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不法占拠バタヤ住民を住ませて半世紀、JR大久保駅近くにある「百人町区営アパート」の怪

新宿のお隣、最近元気が無くなってきたらしいコリアタウン新大久保の現状は先日お伝えしたばかりだが、またしてもこの街に残る胡散臭い話題を聞きつけてしまった。

新宿区 大久保

JR大久保駅から線路沿いの道を職安通り方向に進むと現れる、三軒棟続きの二階建て長屋の存在…通りがかる人々は誰もがそこを何も無かったかのように通り過ごすが、実はこの場所にとんでもない「戦後史」が隠れ潜んでいた…

新宿区 大久保

この建物、地図上で見ると「百人町区営アパート」と記されている。それにしても全く生活感は感じさせないのだが、これが「住民」が存在する新宿区営のれっきとした区営住宅という事になる。何故こんなものが大久保駅近くのこの場所にあるのだろうか。

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二階部分が住居、一階部分は事務所や作業所といった使われ方をしている様子だが、落書きされまくっているわ、どうにも荒れ果てている。外壁に蔦が絡まって余計に不気味さを増しているあたりが、かつての大久保の暗黒街ぶりを思わせる。

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この区営住宅が特殊な存在である事は、二階へ上がる階段の手前の壁に据え付けられた住民の郵便ポストを見れば分かる。殆どどれも在日コリアンの苗字ばかりである。さすが大久保と言いますか、やっぱりガチなコリアタウンなんですね…

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二階に上がると建物の裏側が廊下になっており各世帯の玄関口もこちら側にある。しかしこの陰鬱っぷり…JR中央総武線の線路の土手に阻まれ、昼間でもろくに日光が当たらず薄暗い廊下である。ベランダもなく洗濯物を干す場所は事実上ここしかない。生活環境としてはかなりアレな部類に入る。

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この「百人町区営アパート」をネット上で調べると、とある区民オンブズマンのブログ記事に行き当たった。そこにはこの建物の正式名称が「新宿区立百人町作業宿泊所」である事と、月々の「使用料」という名目の家賃が2300円~6600円と極めて激安である事が記されている。大久保の賃貸相場で外国人でも借りられるような風呂なしボロアパートでも5万円台は見なければならないのに、このアパートの住民は特権的だ。

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さらにその成立経緯についても、昭和39(1964)年の東京五輪開催を前にしたスラムクリアランスの一環で、職安通りを挟んだ南側にある「新宿都税事務所」(旧西新宿保健センター)の敷地にあった不法占拠のバタヤ部落の住民を立ち退かせてここに作業宿泊所を建設し住ませたのがそもそもの発端という事になっている。

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つまり一階部分のこうしたスペースも、バタヤ稼業で生計を立てていた在日コリアン住民の作業スペースとして用意されたものという事らしい。あくまで新宿区が応急的にこしらえた「作業宿泊所」という立ち位置の施設だが、それが50年以上経った現在もそのまま放置されている形になっている。もう結構空き家になってきてますけどね。

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しまいには当初の用途とは違った「居酒屋」に使われているケースまであって、もう何がなんだかと言った感じですよね。親孝行ならぬ「親高校」という謎めいた店名も、日本語不自由ニカ?と疑問に思えてくる訳だ。

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夕方頃になると件の居酒屋も営業を始める訳ですが、権利関係は一体どうなっているのでしょう。新宿区に激安の家賃を払うだけで商売出来るなら気楽なもんですけども。駅から割と近いし。

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居住区画23室のうち18室はまだ現役稼働中との事で、まだそれだけ住民が居るのは確かなようだが、今回の取材中に「住人」の老婆とすれ違ったりもした。住民が高齢化などで「自然消滅」するまで行政は黙認を貫くのであろうか。

この作業宿泊所を見て、大阪・浪速区にあった「大阪市立馬淵生活館」を思い出したのだが、要はこれと同じである。「貧困からの自立」を目的として建てられた施設なのに、それが「終の棲家」になってしまうなんて、本末転倒な気がしなくもない。

この謎の区営住宅があと何年続くか、まったり見物していきたい所存です。

<参考>
新宿区立作業宿泊所条例
新宿区立作業宿泊所条例施行規則


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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