東京DEEP的「江ノ島」の歩き方 (7) 龍恋の鐘

江島神社奥津宮の境内から伸びる山道に少し入ると、これまたリア充カップルの聖地らしき「龍恋の鐘」という名所があるようなので、ちょっと寄り道してみることにした。
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何の変哲もない山道を入る事になるため事前に案内図がないと気づきにくいかも知れない。
江ノ島がリア充カップルのベタなデートスポットであることは先程の辺津宮にあったむすびの樹の膨大なピンク絵馬を見たりすることで嫌と言う程気付かされる訳だが、この先の「龍恋の鐘」もなかなか凄い事になっている。


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何もなさそうな山道をカップルが手を繋いでラブラブ状態で入っていくので、カップルに付いて行くと「龍恋の鐘」の看板が突如現れる。これも気が付きにくいが、看板の足元の花壇も無理矢理ハート型になっていて笑える。もうこの先は独り者にとっては何とも居心地の悪い空間が広がっているのだ。
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一体どんな光景が広がっているのかというと、太平洋が見える絶壁の丘の上に置かれた一つの鐘…という、典型的な「恋人の聖地」っぷりである。日本全国津々浦々、恋人の聖地というものは数あれど、なぜ決まって「鐘」があるのだろう。やっぱりウエディングベルですか。
龍恋の鐘は「天女と五頭龍」の伝説に基づいていて、邪悪な五頭の龍が天女に恋をして、天女と結ばれる為に改心したというベタな言い伝えがある。
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で、恋人の聖地といえばこれ。大量の南京錠。
しかしさすがベタなデートスポットの江ノ島だけあって数が半端ではなく多い。カップルが絶え間なく持参した南京錠を括りつけている光景が見られる。
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いかにもデートスポット的な場所に行くとこういう光景はよく見かけるが、その中でも江ノ島「龍恋の鐘」の南京錠密集度は群を抜いている。ここは間違っても一人身で来る場所ではない。鬱になること請け合いだ。
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しかしこれだけの数が密集していると恐怖すら覚えてしまうのは不自然な事ではなかろう。美しい鳥だって一羽二羽くらいで居ると可愛いもんだが数千羽が群がるとヒッチコック状態となるように、この夥しい数の南京錠はむしろ狂気すら感じる。
そこには恋愛といったポジティブな響きの裏側に隠れる男と女の底知れぬ執念を感じさせるような「何か」がある。
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結ばれたいと願うのは必ずしも双方ともであるとは限らない。浮気や暴力で傷つきながら破綻に至る事もある。そして将来別れた恋人に恨みを込めて縁切り神社の絵馬に書き込む奴がいるかも知れない。愛は陽炎、束の間の命。
一体ここで南京錠を掛けたカップルのうち何割が無事に結婚出来たのでしょう。知る由もない。
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それにしても、これだけ愛しあう恋人が居るのになぜ日本は少子化や晩婚非婚の傾向が急激に進んでいるのだろうか…まあいいや。
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龍恋の鐘を離れて再び奥津宮を経て境内の外へ出る。ここから江島神社発祥の地とされる江ノ島岩屋まで急激な階段を降りる事になる。
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今度の階段は間髪入れずに容赦なく下りが続く。途中で見晴亭という食事処がある。そりゃこんな場所だったら見晴らしもよかろう。
この辺の食事処ではサザエの身が入った「江ノ島丼」が食えたりと色々食欲をそそられるが、江ノ島丼のサザエは地元産が殆ど採れないため韓国産が主流。従って華麗に素通りするニダ。
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ひたすら続く下り階段に沿って何軒かの食事処を横目に通り過ぎると、目の前に壮大な太平洋が姿を現す。
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奥津宮からの階段を長々と降りた先は稚児ヶ淵と呼ばれる磯が広がっている。先程までのラブラブカップルだらけの龍恋の鐘とは異なり、磯釣りを楽しむオッサン達の姿で目立つ。
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崖下から先程通りがかった食事処を見上げる。なかなかの壮観である。
しかしここで江ノ島探索を終了して有料渡船で片瀬海岸に帰ってしまうのはまだ早い。残るは江島神社発祥の地である江ノ島岩屋と、戦時中に岩場に掘られたという洞窟陣地の跡だ。江ノ島の見所はベタな観光地ばかりではないのだ。

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