埼京線「十条」界隈 (2) 都内最狭の駅前風景

埼京線に乗ってかなり久しぶりの十条を訪れる。先日は十条銀座界隈をぶらぶら歩くだけで終わったが、清野とおる氏の漫画を読んだりしていたら妙に行きたくなったのだ。そこはまさしく東京と埼玉の狭間、都会と田舎の分水嶺として絶妙なバランスの下町風景が展開している。それは言うなれば「赤羽文化圏」。
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車掌DJ・スーパーベルズが隣の板橋駅と絡めて「JR最狭のホームです」とネタに挙げた埼京線十条駅を降りた正面におなじみ十条銀座のアーケードが口を開いている。だが今回はそこではなく周辺のややこしい路地裏にあちこち足を踏み入れる事にしよう。


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確かに駅を降りた途端にホームがやたら狭い事が気になるのだが、板橋と十条の駅前は戦前から市街化しているのでしょうがない。土地の権利関係も複雑になっており再開発などという街の破壊とは一切無縁である。車がまともに入れる道が少ないのである。
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十条銀座のアーケードに入らず脇道の方に目をやると随分とくたびれたボロい建物の店舗兼住宅などがある。これが都内で駅前徒歩0分の街並みとは思えない訳だが十条はそんな街なのだ。
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その建物には怪しい風情のカラオケスナック。一度オーナーが変わったらしいが新しい店名をステッカーでそのまま上から貼られていたり、店名も含めて色々とテキトー過ぎる。
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古い不動産屋の看板も残っていた。「秘密厳守」の四文字がやけに気になる。もしかして夜逃げ的な引越しもご相談しますよと暗にほのめかしているのだろうか、曰くありげで怖いぞ。
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他の街の駅前と言えば、コマーシャリズムに毒され経済原理が働いて無節操にずんずんと決まりきったチェーン店やタワマンだらけになっているのが東京クオリティだが、板橋と十条に限ってはその原則は当てはまらない。どこまでも狭苦しい路地裏風景が支配している。
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猫の額ほどの広さしかない駅前ロータリーにあるこのタバコ屋なんかありえない狭小建築っぷりであり笑ってしまう。この2階はもしかすると店の人が住んでいたりするのだろうか。中がどんな構造になっているのか非常に気になる。
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そんな十条駅前、昼間っから酒盛り?している謎のオッサンがいたりなんともダメダメでユルユルな空気が流れているのは赤羽文化圏だからだろうか。まあ池袋あたりも似たようなもんですけどね。
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オッサン軍団を横目に駅前ロータリーからの道を十条銀座とは反対側に向けて歩いて行く。こちらもめっぽう庶民的過ぎる定食屋や中華料理屋だらけで高級感のかけらもない。満員痴漢列車通勤快速に乗って十条の駅前を素通りしつつ毎日痛勤している埼玉都民の皆様の目には付かない風景だろうか。
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そんな商店街のとある診療所、診療科目が皮膚科・泌尿器科・肛門科…十条には下の病気の人が多いんでしょうか。大久保あたりなら堂々と「性病科」って書いてるけどな。
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駅の南側には旧陸軍施設の跡に出来た文教地区らしき一帯があり、東京家政大学やら帝京大学やらのキャンパスがあったり、おまけに東京朝鮮中高級学校まであって、かなり十人十色な学生街の側面もある。
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アカデミックな空気を微塵とも感じる事のない駅前風景だが時間帯によってはかなりの数の学生な方々がこの道を行き来していて、一体何事なのかとびっくりしちゃうのである。そんなアンバランスさも十条の魅力。

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清野 とおる
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