亀戸駅は総武線に加えて東武亀戸線があったり都営バスの乗り換え客が居たりして駅前の雑踏はなかなかのものである。しかしそんな人の流れとはあまり関係のない一画が亀戸駅東口から続く裏通り。北口のホルモン横丁あたりはよく知られているが、こちら側はややマイナーな存在でつい見過ごしがちになる。
亀戸駅東口改札を降りると、目の前は京葉道路の一本内側を並行する裏通りに出る。京葉道路に出れば都バスの水神森停留所があって葛西方面へのバスも頻繁に出ている。その向こうには亀戸サンストリートもあって人通りは意外に多い。
この裏通り、亀戸駅のホーム南側に沿うようにずらりと一列に建物が連なっている。基本的に居酒屋横丁っぽくはなっているのだが、いかがわしい店も目立つ。
大陸系の香りを漂わせるマッサージ屋に、いかにもオヤジの自家発電室に使われそうな個室ビデオボックスといった店舗が雑居ビルにずらりと入居している。正直他の総武線の駅前にも普通にあるので別に亀戸にあったからと言って珍しくもないが。
大陸系もあれば半島系のスナックなども混じっているのが亀戸らしい。隣の錦糸町もそうだが韓国人もかなり多いホットスポットである。
しかし間髪入れずにソッチ系のお店があったりする所なんか面白い。武道着姿の女子の写真がデデーンと張り出された店の看板。ホルモン屋が立ち並ぶ土地柄だけあってソッチの肉も安上がりに食べたい貧乏な男が集まるのが亀戸流。
居酒屋にスナックに大衆食堂と、店のラインナップは徹底してオッサン向き。午前中に訪れると閉まった店が多い。どちらかと言うと夜の方がお盛んなようです。
裏通りに建ち並ぶ店舗の大半が綺麗に建て替わっていてそれほど小汚さは感じさせないのだが、一方で戦後のドサクサ臭を残す飲食店の廃店舗もちらほら見かける。
バラック然とした建物も依然残っていて雰囲気が独特だ。亀戸と言えば北口のホルモン横丁ばかりに目が行くがこちらもなかなかのもんです。
さらにもう一軒、普通の長屋のアパートみたいな外観のピンサロ店舗があった。あんまりギラギラした感じではない。
ソッチ系の店らしく「只今の料金」の看板が置かれていたり。珍しく百の位が500になっている。値上げしちゃったのかしら。
どうでもいいけどこのお店、今どきらしくなくジャパニーズオンリーのようです。外国人客は入れません。ご丁寧に韓国語と中国語でも併記されていた。
そんなこんなで裏通りを進むと駅西側の明治通りのガード前に通じる。全長150メートル程度の胡散臭い駅裏横丁でした。
そんな駅裏横丁の入口にはソッチ系のお店の看板と武富士の無人ATMが準備よく置かれている。宵越しの金は持たぬ貧乏オヤジも無人契約機で契約すればすぐに遊べます。
2階が武富士で1階が「角の煙草屋」だった。ここまで来ると駅へはそのままガードを潜って北口改札に抜けた方が早い。
総武線ガードと駅裏横丁の間はJR用地になっていて見事にポッカリと空き地のような空間が残っていた。一部住居となっている店舗も見られるのが、いかにも戦後のドサクサっぽい。
ここでレポート終了…という訳にはいかない。京葉道路沿いに出てくると「キッチンダイブ」なる一軒の弁当屋がある。店の玄関横にはでっかく「毎日満足200円弁当」の文字が張り出されている。以前は東あずまにあったのだが、去年に人通りの多い今の場所に移転してきたそうだ。
デフレが過熱して大手スーパー各社が298円弁当を出したりする中でこの店は税込210円で弁当を販売している。亀戸のこの場所にしか店舗はなく、ピンポイント的な経営戦略だ。24時間営業で弁当販売しており貧乏なタクシードライバーや労働者世帯に定評があるそうだ。
210円の弁当は人件費や材料費を差し引いて1個売れれば10円程度の利益にしかならないらしいが、1日二千個の販売を目標としているとの事。試しに一個唐揚げ弁当を買ってみたが、飯もふっくら炊けてるし思った程悪くはない。ただ野菜が殆ど入ってないのが欠点。
「モッタイナイ商品棚」があるサンケイスーパーの存在といい亀戸の貧民パワーには恐れ入る。東京で貧乏暮らしに徹するならこれ以上暮らしやすい街はなさそうだ。