東急旗の台駅南側、旗台小学校に隣接する僅かな土地に突如現れる密集オンボロ長屋群。そこが何故出来たのか、戦後のドサクサなのか経緯はよく分からないが実に興味深い場所だ。
密集した長屋の間を走る路地が3つある。どれも人が通り抜けるのもやっとという細い路地だ。おまけに洗濯機まで外に置かれているので見ての通りの狭さ。でかい家財道具の搬入は困難だろう。
恐らく30メートル四方くらいしかない空間に40~50軒くらいの世帯が暮らしていると思われる。住人の出入りも激しいので迂闊に部外者が入ると目立つ。ましては珍しがってカメラ出してる所を見られたら必ずトラブルの元になる。気をつけよう。
3本並行する長屋の路地は奥で繋がっている。裏にはさらにアパートが続いていて、その住人もこうした路地を行き来する事になる。
反対側からアパートの裏側に出られる。ろくに日の当たらない土地なので地面が苔むして蔦にまみれている。
アパートの裏手は微妙な空き地となっていた。誰か住民が置いたプランター花壇に加えてガラクタ置き場となっていてカオスだ。
アパートの傍らにはなんと井戸まで置かれていた。現役のものだろうか、窪地の底に位置する土地なので地下水源はそれなりにあるのかも知れない。
長屋の中央を走る路地の奥。板張りの木造民家はその古さから見て確実に戦後期あたりに作られたものと思われる。少しでも土地を有効利用したいのか2階部分が大きく張りだしていた。その下をもう一つの路地へと繋がる裏道が通じている。
そこからさらに路地を奥へと進む。長屋群がある場所より多少道幅が広がってはいるがそれでも狭苦しさは変わらない。振り返ると、なかなか香ばしい路地裏の風景だった。沢山のマンホールが路地の中央に並列している。
中央の路地を突き当たりまで行くとアパート群の向こうが突然2メートル程のコンクリート壁で行き止まりとなっていた。直接行き来出来ないが、壁の上には児童公園があって時計が見える。崖上にはもう少し立派な一軒家がずらりと並んでいて格差を物語るようだ。
そうした土地の起伏を観察するとこの一帯だけが一段と低く、家の数々も一気にオンボロ仕様になっている事に気づく。使い古した表現だが「この場所だけ時が止まっている」と形容するにはぴったりだ。
で、オンボロ長屋密集地帯の路地を外れると別にそれほど極端でもない普通の家が並ぶ路地ばかりとなる。一見普通の住宅地であるはずの旗の台四丁目にあるボロ長屋ゾーンはたった30メートル四方の隔絶されたゲットーなのである。
で、そこから坂を上がった隣のブロックには嫌味なくらいの豪邸がちらほら顔を現す。これだけ隣近所で街並みに違いが出るような場所も珍しい。旗の台って奥が深い住宅地ですね。