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無法パフォーマー、追いかけるマスコミ…無差別殺傷事件が起きた2008年の「秋葉原」の異様な雰囲気

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秋葉原の歩行者天国がヤバイと盛んに報道され始めた2008年4月、当方は秋葉原に赴いて歩行者天国の密着取材を敢行している。

その時には日テレ系のよみうりテレビ「ミヤネ屋」の取材班を始め数多くのマスコミが集結して面白半分にパフォーマーを取り上げていたのだが、彼らの目的が騒ぎの中心人物で「ケツ出し」で逮捕されることになった自称セクシーアイドルの沢本あすかに対する取材である。

アキバのホコ天を中止に追いやった人物、沢本あすかと加藤智大

秋葉原の路上に姿を表した沢本あすかを当方は目撃し、この通り写真に収めている。当時は彼女が出没するだけでたちまち路上のギャラリー男集団が騒ぎ出して大変な事になっていた。本人は現場の空気を警戒し“目的”を果たす前にタクシーに乗り込み現場を離れていった。

露出狂アイドルですが、ナニか問題でも?

沢本あすか本人は後日出版した暴露本「露出狂アイドルですが、ナニか問題でも?」の中で完全にマスコミ側から取材を持ちかけられたと事情を明かしており、卵が先か鶏が先か、騒ぎの元凶を広めたのはどこのどいつだという話になっているわけですが、ところでご本人はお元気に過ごされているでしょうか。

マスコミもひっくるめて大騒ぎになった4月20日から一週間が過ぎ、27日日曜日の秋葉原を訪れると、そこには商店街総出で「路上ライブ・パフォーマンス等禁止」と書かれたプラカードを持ち歩行者天国を練り歩く人々の姿があった。

だが相変わらずおかしなパフォーマーと、それを面白半分に追いかけるマスコミの姿でごった返していたのである。沢本あすかはこの日の時点で既に万世橋警察署に身柄を確保されて留置所の中に入れられている。居合わせたマスコミ各社は第二の沢本目当てに飢えた獣のように歩行者天国を徘徊していた。

時折路上パフォーマンスをやらかそうとする人の姿はあるが、誰か一人でも写真を撮ろうと構えると次々人だかりが出来そうになる。「警察がうるさいから、そのへんで勘弁してください」とキョドるパフォーマー達。

日本のマスコミによるメディアスクラムは世界に類を見ない悪質さであるが、ゴールデンウィーク中のお茶の間にも連日アキバのホコ天のカオスっぷりが報道されていた。我々が秋葉原を訪れるたびに「ミヤネ屋」の取材班を筆頭に様々なマスコミ関係者が歩行者天国とその周辺をうろつき回っていたのを見ている。

あの事件を前に、過熱するマスコミ報道に晒されるこの街には異様な空気が醸成され、何か「騒ぎ」を起こすのにこれ以上の「舞台」はなかっただろう。

そう、この1ヵ月後、無差別殺傷事件は起こるべくして起こったのだ。

起こるべくして起こった「秋葉原無差別殺傷事件」

6月8日の事件後初めて秋葉原を訪れた時には、既に歩行者天国が中止された後だった。昭和48(1973)年に始まって以来38年間、初めての事態である。

当たり前だが、路上パフォーマンスをやれるような空気ではない。歩道上には犠牲者を弔う花束と供え物が置かれている。

事件から3週間が経っていたが、現場となったソフマップ前交差点の前では多くの花束が手向けられている。わずか30秒で7人の命を奪い10人を負傷させた一瞬の凶行。逮捕された当時25歳の男、加藤智大は現在も東京拘置所の中で死刑執行の時を待っている。

あまりに一瞬の出来事だったので、本当にこの場所でそのような惨劇があったのかということを想像しても現実味に欠ける気がしてならない。歩行者天国こそなくなったものの、そこで流れている風景は平和な日常である以外の何者でもない。

大勢の通行人の前にトラックで突っ込みダガーナイフで襲った後、犯人はサトームセン跡の路地に逃げ込む。

犯人・加藤智大が居合わせた警官と対峙した後取り押さえられた場所。この時に“偶然にも”居合わせたマスコミ(日本テレビ)取材班が犯人確保の瞬間を激写している。手薬煉を引いて引いて引きまくった挙句「最高のネタ」が捕れた瞬間ではなかったのか。

かつてはアキバを代表する家電量販店だった「サトームセン」がご覧の通りの有様になってしまったこと自体がこの街の重大な変質を物語っている。事件後、このサトームセンの跡地は歩行者天国の代わりにと、とある業者がライブイベントスペースとして使用していた。

皮肉な防犯標語「この街を テロから守る あなたの目」とは言っても気をつけようがないのが正直なところ。少しでも怪しい風貌をしていると警察に職質されるなど、今の秋葉原はかなり神経質な街に変わっている。

しかしそんな現場の目の前で刃物をこれ見よがしに売るかよ(笑)

かくして、秋葉原歩行者天国とそれを取り巻く「劇場」は最悪の悲劇を迎え終焉したのであった。歩行者天国はその後再開されたが、過激でやりすぎな路上パフォーマー達は、この場では一切活動することが出来なくなった。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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