五反田界隈は何も有楽街だけが怪しい訳ではない。山手線ホームからこれ見よがしに見える「ソープランド」「ファッションヘルス」と書かれた看板群は、有楽街とは反対側の西口一帯にある店舗のものだ。
そんなわけで、有楽街を後にした我々は高架下を跨いで西口北側一帯を見物することにした。こちら側は有楽街ほどの規模ではないが、やはりパチンコ屋やラブホテルばかりが目立つ、相変わらず胡散臭い通り道となっている。
駅前の広告看板のあまりのDQN仕様に、ここは本当に山手線沿線なのかと疑ってしまう。
駅北西側から伸びる通りは商店街と呼べる程の店はない。ただパチンコ屋のネオンだけがギラギラと目立っている。人通りも乏しく、パチンコ屋に入り浸るDQNオヤジが、この先のラブホテル街に入る男女くらいしか居ない。
そんな所に現れたのは旧朝銀の「ハナ信用組合」五反田支店のビルだった。この金融機関があると言う事は、五反田では在日コリアン産業が盛んである事を意味する。むろん南ではなく北朝鮮系である。
ハナ信用組合のショーウインドウには新製品「Ｗ杯南北出場記念定期」の広告が貼られていた。
そういえばワールドカップがあった事すら知らなかったが、南北朝鮮のサッカーチームが同時出場するということを記念してこうした商品を売り出す所がさすが民族系金融機関たる特徴だ。これが「世界に一つだけの花」か。
ハナ信用組合の先の路地を右に折れると、あの某女子アナが逢瀬を楽しんだという例のラブホテル街が現れる。この付近は報道ですっかり知れ渡ってしまったらしく昼間でもやけに利用者が多い。
恐らくこれから「ご出勤」であると思われる女性がこっそり入っていった「ホテルWEST」。ごく普通の、これと言って特徴のあるようには見えないラブホテルが、某女子アナ効果で超人気ホテルになってしまっているらしい。
しばらく周辺を観察してみたが、ホテルWEST以外に出入りしている客がいない。インターネットがどうこう言えども未だにテレビの力って絶大だよな。笑える。
後は山手線沿いの道を駅方面に戻る。すると、駅のホームから丸見え状態になっている「ヘルス東京」の店舗が現れる。外観からするとかなりの老舗であろうと想像できる。
もうかれこれ30年以上はやっているような年季の入ったネオンサインは五反田の街のアイデンティティそのもの。
さらにビルの屋上には昔の店舗の名残りであろうか、ソープランドと堂々と書かれたネオンサインも目立っている。昔は池上線の駅前にも違う店の看板があったが、そっちは新築ビル建設の影響で取り壊されている。よって怪しげな看板が残るのはこの一ヶ所だけだ。
ヘルス東京の玄関口を見ても、一昔前の昭和の抜き処といった風情の、中年以上のオッサンにはとても懐かしい店構えだ。割と廉価なのも、五反田に来る客層に合わせてのことだろうか。
しかしそうした業界も警察による取り締まりが強化するにつれて、無店舗営業型やマンション型が中心になっていると聞く。時代の流れとは言え、街中から怪しげなネオンサインが全て消えてしまうのはやはり寂しい。
ちなみに五反田と言えばＳＭクラブの聖地として有名で、道端で大きなボストンバッグを担いで歩く女性の殆どがその手の職業に携わる人であると言う。これもマンションの一室を店舗に使っていて、やはり外観からでは判断しづらい。
やっぱりそういう街なんですね、五反田って。
