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【中央区ブランド】異様な荒廃ぶりを見せていた「湊二丁目の地上げ跡」の現在【選ばれし民の街】

昔々、東京が江戸と呼ばれていた頃から、こちとらお江戸の中心でい!とチャキチャキのプライド丸出しで粋がる下町気質が隠せない「東京都中央区」の方々が、昨今大阪府市の議員等で作られている法定協議会がいわゆる“大阪都構想”の上で大阪市域を4つの特区に再編するにあたって、そのうちの新区名の一つを既存の大阪市中央区と同じ「中央区」に決めた事に噛み付いている。大阪府市に向けて名称の再考を求める文書を送付、それによると「70年掛けて作り上げてきた中央区ブランドが崩れる」んだと。

銀座、日本橋…世界の一流ブランドと日本中の一流企業のオフィスが集まる一流の街、そう我々中央区民こそが一流なのですよ、我々こそが「中央」を名乗る権利があるのだといわんばかりの“傲り”が見え隠れするようで、お前ら元々「東側の下町」だろうが!と、なんともモヤモヤした感情が湧いてきて胸のつかえる思いがしてならないので、今回はそんな「東京都中央区」の不都合な裏の顔とも言える、古臭い下町がバブル期の地上げ攻撃に遭って丸ごと廃墟と化し惨めな姿を長年晒していた、八丁堀駅近くの「湊二丁目東地区」の最近の姿をお届けするとしよう。

2020東京五輪で再燃した土地バブル、地価高騰で選ばれし民の街と化した中央区

…というわけで、久方ぶりの八丁堀へ。地下鉄日比谷線とJR京葉線が使える駅だが、東京駅のすぐ隣だというのに駅前ですら閑散としているのは昔っからです。中央区と言えば殆どオフィス街と化してしまっているド都心の印象が強いが、実のところは1997年に約7万2千人まで減っていた人口が、2020年2月現在では約16万9千人にまで増えている。都心回帰で高級タワマンが乱立し、富裕層が多数流入しているためだ。

タワマンだらけタウンになった臨海部の月島、佃島、勝どき、晴海あたりはいよいよ飽和状態になってきたので、その次に開発が進められたのが、当サイトが2010年にお伝えした「湊二丁目の地上げ廃墟地帯」となったわけだ。そこに向かうために鐵砲洲稲荷神社の前を通りますけれども…ええ、渋いっすねえ、相変わらずこの界隈は…

なんということでしょう、地上げ跡が立派なタワーマンションに

鐵砲洲稲荷神社や鉄砲洲児童公園を通り過ぎた先、住所で言う湊二丁目11番地、15番地あたりが件の地上げ跡だったわけだが、いまその土地を訪れるとクソでかいマンションが2つもズドーンと鎮座しておるではないか。あれ?数年前まではこんな風じゃなかったですよ?

まず鉄砲洲通りに面した側には住友不動産の「シティタワー銀座東」がそびえる。いくら最寄り駅が八丁堀だろうが新富町だろうが、“銀座”の二文字に唯一無二のプレミアム感を添えて名付けてしまうデベロッパーの商売根性よ。公式サイトを見ると「銀座エリア徒歩10分」と宣伝しておられますが、これは住所が銀座と付く場所というだけで、銀座一丁目の京橋公園あたりを指している。ザギンの中心・銀座四丁目交差点までは徒歩23分だわさ。

その東隣にそびえるタワマンは三井不動産の「パークシティ中央湊ザ・タワー」である。まだ“銀座東”だなんて付けない分、こっちの方が潔い。36階建てで、上層階は余裕で億超え。賃貸だと独身向けの1LDKでも月額21万オーバー…それでも銀座徒歩圏では安い部類らしいんですけれども…

パークシティ中央湊ザ・タワーのふもとにはデリドという聞き慣れない名前のスーパーが入っていて、周囲にまともな商店街すらないこの界隈では唯一の食品調達先となっている。住民の望みとしてはもう少し周りにオサレなカフェとレストランでも欲しいところなのだろうが、いかんせん街全体に定住者が少なく閑散としている。歩いてザギンに行けということらしい。

参考までに、湊二丁目東地区がまだ地上げ廃墟地帯だった頃の写真を載せておく。2013年頃の当地の様子である。元々の住民は櫛の歯が欠けたように消えていき、ゴーストタウン化が進み悲惨極まりない状態が長く続いていたのだが…

五年やそこらで見違えるかのように、ここまで街並みがガラっと変わってしまうものなんですね…という実例となった。しかし新しくなった高級マンション街の住民となれるのは、日本の全人口の1%にも満たない高所得者層ばかり。年収1500万円オーバー世帯とかそんなレベルじゃなければ「東京都中央区」では地代がペイできません。もはや下町どころか「選ばれし民の街」である。

まだ一部は歯抜けっぽい土地がコインパーキングなんかで残ってはいるものの、10年前にはボロい木造家屋や印刷工場なんかが並んでいた煤けた下町風景なんかも、真新しいマンションやビルタイプの戸建住宅などに変わってしまい、もはや昔の面影すらない。

鉄砲洲通り沿いにあるタイムズ駐車場も昼間最大料金が平日土曜3200円と高額なのに対して、日曜祝日はたったの600円。典型的な都心のオフィス街的相場だが、日祝料金がそれだけお安いという事は、ここが中央区の中でも端っこの、実は地価がそれほど高いエリアではないという事を示している。そう考えると、先のマンションの相場はかなりボッタ入ってると思いますけれども…八丁堀、新富町両方の駅が使えるとは言え、ここだと片道10分くらい歩きますしね。

前にも説明した通り、辛うじて戦災を免れた中央区湊二丁目界隈。関東大震災後に増えた銅板葺きの家屋がまだ残っていた。こういうのもあと数年したら見納めになるかも知れんな。

で、そんなタワマン街に隣り合うのが東京下町民の母なる川・隅田川である。ここもタワマン建設に合わせてか、川べりの一帯が「中央区立湊公園」として整備されているのだ。

公園名を示す看板の裏側には、当地「湊二丁目東地区」の街づくりに関わる長年の苦労を示した案内がなされていた。

「この地域は、東京駅から1.5kmという恵まれた立地にあり、かつては良好な環境を有したまちでしたが、昭和の終わり頃からいわゆるバブル経済等の影響を受け、次第に空閑地等の低未利用地が散在し始め、防災、防犯上の課題が生じたため、まちの再生に向けた地域の取組がスタートしました。」

隅田川の向かいの佃島も江戸時代の頃には「石川島人足寄場」といって、浮浪者や犯罪人を対象とした職業訓練校的な施設があった場所でして、そういう歴史のあった土地が巡り巡ってタワマンセレブ街に変わるという稀有な光景が見られるのが「東京の東側」なのである。

「港区民」のブランドにしがみつきたいが為に品川駅徒歩圏の港南三・四丁目の倉庫街のタワマンに住んでる方々ほど極端ではないが、湊とか新川とか晴海といった地下鉄の駅から遠く外れた地域は「中央区民」のブランドにしがみつきたい人々の有力な選択肢になっている感は確かにある。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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