂クオリティ。

猥雑極まりない赤坂の繁華街を抜けて外堀通りに出るとまるで別世界のような整然としたオフィス街が広がっている。

しかしそんな場所でもよく目を凝らしてみると黒スーツのイ・ビョンホンがトランプ片手に笑顔を振りまいている。セブンラックカジノは韓国観光公社100%出資の子会社が運営している外国人観光客向けの公的カジノである。

ギャンブル禁止の建前はなずの日本では在日コリアン産業のパチンコが黙認されているのに韓国ではカジノが遠の昔、1967年には解禁されている罠。韓国にあるカジノの広告が何故日本の赤坂に出ているのか、不思議。

ちなみに韓国では法律で全面的にパチンコが禁止され、パチンコ店は街角から一掃されている。それもつい最近、2008年6月のことだ。これは日本のマスコミでは何故か報道されていない。

見た目には綺麗なオフィス街になった赤坂の外堀通りだが、その中でもひと際目立つ超高層オフィスビル「プルデンシャルタワー」。その名の通り外資系のプルデンシャルフィナンシャルグループのビルである。オフィスフロアだけかと思ったら上層階は超高級賃貸マンションになっている。

この土地は有名なホテル火災で多くの犠牲者を出したホテルニュージャパンの跡地で、1982年2月の火災以降、1996年に解体されるまでは長らく焼け落ちた廃墟の姿を晒していた。

このホテルの地下に、プロレスラー力道山が命を落とす羽目になったナイトクラブ「ニューラテンクォーター」が存在していた。数々の政界の大物や右翼、ヤクザなど日本の影の実力者が集まるアウトローの頂点のような場所だったが、1989年に店を閉じている。

プルデンシャルタワーの裏手に回ると住居棟の入口と休憩スペースがある。かつてのホテルニュージャパン跡を示す物は何も無い。

火災の原因は宿泊者の英国人の寝タバコだったが、被害が拡大した要因はホテルニュージャパンの経営者が火災前に「買収王」の異名を持つ今は亡き実業家横井英樹に代わり、徹底しすぎた合理化で人員削減を行った他、スプリンクラーなどの防火設備がダミーだったり、違法とも言える不備があった為と言われている。横井はこの件で業務上過失致死罪で禁錮三年の実刑判決を食らっている。

ちなみに横井英樹と言えば「廃墟の父」の異名でも知られていて、大田区池上を始め地元の愛知県などに巨大ボウリング場「トーヨーボウル」の廃墟を残している事でも知られる悪名高い存在だ。

>5ページ目を読む


タイトルとURLをコピーしました