東京都/葛飾区

東京都葛飾区ってどんなとこ?

概要

葛飾区 柴又

四方を川に囲まれ脈々と庶民のDNAが受け継がれる超土着系下町ゾーン

東京23区の北東部に広がる「葛飾区」は、足立・江戸川と並ぶ東京下町三区の一つを成している。そのイメージは専ら「男はつらいよ」の車寅次郎と「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両津勘吉という誰もが知る二大キャラクターの存在が決定的に形作ってきた。

実際の葛飾区も凄まじいド下町であり、その大部分は昭和初期から戦後にかけて手狭な台東区・墨田区から荒川を跨いで郊外に進出してきた下町エリアの延長線上にある。かつてはセルロイド製造産業の中心地で、玩具などセルロイド製品の大半がこの葛飾区だけで作られていた時代もあった。現在もなお、京成線沿線を中心に町工場と長屋が連なる庶民の為の生活空間として脈々とそのDNAを受け継がれながら今日に至っている。

昼酒当たり前の下町呑みの聖地として筆頭に挙がる「立石」には遠方からも呑み助が遠征するほどのちょっとした観光地になっているし、寅さんでお馴染みの柴又はともかく、両さんの亀有も海外から観光客が「聖地巡礼」でやってくる程だが、足立や江戸川のように都心に直結する交通網には乏しいので地方からの上京組や通勤サラリーマン率が低く、住民の下町気質が色濃く残された街ばかりだ。でも成田空港には京成線一本で行けるので外国人は多いです。

地理・環境

葛飾区 亀有

「ちゃきちゃきの江戸っ子」という言葉が現代に生きている土地、それが葛飾区

葛飾区の区域も非常に広大だが、その北側の亀有や金町、真ん中あたりの京成線沿線、南側の新小岩のいずれも例外なく下町エリアばかりで、上品ぶった街並みというものは皆無。葛飾区民にとっての最たるオシャレスポットが「アリオ亀有」であるのはお察しの通りだ。

区内ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯で、その中を荒川放水路、中川、新中川、江戸川が流れていて漏れ無くリバーサイドタウンっぷりを晒している。見るからに水害の絶えなさそう土地でもあったが、治水対策が功を奏しており、近年は大規模な水害に見舞われた事はない。

隣の足立区の凶悪さが目立っているせいか、葛飾区自体におっかないイメージは湧かないし「こち亀」や「男はつらいよ」の世界そのまんまだと思われている節はあるが、下町気質丸出しでお節介ぶった「ちゃきちゃきの江戸っ子」な土着民が多いので、お世辞にも治安が良いとは言えないながらも防犯意識や住民同士の人間関係の濃さでマイナス面をカバーしている。逆に言えばそんな下町の人間関係が煩わしいと思う人にはてんで肌に合わない土地なのだろう。そして仕事帰りに気軽に立ち寄れる酒場の多さでは他の追随を許さない。連日通って常連面すれば葛飾区民にすぐ溶け込める事請け合いである。

交通

葛飾区 新小岩

すっかり自殺の名所になった新小岩駅も葛飾区の最南端部に位置している

葛飾区の交通の要はJRにあらず「京成線」にあり。一応ながら総武線新小岩駅、常磐緩行線亀有、金町駅とJRの駅が区内に3つあるが、しかし総武線は区の南端部をかすめているだけだし、常磐線だって区の北側寄りで、その間に走っているのは全て京成線ばかりである。カッペ民の終着駅である上野まではアクセス至便であるが、それ以外の場所は乗り換えが必要になる事が多い。

「区の中心」という概念には乏しく、足立区民にとっての北千住のような街が存在しない。敢えて挙げるとするなら区役所の最寄り駅である立石なのだろうが、一応最も発展しているのは区の最南端にある新小岩駅周辺になる。葛飾区役所はお花茶屋、青砥、京成立石の三駅のちょうど中間地点にあるが、呑み助以外の観光客がわざわざ来る用事も思いつかない場所ばかり。

都心への通勤を考えるとJR線が最有力なのは言うまでもないが、それ以外を挙げるとなると都営浅草線に乗り入れる京成押上線。運賃の高い都営地下鉄線と京成線の二社分の交通費がネックとなるが、さらに馬鹿高い電車賃を掛けて京成高砂から分岐する北総線沿線から通勤する人々もいる。それに昔ながらの木造住宅密集地域だし地主も頑固なので、イマドキなタワーマンションが京成線沿線の駅前に建つ事もない。

住民の気質・傾向

葛飾区 立石

葛飾区民のオアシス立石仲見世商店街。呑み屋と惣菜屋が同居する生活臭半端ない風景

先にも述べた通り、ちゃきちゃきの江戸っ子が現代に住まう23区最強の下町地帯、それが葛飾区である。故に住民の気質は変化を望まず昔ながらのしきたりを重んじる。京成立石駅前で共産党が低所得者層向けにスピーチしている日常風景を見かけるが、結局は土建屋の組織票が自民党を勝たせる土地柄。平沢勝栄先生もそんな立石が地盤です。

葛飾の昔気質が生きるその象徴的な存在である京成立石駅周辺の商店街も、高架化工事に伴う再開発計画を最後まで突っぱねていて今や貴重な「昭和の東京下町の駅前風景」が失われる危機感を顕にしている。

足立区や江戸川区同様、ヤンキーや不良が多いアレな土地柄なのは言うまでもないが、綾瀬コンクリ殺人のような洒落にならない凶悪事件が起きる所まで行かないのは、下町ならではの「お節介な大人」がまだ生きている故なのだろうか。しかし大学進学率は足立区の次に低く、数値の上で見ると大差ない。子供を町工場勤めの職人に育てたいという家庭でもなければ、わざわざ子育てにこの土地を選ぶ理由もない。

葛飾区にはこんな街がある

京成本線・押上線・金町線・北総線沿線

葛飾区 青砥

京成線屈指のターミナル駅である青砥駅。しかし改札を降りると駅前風景が地味すぎる

(1)堀切菖蒲園:京成本線で行く葛飾のリバーサイドタウン。駅名通りの堀切菖蒲園が名物。荒川放水路でぶった切られた対岸の東武伊勢崎線堀切駅はかつて地続きだった。珍スポ愛好家の手垢に塗れた立石バーガー(現:モッチーピザ)はこちらが最寄り。
(2)お花茶屋:駅前にはお花畑もお茶屋もありませんが四ツ木斎場があります。大阪西成生まれのボクシング亀田三兄弟が「勝つしか(葛飾)ない」と東京進出したのがこの土地。都営住宅も多く雰囲気もなんだか大阪チック。
(3)青砥:京成本線と京成押上線が交わる駅。ホームは二層構造でまるで京急蒲田のような要塞ぶりだが駅前商店街は微妙な栄え方。駅名は砥石の「砥」だが地名は葛飾区青戸。駅前を環七通りが走る。
(4)京成高砂:隣の青砥と並ぶ京成線ユーザーの乗換駅。車寅次郎のいる柴又へはここから京成金町線で。日本一高額な私鉄と言われる北総線が当駅から分岐。新鎌ヶ谷まで570円、千葉NT中央まで760円。
(5)四ツ木:ある意味葛飾区を象徴する町工場と木造家屋の密集地帯。ブルートタン葺き屋根のお宅率都内ナンバーワン。廃屋も目立つ。木根川小近くの市場の残骸といい昭和の残滓の見本市っぷり半端なし。四ツ木民のオアシス酒場ゑびす。
(6)京成立石:葛飾区役所の最寄り駅、駅前商店街は昼酒呑みせんべろ天国。市場に紛れて安呑み酒場がびっしり集まり東京中の下町呑み愛好家が押し寄せる。戦後の趣き残す呑んべ横丁も再開発の波で消えるか。土着民の信仰対象は立石様と勝栄様。
(7)柴又:ご存知「男はつらいよ」の車寅次郎の地元。駅前から伸びる帝釈天参道がイカニモ観光ストリート。しかし駅前商店街も見逃せない。帝釈天の産湯も今では巨大な金町浄水場の水道水。演歌でお馴染み矢切の渡しもあるよ。
(8)新柴又:馬鹿高い北総線の駅。果たして利用者がいるのか傍目にも疑問だが高級住宅地でもない「葛飾区鎌倉」がある。地元裏名物の似顔絵コインランドリーも地味に凄い。

JR常磐緩行線・総武線沿線

(9)綾瀬:駅前は足立区だが南口に昔の川筋に沿って葛飾区小菅四丁目がせり出している。綾瀬川西側の小菅一丁目に日本最大規模の東京拘置所がそびえる。
(10)亀有:言わずと知れた「こち亀」聖地。駅前に黄金の両津勘吉像。線路沿いに角海老、北口の怪しいサロン密集地帯。戦後の赤線の名残りか。南口のレトロな亀有食品市場から最新トレンド風味なアリオ亀有まで新旧勢揃い。
(11)金町:常磐緩行線で行く都区内の最果て。駅前一等地に巨大団地。足立区竹ノ塚と並ぶ葛飾版リトルマニラだが伝説のピンパブ「あめだま」はもう無い。飲食部門は鉄壁の「金町うどん」グループ。ゆで太郎も歯が立たぬ超激安タウン。
(12)新小岩:駅ホームが新たな自殺の名所となり迷惑を被っている街。南口ルミエール商店街が要。パチンコ屋多すぎ、安呑み酒場とスナックも豊富、飲む打つ買う総武線文化ここにあり。

鉄道不毛地帯

水元:金町からバスで行く葛飾区の最果て。都内とは思えぬ広大な小合溜と菖蒲で有名な水元公園と南蔵院しばられ地蔵。池の向こうは埼玉県三郷市。

葛飾区に関係する何かを適当に並べた

これでいいのか東京都葛飾区 地域批評シリーズ
日本の特別地域 特別編集 これでいいのか 東京都 足立区vs葛飾区vs江戸川区【日本の特別地域_通巻11】
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