街の目抜き通りである旧東海道沿いの湘南スターモール商店街などを見ていてもいたって平凡な街並みで、さほど違和感を感じるまでもない。どうやら怪しい街並みは裏通りに密集しているようだ。
平塚の街には至る所に在日コリアンが多いと思わせる韓国料理店ばかりでなく、どう見ても韓国系なキリスト教会もあるなどしてなかなか雰囲気が独特である。よく見るとその教会の脇から路地が伸びているのが見える。
そこに吸い込まれるように入り込んで見ると、なぜかオバ服屋が建物の両側に店を構えていて買い物客のオバハンが行き来している光景に出くわすが、構わずそのまま路地を進んでいく。
するとその先には表の商店街側からでは消して見えないであろう、戦後のドサクサを彷彿とさせるバラック家屋群が残っていたのだ。これは迂闊だった。
隠れたような裏通りに置かれている古いワンカップ酒の自動販売機は既にもう動いておらず、清酒白鹿の銘柄にガムテープで×が貼られていた。
しかしなんでこんな場所にワンカップ酒の自動販売機があるのか合理的な理由が思い浮かばない。見るからにあからさまなバラック建築だし、この辺の土地事情は奥が深そうだ。
酒屋の裏手にしては妙に場違いな勝手口に縁側、そして年季の入ったタイルの流し台。店というよりは生活空間のそれに近い佇まいだ。
人がすれ違うのもやっとという路地裏にはバラック家屋が数軒と古い土蔵、店舗の裏手で湯沸かし器やガス管などが剥き出しに並ぶなどして雑然とした雰囲気だ。
そんな路地裏を過ぎて右側に折れると、湘南スターモール商店街の一本南側の道路に出る。やはりこちら側からも目立たない存在だ。
この裏通りに出た所から、平塚名物のクソ怪しい店舗が密集する怪しい光景が姿を現し始める。見た目にもそのまんま過ぎて、もし親子連れで店の前を歩いて、これを見た子供に説明を求められたらどう答えればいいのかパパママは苦しいですね。
割と駅前にも近い場所だが、裏通りに入った途端続々現れる風俗店の数々。湘南スターモール、紅谷パールロードの2つの商店街に挟まれた真ん中を並行して走る「しんしく会商店街」を中心にこの手の店が目立つが、この付近もまだまだ氷山の一角。
この「しんしく会」の通りを軸に、潰れた長崎屋の店舗の西側に入ると容赦なくこの手の店ばかりが立ち並ぶ異様な光景を目にすることになる。本当に店の数が多い。
茅ヶ崎にしろ大磯にしろ、湘南って他が上品な街ばかりで、掃き溜めみたいなものはここ平塚一点に集められる傾向にあるんでしょうか。
この怪しさ満点の「しんしく会商店街」の「しんしく」の名は宿場町の一つであった平塚の江戸時代から続く平塚新宿という地名の名残りだそうだ。新宿と書いて「しんしく」なのである。
「しんしく会」に普通の飲食店もあるにはあるが、やっぱり少数派。ちなみに東海道平塚宿には藤沢宿と同じように遊郭も築かれていたそうだが、旧平塚宿はこの付近ではなく、駅前から離れた平塚二丁目付近にあって、全然関係性がない。