オウムの古巣・江東区亀戸七丁目を歩く

亀戸駅の南側から京葉道路に沿って東側に10分くらい歩いて行くと丸八通りの亀戸七丁目交差点に至る。丸八通りを北へ入ると亀戸水神駅やら亀戸中央公園などがあって、亀戸とは一言で言っても広大過ぎるスケールを実感するのである。さらに旧中川を境に接する江戸川区小松川の手前まで「亀戸九丁目」になっている。
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さらに京葉道路を小松川方面に歩くと、かつてオウム真理教が亀戸道場(新東京総本部)を構えていた土地が今でも残っている。この道場は教団側の生物兵器の実験施設としても使われた。有名なのが炭疽菌を噴霧した「亀戸異臭事件」と呼ばれるテロ未遂事件が1993年に発生した事である。


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京葉道路から一歩南側の路地に入ったあたりの右手に教団施設の建物があったそうだが現在では取り壊されたのか様子がよく分からない。左隣はオフィスとして使われている3階建てのビル、右隣はマンション。もう15年以上も前の話だし、建物が残っている方が珍しいかも知れない。ちなみに森達也氏のドキュメンタリー「A」にこの新東京総本部に教団関係者が出入りしている映像が見られる。
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隣接する店舗兼アパートの玄関ポストには、かなり剥がれてしまってはいるが「オウムはお断り!」と書かれたステッカーがベッタリ貼りつけられているのが確認出来た。この土地がオウムの古巣だった事を如実に物語る証拠だ。
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この亀戸七丁目界隈は大規模な都営住宅が建ち並ぶエリアで住民の数はかなり多い。オウムが炭疽菌をばら蒔いたという事もあって周辺住民の戦慄は想像に難くない。教団側と住民とでトラブルがあって、腹いせに計画されたのが事件のきっかけという、何とも幼稚な動機だったそうだ。
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教団側は道場の屋上に噴霧器を設置し、1993年6月28日と7月2日の2度にわたり高圧噴射で炭疽菌を散布したものの、圧力で炭疽菌が死滅した影響で有毒性が殆ど失われ悪臭のみが周囲に撒き散らされた結果となった。被害者はゼロ。周辺住民は直ちに教団の道場に乗り込み抗議したという。
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それ以後生物兵器は難しそうなので、化学兵器で行こうという事になり、後の松本サリン事件地下鉄サリン事件へと繋がる。そもそも異臭事件自体が生物兵器テロだと判明するのは2年後の強制捜査以後の事だ。
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教団が去った亀戸七丁目の地には今は地元ヤンキーが粋がっているだけの平和な下町の光景が広がっております。暴走族の名前だろうか。初代亀頭。中華マフィアの蛇頭にインスパイヤされちゃったんですかね。亀頭。意味分かってるよね。
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現地は巨大都営住宅がデデーンとそびえている他は特に栄えた様子もなく、とりわけ見所がある訳でもない。ただでさえ貧乏臭い街並みの亀戸でも外れにあるこの土地を選んでオウムが来たという事は、きっとそれなりに理由があるんだろうな。
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団地を外れると廃業した店舗の残骸がぽつりぽつりと姿を晒しているのみ。安売り自販機が申し訳程度に置かれている。かつてはこの周辺も町工場が集積していて労働者世帯で栄えたようだが、今では見る影もない。
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団地に隣接する古い町工場の建物が見える。ただこの工場も稼働していないらしい。亀戸あたりに集積していた工場は都市化の煽りを受けて郊外に移転したケースが多く、特に浦安市の鉄鋼団地には亀戸の工場が数多く引っ越してきている。
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既に廃墟然とした工場の建物、裏側に回ってみたら月極駐車場に変わっていた。ただただ寂寥感だけが増して行く亀戸の町外れの風景。

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